毎日のように車検整備や点検整備に携わってくると、どうしても腑に落ちない故障を目の当たりにすることがあります。
今回はウォーターポンプのお話です。
ウォーターポンプというのは、エンジンの冷却水を各部を潤滑させるためのポンプです。タイミングベルトを使っているエンジンでは、タイミングベルトでウォーターポンプを駆動しているものもあります。
近年はタイミングチェーンにうつりかわっているので、普通のVリブドベルとなどでウォーターポンプを駆動しています。タイミングベルトのエンジンに比べて交換費用は安く上がるのはメリット。
しかし、最近のウォーターポンプはよく漏れます。結論から書くと、製品不良なんでしょう。
今日も、このようなケースでウォーターポンプが漏れている車がありました。
初年度から6年経過の3回目車検。走行距離は8000km。
お客さんには事情を伝えてポンプ交換の了承をもらいましたが、どうにも納得してもらうまで骨が折れました。
そりゃそうですよね。たった8000kmしか乗っていないのにポンプからクーラントが漏れているから交換しないとダメですって言われても。
お客さんは今まで乗ってきた車でウォーターポンプが漏れて修理した経験がない人でした。なおさら説得は難しかった。
明らかにウォーターポンプが弱い車って存在します。
興味深いのが、同じエンジンが載せてあったとしても車の型式が変わると漏れやすい車があったりすること。
軽自動車のエンジンでいうと、ダイハツのKFエンジン。これはウォーターポンプが弱い・・。KFが載っている車全般に弱いです。このエンジンに至ってはウォーターポンプの異音には保証延長がでています。
最初からウォーターポンプの精度が悪いということですね。通常の漏れに関しては保証が3年しかなかったりするので、2回目の車検ではもう保証がききません。
搭載される車によっては工賃が25000円くらいするので、部品代と合わせると 35000円ちかくなります。
三菱の3G83は比較的漏れにくい。スズキのK6Aは漏れる時もあるけどダイハツのKFほどではありませんでした。ホンダのE07Aも比較的漏れにくかった。スバルのEN07は一部搭載車種で漏れやすい傾向でした。
ここからは、ウォーターポンプの交換についてです。
ウォーターポンプが漏れていて、交換の了承をもらった場合交換に踏み切ります。この時僕は念を入れてウォーターラインを洗浄する。
古いクーラントをそのまま使うと、ゴミを噛み込んで漏れが再発することがあります。ウォーターポンプの説明書にも書いてありますが、クーラントは必ず新品にしてくださいとなっています。
高いお金を払ってもらってポンプを交換させてもらうんですから、ちゃんと交換作業はやらないと再発することがよくあります。
車検でウォーターポンプを交換して、次の車検でまた漏れてくるというケース。これはアカンです。
僕はウォーターポンプを交換したら、ちゃんと購入した部品屋さんと日付を説明書に書いて車検証ホルダーに入れておきます。ウォーターポンプって社外品であっても部品の保証が聞く。
こういうある程度大きな修理をした車に関しては、必ず1年点検を入れて欲しいと説明しておきます。1年という期間なら、きちんと交換したウォーターポンプは保証で新品をまた出してもらえるのです。
1年を通して再発しなければ、とりあえずはよしとする。車検から車検まで放っておくんじゃなくて、保証関係をきちんとしたうえで1年点検で確認するのがトラブルを回避する方法です。
ウォーターポンプ交換時にはきちんと決められた手順でウォーターラインを洗浄して取り付けましょう。時間がない時って、ポンプから漏れだした分のクーラントを補充してエア抜きして作業を終えちゃう整備士もたくさんいるんですよね。
徹底したほうが無難です。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。