ターボがついてるエンジンのほうが、NAエンジンよりもオイル交換を早めに行わないといけない。車好きの人なら認知してることながら、改めてその理由を考えてみたいと思います。
まずターボというものについて。ターボは過給機と呼ばれるものです。具体的には何をするかというと、エンジンによりたくさんの空気を取り入れるための機械です。
過給機にはターボの他にスーパーチャージャーもあります。やろうとしていることは同じで、エンジンにより多くの空気を取り入れようとするものです。
NAエンジンというのはターボやスーパーチャージャーが付いていないエンジン。自然吸気エンジンと呼ばれています。このエンジンが取り入れることのできる空気量というのは、排気量によって決まっています。
NAエンジンでもっとパワーを上げたいということであれば、排気量を上げることが一番です。
ターボやスーパーチャージャーは同じ排気量のNAエンジンよりもたくさんの空気を取り込めるようになっています。ターボは排気ガスの圧力を使ってタービンを回し、それをコンプレッサーとして吸気側へ取り入れています。ターボによって圧縮された空気をエンジンへ入れる。これによりNAエンジン以上の空気を取り入れることができます。
スーパーチャージャーはエンジンのクランクシャフトから動力を得て、スーパーチャージャーのローターを回転させて空気を圧縮。こちらも同様に吸気側へ圧縮した空気を送っています。
同じ排気量のエンジンでも過給圧を上げることで、より多い空気を取り入れるのがターボとスーパーチャージャーです。
では、ターボは何故エンジンオイル交換をこまめにしないといけないのか?
ターボエンジンって、NAエンジンよりも発熱量が多いです。その理由は何故かというと、ターボチャージャーは排気ガスによって回されています。ターボの軸はエンジン回転数とは比べ物にならないほど高回転で回っていて、20万rpmを超えるものも存在します。
エンジン回転数が7000rpmでレッドゾーンを迎えるエンジンもある中で、相当な回転数なのがわかります。
これほど高速で回転するターボです。しかも動力源はエンジンから発生する熱い排気ガス。どれだけの熱にさらされているか想像するのは簡単です。
そしてターボの軸は常にオイルによって潤滑されています。高温高熱にさらされているターボなので、オイル管理がとても大切になってきます。
オイル管理を怠ると軸はあっという間に焼き付きを起こしてしまう。オイルの劣化具合もNAエンジンよりも厳しいのです。
ターボにオイルを供給しているオイルパイプですが、油路がかなり細いんです。パイプ自体はそこそこの太さを持っていますが、そこを通すユニオンボルトの穴が小さい。
写真の手で持っているボルトのワッシャの近くに穴が開いているのがわかりますが、ここをオイルが通ります。
つまりオイル交換を怠って、エンジンにスラッジでも発生しようものなら、この油路はすぐに詰まってしまいます。するとターボはすぐに焼き付いてしまう。
壊れたターボを交換する時、徹底的にエンジンをフラッシングする必要があります。もしターボが壊れた原因がオイル交換の不備によるものであれば、ターボを交換しただけではまたすぐに壊れてしまいます。
エンジンに堆積しているスラッジを除去しないと、新しいターボの油路をまた詰めてしまう。新品のターボがまた壊れちゃうということです。
ターボエンジンのオイル交換が厳しい理由はここにあります。
ターボの油路が詰まったりすると、軸がぶれて動いてしまい写真のようにブレードに傷がつくことがあります。
タービンのブレードが傷つくと、スムーズにブレードが回らなくなり、アクセルを踏んでも異音を発生して動かなくなったりします。
軽自動車のターボエンジンはNAエンジンに比べてオイル交換の時期が、およそ半分で指定されています。シビアコンディションの軽ターボに至っては2500km、または6か月ごとの交換を指定しているメーカーもあります。2500kmでオイル交換ってなかなかすごいですね。
では同じ過給機のスーパーチャージャー。こちらはオイル交換は厳しくねっていう話はあまり出てこない。
それは何故なのか?
まずターボは熱い排気ガスの圧力を動力として駆動させています。これに対してスーパーチャージャーはエンジンのクランクシャフトからベルトを介して機械的に回しています。
ターボに比べて熱害がまず少ないということ。そしてスーパーチャージャーを潤滑しているオイルな何か?これはミッションやデフオイルと同じギヤオイルを使っています。
クランクシャフトからファンベルトを介して回されるスーパーチャージャー。スーパーチャージャーを潤滑しているのはギヤオイル。
これを見る限り、ターボチャージャーよりも熱害が少ないことは一目瞭然です。なのでスーパーチャージャーのエンジンオイル交換はターボチャージャーに比べていろいろ言われないのです。
しかし、NAエンジンに比べてより多くの空気を圧縮して取り入れ、従来以上のパワーを引き出すのはターボと同じです。NAエンジンに比べると、エンジン自体の発熱量は多いのは間違いありません。
オイル交換する時は、きちんと取り扱い説明書に則ったグレードと粘度のオイルを使う必要があります。ターボ用を使っても大丈夫ですけど。
・ターボエンジンはNAエンジンよりもオイル交換をまめにする必要がある
・ターボエンジンは発熱量がNAエンジンよりも高いため、オイルへの負担がかかる
・ターボにオイルを供給する油路は狭いため、オイル交換をまめにしないとスラッジで油路が詰まってしまう。
・一般的にターボ車のほうがNAエンジンよりも粘度の高いオイルが使われている(車種による)
・オイル交換のスパンは軽自動車ターボならNAエンジンよりも半分の距離・時期で交換
・スーパーチャージャーはターボよりはオイル管理が厳しくない
オイル交換をケチってターボが壊れた。修理代が10万円をこえてしまった・・・。となる前に、オイル交換はこまめに行いましょう。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。