急にエンジンが止まってしまった!出張に行ったら何の問題もなく正常だった、さあどうする?

今日の出来事です。一本の電話が鳴りました。

「急にエンジンが止まっちゃって、何とか路肩に寄せたんだけどすぐに来てくれないか?」

電話先のお客様は非常にパニックな状態に陥っています。しかし、ある程度の情報を引き出させてもらわないと、装備していくものがまったくちがいます。

キャリアカーは違う納車の旅に出ているため、代車に工具を載せて出発することに。車はスバルのサンバーだというので、その場で再始動させられるように、ストックしてあった中古パーツを持っていきました。

お客さんに言われた場所に行くと車を発見!しかし本人はおらず、鍵もロックしてあったので携帯に電話して合流しました。

キーを受け取って、エンジンを始動したらなんともなく一発で始動。

不調を起こしている箇所もなさそうなので、お客さんには代車に乗ってもらい、僕自身がお客さんの車に乗って工場へ戻りました。

工場へ戻る途中、いろんなことを試してみましたが、一切不調は再現できませんでした。

お客さんからの問診で、エンジンチェックランプが点滅していたというので、工場に戻ってOBDを接続。

ダイアグコードを何か拾っているかと思ったら何も拾っていませんでした。

つまり現在は表立って何も不調も出ていなくて、故障コードも入っていないという事になります。

お客さんにここまでの過程を説明すると、心配だからなんとかしてほしいとの事。

とりあえず車を預かって、再現からスタートさせてほしいので、時間を頂きたい旨をお伝えしたら、それは困ると言われました。

では、サンバーで年式を考えるとカムセンサーやらクランクセンサが良く壊れます。

そして、ISCも詰まってきてエンジンがストールしている可能性や、もしかしたらプラグが失火してエンジンがストールしたのかもしれないという事を伝えました。

お客さんは早くこの場で何とかしてほしい気持ちがあります。しかし、症状を再現できない故障で、故障コードが残ってない場合は予測で手をいれるしかありません。

そもそも問診をしている中で、お客さんが訴えてる症状がセンサの不良っぽいし、ISCの詰まりのようだし、失火のようだし、なんなら燃料ポンプも怪しいし。

この中で一つずつ試しながらつぶしていくか、どうするかという事になります。

修理の基本は故障を再現することからスタートします。何故再現するか?

後輩にもよく言っていることなんですけど、答えが予測できていたとしても再現からスタートせよ。

その理由は誤診を防ぐ為です。

朝一でキュルキュル音がする。この以来の場合整備士ならみんなベルト鳴きだろって予測を立てます。

でもこんなことがありました。ベルト鳴きで間違いなかったんですけど、クランクプーリーもすり減っていたのでプーリーも事前に取り寄せて、いざ修理しようと思ったら、まさかのクランクシャフトのキーが潰れていたというケース。

こちらが予測をして臨んでいると、見逃して追加整備が発生する可能性が高いです。最初から追加整備ありきでスタートするのならいいんですけど、今回の場合は予防整備なので外れる可能性がある。

お客さんはお金を払ったのに直ってないという気持ちが強くなることがあり、気持ちが行違う事があります。

その場でそこから始めてくれと言われても、実際に修理完了して症状が再発した場合、お金を払いたくない気持ちになってしまうんです。直ってないわけですから。

なので、ちゃんと双方が納得した上で作業をスタートさせないと駄目だということ。

これは整備の腕云々の話ではなく、対人間に対する問題になります。

今日も見積もりを何パターンか提示して、検討してもらうようにしました。予測整備をして直らなかったダメージって意外と大きいです。

僕が整備を担当する時は、やはり症状の再現からスタートするようにお願いしています。

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