そろそろ冬から春へと移り変わり、スタッドレスタイヤからノーマルタイヤへの履き替え作業が始まっています。地域によっては、ピークを終えているところもあかかなと。
僕が住んでいる地域でも未だ盛んにタイヤ交換をしていますが、もうちょっと北の方の地域の人はまだこれからという人もいるかと思います。
改めてタイヤ交換について。結論を先に言うと、整備士をしていますが正直な話タイヤ交換という作業はできればしたくありません。その理由は何故か?
目次
タイヤ交換後しばらくしたら増し締めをしないといけない
これが僕がお客さんの車のタイヤ交換をしたくない最大の理由でもあります。
タイヤ交換をしたら、本来なら100km程度走ってから再度ホイールナットの締め付けを確認しないといけません。いわゆる増し締めというものです。
何故、増し締めが必要なのかというと、走行後100km程度走ってくるとネジが緩んでくる可能性があるからです。それはホイールとナット、ハブなどそれぞれがなじんでくるという意味合いもあるわけですが、緩んでくるものがあります。
どこの自動車メーカーであっても、タイヤ交換後は100km程度走行したのちに増し締めをしてくださいと注意書きがなされています。
ある程度利用してくれるユーザーであれば、そのことを伝えてしばらくしたら増し締めに来てくださいと伝えています。
しかし、タイヤ交換って一見さんもふらっと訪れます。タイヤ交換を実施した後に増し締めの事を伝えてもなかなか理解してもらえないのが実情です。
「他のお店やスタンドではそんなこと言われたことがない!」
このように言われてしまいます。お客さん側にしてみれば、タイヤ交換をしてもらえればそれで終わりだと思ってる人が大多数です。でもはっきり言っておかないといけないのが増し締めをきちんとしないと、タイヤのネジは緩んでいる可能性があるという事。
増し締めを完全に実施できるかわからない車両があるために、タイヤ交換をしたくないです。
ホイールとナットのあたりがイマイチな車
ホイールに微妙にあっていないホイールナットを使ってる車もよく見かけます。こういった鉄チンホイールに貫通ナットという組み合わせならいいんです。
アルミホイールなのに、アルミ用じゃないナットを使っている為、ホイールがえぐれてきている車もたくさん見かけます。
ホイールとナットがちゃんとあっていないと、ホイールナットは緩みやすくなります。通常よりもよっぽど早くゆるみが発生する。
お客さんはいつもお願いしているからわからない。という人もいます。自分たちのお客さんならタイヤ交換用のホイールナットの有無は確認が取れます。
ですが、一見さんの場合ナットを使い分けているかすらわかりません。緩みやすいとわかっているナットでタイヤを交換する。その後は増し締めにすら来てくれない。こんな車両だとさらにタイヤ交換をしたくなくなってしまいます。危ないですから。
タイヤを外したらホイールナットのネジ山がなめてる車がある
これもタイヤ交換あるあるです。ホイールナットを外してみたら、ネジ山が駄目になってる車がたまにあります。
どうしてこんなことが起きるのか?
前回タイヤ交換をした時に、ホイールナットとクリップボルトに異物が噛みこんでいた場合。そのままそれに気が付かないでネジを締めつけていると、このような事態になります。
締めるときは締まっちゃう。だけど異物を噛みこんでるので、次回緩めるときにネジ山が駄目になってホイールナットが外れてくる。
こうなると軽症ならネジ山を立て直すなどの修正で大丈夫ですが、重症になるとホイールナットとクリップボルトを交換しないといけません。
車種によってはハブベアリングを分解しないとクリップボルトが外れない車もあります。タイヤ交換が後で手痛い出費になってしまうパターンです。
前回も自社でタイヤ交換をしていれば弁償などの話ができますが、前回違うお店でタイヤ交換をされていると困っちゃいます。その状態のまま乗って帰ってもらうわけにもいかないし・・・・。
タイヤ交換が思わぬトラブルに発展してしまうということ。
タイヤは人命を乗せているということ
タイヤ交換でもいろいろなトラブルが起きることはわかりました。一番怖いのはタイヤって人命を乗せているという事。これを忘れてはいけません。
タイヤ交換って、教習所でも手順をならいます。パンクした時スペアタイヤに交換ができないと困るという事ですね。
ですが、タイヤ1本外れてしまったら即大事故につながります。それこそ人命に直結する作業なんです。
はっきりいうとタイヤ交換をなめてはいけない。という事なんです。タイヤ交換のトラブルは毎年必ず起こります。それだけ作業が完全ではない。
怖いでしょう。僕はお客さんのタイヤ交換をするときは、外したクリップボルトとホイールナットはパーツクリーナーでネジ山を洗浄します。
本当にやります。だって後にトラブルにつながった時に自分はきちんとした手順でやったと言いたいですから。当然引き渡し時には増し締めの重要性も伝えます。
タイヤ交換は交換してもらってそれでおわり!というお客さん側の認識も変えてもらわないとまずいのです。近隣ディーラーでは、トルクレンチでの増し締めはお客さんが見ている前でやるところもあります。
これは作業に対する免責みたいなものですよね。ちゃんとあなたの前で規定トルクで締めました。作業に不備はありませんよって。
それでもネジは緩みますから。
タイヤ交換を甘く見ていると大事故につながります。作業する時は確実に作業をして、後に増し締めもきちんと行って下さい。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。