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バルブクリアランスの調整を表にしてみた

ロータリーエンジンになくて、レシプロエンジンにある機構。

2サイクルエンジンがなくて、4サイクルエンジンにある機構。

つまり、4サイクルのエンジン独特の機構といえるのか?

それはバルブ

2サイクルエンジンにはバルブはないんですよ。
吸気ポートと排気ポートがあるんですが、ロータリーみたいにピストンでポートを

ふさいだり開いたりしています。

なぜ2サイクルと4サイクルが別々というと、

2サイクルは吸入と圧縮を一緒に

燃焼と排気を一緒に行います。

バルブ機構がないということは、当然

カムシャフトもない

だから2サイクルのエンジンというのはシリンダーヘッドが小さいのです。
2サイクルと4サイクルの見分け方はヘッドを確認するのがよい。

で、バルブですが、4サイクルエンジンで

吸入、圧縮、燃焼、排気

この4行程をバルブを駆使して行っております。

吸入の時はバルブをインテークを開いて

圧縮では両方のバルブは閉じていて、

燃焼でもバルブは閉じていて

排気でエキゾーストを開けるってかんじ?

正確にはオーバーラップとかあるから、ちょっと動きがちがうけど。
簡単に説明するとこんな感じです。

で、バルブというのはカムシャフトがロッカーアームを伝って押したりする場合

ラッシュアジャスターで、油圧で押したりしています。

前述のロッカーアーム式のバルブシステムだと、

バルブクリアランスの調整というものが必要になります。

ラッシュアジャスターは油圧なので自動で調整しています。
ロッカーアーム式のものは

ある程度距離を乗ってくると、バルブクリアランスを取り直さないといけません。

バルブクリアランスが開いてくると、エンジンのメカニカルノイズが
とても大きくなってきます。

ということで、本日のお題

バルブクリアランスの調整やってみましょう。


丁度いいので、F6Aをばらそう企画のヘッドを使います。

バルブクリアランスの調整は、ヘッドカバーを外して、
まずは一番を圧縮上死点にあわせます。

クランクシャフトをレンチで回して、1番を圧縮上死点にあわせたら準備完了。

バルブクリアランスをとるには、バルブが使われていない
バルブを調整します。

わけがわからないね。

説明が悪かったですね。

吸入行程では、インテーク側のバルブが開いているので、
インテーク側のバルブのバルブクリアランスはとれません。

逆に

排気行程ではエキゾーストのバルブが開いているので
エキゾーストのバルブクリアランスは取れません。

圧縮行程は、バルブは両方とも閉じているので
インテーク、エキゾースト共にクリアランスの調整可能です。

面倒くさいんですがオーバーラップというものもあったりするので
ややこしくなります。

つまり

4気筒エンジンで

点火時期が

1-3-4-2

という点火順序だとすると

一番が圧縮上死点の時は

表にするとわかりやすいので表にしますね。
これは

MHOが3級ガソリンエンジンを取ったときに使っていた技です。

1-3-4-2という点火順序だとします

そして4サイクルの行程は

吸入、圧縮、燃焼、排気

これを各シリンダーで表にすると

1番
2番
3番
4番

赤印をしたところにあたりますね。

1番シリンダーが圧縮上死点の時

2番シリンダーは燃焼行程

3番シリンダーは吸入行程

4番シリンダーは排気行程

このとき、バルブクリアランスを調整できるのは

この赤印をしてあるところです。

圧縮上死点の一番シリンダーはインテーク、エキゾースト両方OK

2番シリンダーは燃焼行程終わりですので厳密に言うと排気のために
排気バルブが開き始めています、エキゾーストは駄目

3番シリンダーは吸入行程終わりなので、エキゾーストの調整OK

4番シリンダーは排気行程の終了ですので、オーバーラップといって、
インテークとエキゾーストの両方が開いています。だから駄目。

よくわかんないですよね?
つまり吸入行程が始まる前にインテークバルブは開き始めています。
そして排気行程が始まる前にエキゾーストバルブが開き始めているんです。
この差があるのでややこしい。

だから排気行程の終わりでは、排気のバルブが閉じかけて、次の吸入工程に移るというので
吸入バルブも開き始めています。だからバルブの両方が開いているんですよ。

1番
2番
3番
4番

つまりこの表では

圧のマークのところはインテーク、エキゾーストの調整OK
燃のところはインテークOK
吸のところではエキゾーストOK
排のところでは両方駄目

こうやって覚えてください。
これは4気筒だけにしか使えない表だけどね。

何はともあれシクネスゲージは必要です。
6気筒エンジンだと、さらにシリンダーが2つも増えるので、ちゃんとした
円グラフをかかないと駄目なんだよね。

ま、理屈はこんなもんにして調整行って見ましょう。調整。


一番を圧縮上死点にあわせているとき、
ロッカーアームを上下にさすってみるとカタカタと隙間があいています。
これはロッカーアームがバルブを押していない状態なのです。

このクリアランスを調整してやるのがバルブクリアランス調整になります。


バルブクリアランス調整に必要不可欠なのがこのシックネスゲージ。
これは厚みの違うシムみたいなものです。
これをロッカーアームとバルブの隙間に入れて、調整するんです。


F6Aエンジンの場合、ロッカーアームの調整ロックネジは10mmです。
これをまずは緩めます。


そして、ロッカーアームの調整ネジの強さをシックネスゲージを挟みながら締めていきます。

そして最後に調整ロックナットをきちっと締めて完了。

順番は

ロッカーアームの調整ロックネジ10mmを緩める

規定バルブクリアランスのシックネスゲージをバルブとロッカーアームの間に入れて
クリアランスを手で感じ取る(笑)
シックネスゲージを挟んで、しこしこしてみてちょっときついくらいの隙間でOK

規定の厚さのシックネスゲージが簡単に動かせてしまうほど
バルブとロッカーアームがすかすかだと、クリアランスが大きいので、

調整ロックナットの頂点にあるネジをマイナスドライバーで締めていきます。
これでクリアランスを大体正常にしたら、ロックナットをしめると。
こんな感じね。

一番が圧縮上死点の時、表にある赤いバルブを調整したら、今度は
クランクを一回転させます。

そうすると今度は4番シリンダーが圧縮上死点にくるので

今度は残ったバルブを調整します。
4番が圧縮上死点の時は

1番
2番
3番
4番

こんな感じで、一番は排気行程終了で、バルブがオーバーラップしてるので
両方駄目。

二番は吸入行程終了なので、エキゾーストのバルブが調整OK
三番は燃焼行程終了なので、インテークバルブが調整OK

四番は圧縮上死点なので、両方OK

クランクを一回転まわすと丁度のこりのバルブが調整できるというわけになります。

でも現場ではいちいちこんな表を考えなくていいんですよ。

どれかを圧縮上死点にあわせたとするでしょ?
そしたら、ロッカーアームをさすってみて、かたかたしてバルブを押していないところを調整すればいいんだよ。
簡単ですよ。よーするにロッカーアームを動かして、動くところを調整しろってことだね。

ややこしくなってすみませんね。
ま、こんなところにしておきましょう。

本日はバルブクリアランス測定でした
ちなみにバルブクリアランスは

インテーク、エキゾーストともに数値がちがったりしています。
整備書をよむか、コーションステッカーに張ってあったりするのでそれを見て調整してね。

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