車好きの談義としてやり玉にあげられやすいお題。
「安いオイルをこまめに交換するのがいいのか、高級オイルを長く使うのがいいのか?」
これについて、まじめに考えてみたいと思います。
以前の僕の考え方はどちらかというと安いオイルをこまめに交換する派でした。その理由は何故か?
まず、オイルを長い間使ってくるとエンジン内部が変色してきます。それもそのはず、オイルがエンジンの汚れを取り込んでいく。そのオイルがエンジン内部をかけまわっていくので、エンジンがオイル焼けしていくのはしょうがない。
このオイル焼けしているエンジンの色が、オイル交換をしていないエンジンの証拠だ!という感覚だったので嫌でした。
安いオイルでもこまめに交換すれば、オイル焼けは発生しなくてエンジンは本当にきれいなままです。そして街乗りであれば高級オイルの性能まではいらない。これが二つ目の理由です。あくまで昔の考え方です。
目次
安いオイルをこまめに交換する際の鉄則は?
それでも今僕は、やっぱり安いオイルをこまめに交換しています。しかしちょっとしたルールをつけてオイルを選んでいます。そのルールとは
・純正オイル相当のグレードであること
・指定の粘度をカバーしていること
この2つは守っています。例えば指定されてる純正オイルのグレードがSLだとしたらSL以上のグレードを選びます。
そして指定の粘度は5W-30だとすると、0W-40など指定粘度をカバーできる範囲のオイルをチョイスしています。特に粘度が柔らかいものに関しては注意しています。
安いオイルをこまめに交換するのは、いいことなんですけど指定グレードを下回るのはちょっとマズイです。すぐに不具合などは出ないでしょうけど長い目で見ると、オイルの要求されている性能を担保できていない。つまりエンジン内部に負担がかかってきます。
エンジンに負担がかかるくらいだったらちゃんとしたオイルを入れるのが一番です。安いオイルをこまめに交換するのであれば、最低ライン純正相当の性能を持ってるオイルじゃないと駄目です。
高級オイルを長く使うということの疑問点
次に考えたいのが、高級オイルを長く使うということ。疑問なのは長く使うというのはどの程度長く使うのか?ということです。
ボーダーラインとするとメーカーの指定交換距離までと考えるのが普通です。シビアコンディションに該当してなければ1年15000kmです。これを超えて使うのはやはり厳しい。
シビアコンディションならその半分の距離。気を付けたいのが軽自動車のターボなどはオイル交換の時期が非常に短いです。シビアコンディションに該当すると2500kmごとに交換しなさいと指定されています。
このメーカー指定ラインを超えて使い続けるのはどうなのか?最悪シビアコンディションではなくて普通のメーカー指定距離まで使うのはセーフかもしれないけど、それ以上になるとちょっと厳しいかもしれません。
オイルによっては2万キロ無交換OKとかうたってる商品もありますが、それをうのみにするのはやや危険です。やはりボーダーラインとするのはメーカー指定距離であること。
高級オイルを入れる意味は何なのか?
最後に「高級オイルを入れる意味は何?」ということを考えてみます。
なんでこんなことを考えるのかというと、普段使いであればさして高級オイルを入れる必要性がないからです。
高級オイルは100%化学合成油に代表されるエステルベースのオイル。分子構造が均一なので、潤滑性能などが鉱物油に比べて安定しています。
今新車充填されているオイルってどういうものが入ってるか知ってますか?昔は鉱物油が充填されていたんですが、今は低粘度化も相まって部分合成油が多いです。
つまり新車充填されている純正オイルの性能はワンランク上がっているわけです。この性能以上のものを高いお金出して買う。当然車のエンジンを保護するという観点でいうといいことです。
でも、純正オイルや入れているオイルの性能を超えてしまうほどの使い方をしないのであれば、オーバースペックになってしまうということ。
例えば来週ジムカーナやサーキット走行に行く。ロングツーリングをする際にかなり長い峠道を真夏に走るなど、オイル交換をした後に過酷な状況下で使う予定があるのなら、高級オイルを入れる意味もあります。
それ以外で高級オイルをチョイスするとなると、オイルの性能を使い切れないのでコスト的にもったいないなということになってしまいかねません。
値段のことを踏まえて、エンジンをより大切にしたいと考えるのであれば高級オイルを使うべきです。
安いオイルと高級オイル問題をまとめると
最後にまとめてみます。
安いオイルをまめに交換するか、高級オイルを長く使うか?どちらがいい?
安いオイルを入れるのであれば、メーカー指定のグレード・粘度をカバーできるものを使うこと。高級オイルを入れるのであれば、普段以上ハードな使い方をしないとオイルの性能を上げる意味がコスト的に見いだせないし、高級オイルを入れたからと言ってメーカー指定の交換距離以上を使うのは駄目。
これらをかみ砕いたうえで、最終的には自分で選択するしかありません。
・車を道具として使うのであれば、安いオイルをメーカー指定のタイミングで交換するで十分。
・ちょっと車が好きな人は、安いオイルをメーカー指定の半分くらいのタイミングで交換してもOK。
・高級オイルを指定交換距離を超えて使用するのはNG。
・高級オイルをメーカー指定のタイミングで交換するのと、安いオイルをメーカー指定半分くらいのタイミングで交換するのは、とくに性能的に大差はない。
・車が本当に好きなのであれば、高級オイルをメーカー指定交換のスパンよりも短いタイミングで交換するのがエンジンには最高!ただし自己満足の世界になります。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。