国土交通省からアナウンスがありました。まずはプレスリリースをご覧ください。
車輪脱落事故って、大型車だけではなく僕らが毎日使ってる軽自動車や小型車、普通車であっても起こり得ます。
この国土交通省のプレスリリースで興味深かったのは左の後輪に注意せよというもの。
4輪あるタイヤのうち左のリヤタイヤの脱落はドライバーが気がつきにくい。
まず左のリヤタイヤを考えてみると、右ハンドルであれば運転手から一番離れたタイヤに位置します。
フロントのタイヤは舵取りを行うし、異変があればハンドルへその感覚がダイレクトに伝わってきます。
(ステアリングバイワイヤを除く)
ステアリングバイワイヤは、ハンドルがただのスイッチとなっていてます。今市販されている車は基本的にはハンドルからシャフトがのびて車外へ出ています。そしてステアリングラックと連結して、ダイレクトにタイヤまで連結されている。
なので、フロントタイヤに異変が生じるとハンドルがぶれたりハンドルが取られたりといったドライバーにわかりやすいインフォメーションを車が出してくる。このため、フロントタイヤの脱落は脱落する前にドライバーが異変を感じて水際で防げることが多い。
これに対して、リヤタイヤ。リヤタイヤは操舵をしていなく、基本的にはフロントタイヤに追従しているのでドライバーが異変を察知するには、異音を感じたりゴツゴツ感など微妙な変化を察知するしかありません。
これはなるほどなぁと思ったので、国土交通省のPDFを引用して紹介します。
・ 右折時は、比較的高い速度を保ったまま旋回するため、遠心力により積み荷の荷重 が左輪に大きく働く。
・ 左折時は、低い速度であるが、左後輪がほとんど回転しない状態で旋回するため、 回転方向に対して垂直にタイヤがよじれるように力が働く。
・ 道路は中心部が高く作られている場合が多いことから、車両が左(路肩側)に傾き、 左輪により大きな荷重がかかる。
国土交通省のHPより引用
このPDFレポートはトラックについてですが、乗用車にもある程度当てはまります。
特に右左折時に旋回スピードが違う点や路肩が左側にあるというのは右ハンドルの日本ならではですね。これがアメリカに行くと変わってくるんでしょう。
左ハンドルで走行車線も反対になるわけですからね。
日本の交通ルールだと、左折時は基本的にカーブがきついので速度がおそい。右折時は大回りになるので旋回スピードは高い。
当然左側通行なので、左タイヤの方が道路中央にある右タイヤよりも傾きがあり、右タイヤよりも常に荷重を受け続けていると。
理にかなっています。
ここからは整備に携わって感じてる、タイヤ脱落の原因を紹介します。まずタイヤ脱落原因のナンバー1にあたるのがホイールナットの緩みです。
ホイールナットが緩むのは、いろいろ原因があります。規定トルクで締め付けられていない。タイヤ交換時、ある程度走行した後に増し締めしていない。ホイールにあっていないナットを装着している。
僕は整備士になる前って、タイヤなんかネジを締めておけば外れるもんじゃないと思っていました。ですが、実際に整備士になっていろんな車を触ってると、あるんです。入庫時にホイールナットがゆるゆるの車。
さらにはどんなトルクで締め付けられているのか、最強のインパクトレンチでも緩まないナット。その後は大抵ソケットが折れてしまう・・・。
自分がこのホイールナットは危ないよなーって思う車が入ってくることだってあります。当然このホイールにはこのナットはよくないから交換させてくれといっても、NO!と言われることだってあります。
整備士になってホイールナットの恐ろしさっていうのを痛感しています。なので僕は家族の車をタイヤ交換した後は必ずある程度走ったら増し締めをきちんとしたトルクレンチで行ってる。
高速道路に乗る時などは、必ずホイールナットの点検もします。
タイヤを脱着した後にタイヤ脱落する危険が高くなります。
あとタイヤが脱落する原因としてはホイールの不良。ホイールナットとホイールのかみ合い不良。さらにはハブボルトの折損などが考えられます。
ハブのベアリングが不良でハブごとタイヤが落ちる可能性もあります。一番はタイヤを脱着した後に危険が高くなるということです。
もしプロにタイヤ交換をしてもらったとしても、安心してはいけません。なぜならタイヤを交換した後にはある程度走行して増し締めをしないといけないから。
普通タイヤ交換をしたら、増し締めまで行うお店は少ないです。お客さんが増し締めに来店してくれることが稀で、その後のことに関してはお客さん自身に増し締めをしてもらわないといけないからです。
タイヤ交換をしたりしてもらったら、1週間後くらいに増し締めをしてください。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。