車の整備で優先順位をつけると?
車検で預かった車で、受け入れと分解をした時点で詳しい見積もりをつくります。
とりあえずお勧めコースを作って、そこからお客さんに消去法でどこまでやるのかを決めてもらいます。
最終的には、単純に車検を最低限通すだけというメニューにする人もいます。
ここではちょっと趣向を変えて、車の整備で優先順位をつけるとしたら?
考えてみます。
一応前提として、自分で車の整備作業ができないという事で話を進めます。
一番重要なのは何が何でもブレーキです。ブレーキパッドが2mmとか1mmの状態で車検を通せと言ってくるかもしれません。
しかし、そこは交換を前提に話をさせてもらっています。やはりブレーキっていうのは人命に直結する部分だからです。
もちろん強制ではないものの、ブレーキの修理は外せません。
自爆事故ならまだしも、他の人を巻き込む事故を起こしたら、他人の人生をも変えてしまいます。
続いてはボールジョイント。
タイロッドやタイロッドエンド、ロアアームなど。人間の関節に当たる部分です。
ガタツキがあると車検は通らなくなりますが、法定の12ヶ月点検なら車検時にやるからまたにしておいて・・。
と言われることもありますが、ジョイントが抜けたときの危険性を説いて、作業を強くお勧めします。
特にロアアームのボールジョイントが抜けてしまうと、いきなりハンドルが効かなくなります。未だかつてタイロッドエンドのボールジョイントが抜けた事例には遭遇したことがありませんが、ロアアームは段差の入力が強いとすぐに抜けてしまいます。
ここもブレーキについて重要項目です。
エンジンでは、オイル類よりもプラグやベルトの交換を最初にお勧めします。
というのも、オイル類はガソリンスタンドなどでも交換が即時できるから。
プラグやベルトは部品が在庫していないと、すぐに作業ができません。オイルはとりあえず入っていて、著しく劣化していなければ後回しにしてもOK。
プラグは、摩耗が進むとコイルもダメにしてしまうし、エンジンが急に不調になります。
ベルトも同じで、今のサーペインタイン方式だと、ウォーターポンプもストップする為オーバーヒートにつながります。
エンジンでの整備はプラグやベルト類をオイル交換よりも重要視してお勧めします。
足回りではタイヤもこの辺りに入りますね。車検は通っても状態が良くないものは交換してもらわないと事故につながりますから。
オイル交換は重要だ!
などと僕は書きますが、車検の時は後回しにすることが多いです。
やはりその時にやるべきことを優先順位付けすると、オイル交換に予算を割くよりも作業しないといけない部分があるからです。
オイル交換、バッテリーの交換は後々スタンドでもできます。
そしてエアクリーナーやエアコンフィルターといった、フィルター類もとりあえず清掃をすることで延命させることが可能なので、後回しにすることがあります。
車の整備で重要なのは、優先順位をつけると事故に直結する部分から。
それ以外は車が故障するだけなので、優先順位は下げていきます。何もそこまでと思う人もいるでしょう。
でも、実際にお客さんと対峙すると、そういう選択をする人が非常に多いんです。これは残念なことなんですが、車は人の命を乗せて走るということを、軽く認識しているんだと思います。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。