整備士をしていると、時には自信がなくなるときもあります。
今回はそんなお話です。
整備士になりたての頃の失敗談。
このワークスに搭載されていた原動機はF6AのSOHCです。
形式が
CS22Sというやつです。
このSOHCのF6Aが曲者なんですよ。
これは車検で預かった車両なんですが、
ヘッドカバーのパッキンからとてつもない激しい吐血。
オイルがじゃじゃ漏れだったんですよ。
で、そのままじゃ当然検査には合格できません。
なのでヘッドカバーのパッキンを交換することになりました。
しかしここに落とし穴がありました。
いつも通りにインタークーラーを外して、プラグコードを外して
それぞれバキュームやブローバイのホースを外していき、
ヘッドカバーをまでをクリアな状態にして
4本のヘッドカバーボルトを緩めて、ヘッドカバーを取り外しました。
これが結構強烈にくっついていて、
なんとか引っぺがしたんですが、
ヘッド面とヘッドカバー自体に、パッキンがへばりついてしまっていたんです。
当然パッキン類を交換するときは、古いパッキンは完全に除去しないといけない。
このセオリーとおり、時間をかけても確実にふるいパッキンをはがしました。
普通ヘッドカバーのパッキンは完全なゴム状のものが多いんですが、
これはなんかゴムのような紙のようなパッキンで、とんでもないこびりつき方でした。
実はこのCS22Sのワークスのヘッドカバーパッキンは
先輩がやっているのをみたことがあったんです。
そのとき先輩はパッキンを交換したけど漏れがとまらないオイルに
とても苦戦していました。
最終的にはヘッドカバー自体もゆがんでいたためヘッドカバーも交換していたというもの。
この一部始終をしっていたので、
慎重に作業をしたんです。
普通液体モノのパッキンに有効なのは
液体ガスケット。
特に古いガスケットを完全に取り除いても、ヘッドカバーやヘッドに細かい傷がついているもので、
液体パッキンを少し塗ることで、傷の中に入り込んで
より気密性を高めてくれるんです。
このワークスのヘッドカバーパッキンは大きく曲がって取り付けるため、
少しでもずれが生じると漏れてくるので、
液体パッキンでヘッドカバーパッキンをサンドイッチするように
両面に塗ってヘッドカバーを取り付けました。
そしてエンジンをかけると、オイルは漏れてこない。
やっぱり慎重にやったかいがあった。
と、その日は帰路に着きました。
そして翌日、検査員の先輩に検査をしてもらっているうちに
オイルが漏れてきたんです。
当然車検には落ちてしまいました。
一日経ったらオイルが漏れてきた
この車は今日お客さんが取りに着ます。
とにかくソッコーで作業をやりなおさないといけません。
マジで頭が真っ白。
ノイローゼ状態ですよ。
でもなんとかしなくちゃいけない。とりあえずさらに新しいパッキンを一つ部品屋から取り寄せました。
作業に手落ちが見当たらなかった。
何がいけなかったのかわからない。
新しいパッキンが到着するまで、何度もためしたけど駄目。
液体パッキン攻撃でも駄目。駄目駄目駄目だめ。
時間は迫ってくる。
ここで発想の転換で、逆に液体パッキンをつけないで、
素の状態でパッキンをつけてみました。
そうしたら止まったんだよね。オイル漏れ。
考えすぎというかなんと言うか、原因はパッキンがおそらく斜めについていたんでしょう。
もう何がなんだかわからなかったけど止まったんだよね。
エンジンを1時間くらいかけておいてももれてこない。
エンジンをとめてももれてこない。
エンジンをさらにかけてももれてこない。
結果オーらいですが、とても神経を使いましたね。
整備士をやっていると、時に自分の腕に自信をなくすときがあります。
そんでもって、ノイローゼにもなります。
夜も眠れないときもあります。
それでも
逃げちゃ駄目なんだよね。
先輩に助けをもとめることは簡単だけど、それじゃ何も変わらない。
自分で悩んで自分で解決策を見出さないと駄目なんだよね。
とても厳しい仕事だと思いますが、やりがいはあるんですよ。
自分の車ならいいけど、お金をもらっているお客さんの車だもんね。
完璧に整備してあたりまえ。それがプロってもんだしね。
整備士を志す人には知っておいてもらいたい、整備士の苦悩でした。
MHOが知っている整備士の大半はうつ病状態になっているひとが多いですよ。
それだけ悩むんだよね。
でも入ったころは、自分のケツは自分でふけなかったけど、
3年やってくると、なんとか自分のケツくらいは自分でふけるようになってくるんだよね。
これからはもし後輩が入ってきたら、先輩にしてもらってきたことを
そのまま後輩へ伝えてあげたいと思います。
それが師弟って関係だね。
本日は整備士の苦悩でした。
エンジンオイルの漏れは定期的なオイル交換である程度は防げます。
オイルをこまめに換えて、オイル漏れを防止しましょう。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。
コメント
整備士をとっくに辞めているのに未だ夢にも出てくる辛い思い出を書きます。
整備士になって最初の配属先で2気筒のサンバーのドライブシャフトブーツが破れていた(昔はゴムの質が激悪)ので
交換してお客様に乗って帰った先で走行不能の連絡が来て
牽引で営業所に帰ったらいわゆるストレートピンとかスプリングピンとかゆうピンが入っていなかった。
フロントマンや責任者はお客さんからのクレームを庇ってくれた・・
再修理を先輩がしてくれた・・
でも、その日は何も手がつけられない位に落ち込みました。
お客さんの担当営業も「お客様も車も事故に会わなったのだから」と言ってくれましたが、ごめんなさいと言ったのかも覚えていない有り様でした。
まだ車も持っていない(買えなかった)のでバスで帰宅して
親父の車の中で号泣して自分を責め立てて父親に見つかって諌められましたが、プライドが許さなかったのか
次に些細な失敗でもしたら、辞めてやろうとほぼ毎日
考えてました
まあ、1年もするとどうでも良くなるのですがね・・・
もう、夢に出るの勘弁してほしい・・・
僕も失敗は山ほどしましたね。
そんな時、整備士として腕がない頃は工場長などにリカバリーをしてもらうわけですが
自分が情けなくなりますよね。
でも自分に後輩ができたときは、後輩の失敗はとりあえず全部自分でリカバリーをしてやろうとやってました。