自分でタイヤを交換しようとして、ホイールナットを力いっぱい締めちゃって、
駄目にしてしまったとの依頼。
ウチのオヤジもそうでしたが、ホイールナットというものにも
キチンと適正なトルクをかけて締めないといけません。
タイヤがとれるんじゃないか?
という恐怖もわかりますが、あんまり強く回さないようにしましょう。
ホイールナットが壊れたということは、相手側のクリップボルトも死亡しているので、
クリップボルトの打ちかえも必要になります。
クリップボルトは、車種によってはものすごくやりづらいものもあるので、要注意。
スバルヴィヴィオクリップボルト交換
別名ハブボルトとも言われていますが、
現物はコレ
こいつを交換するんです。こいつは、どうやってはまってるかというと、
ただナックルに打ち込んであるだけなんです。
車種によっては、裏からナットでとめて、かしめてあるのもあるけど、
大体のクルマは打ち込み式。
ちょうど軍手で持ってる辺りが、縦溝のギザギザ形状になっております。
このギザギザが、周り止めになって、ホイールナットをしめつけても、
クリップボルトは回らないようになっているんです。
ホイールナットを、力いっぱい締め付けちゃうと、
クリップボルトのギザギザ縦溝が削れちゃって、
ホイールナットと一緒にクリップボルトもまわっちゃうんで、こうなってしまったら、
交換ね。じゃないとそれこそタイヤがとれちゃうからね。
クリップボルトを交換するには、ヴィヴィオの場合は、
①ブレーキキャリパーを外す
②ブレーキローターを外す
といった作業が必要になります。でもこれでもものすごく簡単なほうなんだぜ!
右上のクリップボルトが壊れています。
ねじ山をダイスで立てるという手もありますが、
交換してくれって要望なので、交換します。
まずはブレーキキャリパーをはずしまっす。
結構な力でしまってるので、なめないように気をつけてね。
工場なのでインパクトレンチでとりますた。
で、次!ブレーキローターをはずしまっす。
ここに、適当なネジを締めていくと、ブレーキローターが浮いてきて外れるのです。
最初は固着して動かないので、ハンマーでちょっと衝撃を与えてやるといいかもです。
これでブレーキキャリパーとロータが外れたので、
ナックル部とご対面です。
ブレーキキャリパーは、ぶらぶらしないように、針金でショックにでも固定しておいてね。
ブレーキホースを傷つけるおそれがありますからね。
クリップボルトは前に説明したとおり、ただ打ち込んであるだけなので、
こっちからハンマーで
ガンガン
叩くと、ぽろっとぬけます。
で、新しいクリップボルトをどうやってつけるかっっていうと、
裏からハンマーで叩くっていう手もあるんですが、
そうすると、きちんとセンターがでてないと周り止めのギザギザが駄目になっちゃうんで
こうします。
ホイールナットをつけてインパクトで締めていくと、
クリップボルトは少しずつナックルに食い込んできます。
なぜホイールナットを2個使っているかというと、
1つはスペーサーです。
クリップボルトを打ち込んでみるとわかりますが、
ブレーキローターをはめた際に、ブレーキローターの厚み分、ねじ山が切れてない部分が
クリップボルトにはあります。
そこを痛めないようにするためなんです。
なので、スペーサーにつかうホイールナットは、
クリップボルトのボルトの直径よりでかいサイズじゃないといかんのです。
わかりますか?
要するに、ネジの径がでかくないと、ナットがくるくる回っちゃうからね。
ホイールナットじゃなくても、筒状のものでもOKですよ。
コレは、大型のクルマのホイールナットをスペーサーにしております。
そんなこんなで、インパクトでも、手でもいいですから締めていけば
クリップナットははまってきます。
これで作業完了!
ブレーキローターをはめて、ブレーキキャリパーをはめれば完成です。
クリップボルトを交換する面倒くささを考えると、
ホイールナットの締め付けには注意を払うようになりますね。
タイヤがとれちゃこまるけど、締めすぎにも充分注意してください。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。