車好きの人にとって、オイル添加剤というとちょっぴりワクワクするアイテム。僕もそのうちの一人で、いつも使っている車が添加剤を入れることでどのような効果をもたらすか?
オイル添加剤を入れることによって変わるエンジンの状態を楽しむ人も多いと思います。しかし、本当にオイル添加剤っていいものなのか?
今一度、オイル添加剤について考えてみます。
まずオイル添加剤を入れる目的とは?オイル添加剤とは何者なのか?
人間で考えるところのサプリメントに例えるとわかりやすいと思います。エンジンオイルって大まかに5つの作用を持っています。
潤滑・密封・冷却・洗浄・防錆。潤滑はエンジン内部を高速で動くシャフトやピストンなどの潤滑。密封はエンジンの圧縮などをオイルでも密封しています。冷却はオイルによってピストンなどの冷却をしています。洗浄はエンジン内部の汚れを落とす。防錆は錆びたら困るわけで、錆を防止する。
ざっと紹介するとオイルの役割はこのようなことをしています。
オイル添加剤はこれら5つの性能のうち、どれかを引き上げるようにするものといったイメージです。
添加剤の多くはエンジンの騒音が少なくなるといったうたい文句があります。これは潤滑性能をより向上させる添加剤が入ってるということ。エンジンの汚れを落とすフラッシング剤は洗浄性能を主とした添加剤です。
エンジンオイルが持っている性能以上のものを引き出すために、オイル添加剤は存在するわけですね。
しかし、オイル添加剤ってただ入れればいいだけではありません。
車によっては明確に「オイル添加剤を入れてはいけない」と取り扱い説明書に記載してある車があります。その筆頭なのが日産GT-Rです。
GT-Rに使われているエンジンオイルは、日産が作ってるエンジンオイルではありません。普通であれば自社で開発したエンジンオイルを使っているはずですが、GT-Rはそうではないのです。
理由は何故か?日産GT-Rは当初よりグローバル展開をする目的のスポーツカーとして開発されました。日本以外でも幅広く販売するということですね。
もし、日本から遠く離れた異国の地で純正指定オイルが手に入らなかったら・・・?それを懸念してGT-Rに純正指定されているのは石油会社のMobile1を使っています。
実はこれ、ポルシェなども同様に使ってるオイルです。やはり、グローバル展開した時にどこでも手にいられれる高性能オイルというと、Mobile1にたどり着く。
GT-Rに指定されているMobile1の粘度は0W-40。普通のエコカーは0W-20が主流です。でも粘度指数が40です。スポーツ走行をすることを目的でもあるGT-Rなので、幅広いワイドレンジの粘度が必要になる。
さらに搭載されているVR38DETTは匠と呼ばれるマイスターたちが一機ずつ手組をしています。普通の生産ラインでエンジンを製造しているわけではなく、熟練した職人たちが責任をもってくみ上げてテストをしている。
エンジンはライナーレスのシリンダーブロックを使っています。この辺りも大変なこだわりを持って開発されているエンジンです。
なので、GT-Rの場合オイルに対する要求が非常に厳しく、ストライクゾーンが普通の車より狭いのです。下手な添加剤を入れられて、オイルの性能が偏ってしまうと困るわけです。
だからGT-Rはオイル添加剤を禁止としています。
オイル添加剤を使ってはいけない車があることもわかりました。ではオイル添加剤の上手な使い方はどうなのか?
まず目的をきちっとするということ。例えば明日サーキット走行やジムカーナなどスポーツ走行を楽しむ予定!ということであれば、高性能なエンジンオイルを入れて、潤滑性能を引き上げる添加剤を入れる。(入れるエンジンオイルに添加剤の併用ができない旨など書いてないかを確認すること。)
エステルベースとした添加剤で、スポーツ走行にも対応しています。信頼できるKUREの添加剤です。
続いて、中古車を買った場合などでいったんエンジン内部をクリーニングしたい。フラッシング目的な場合など。
素性のわからない中古車に使う、フラッシング剤は遅効性がお勧めです。一気に汚れを落とすとオイルラインが詰まってエンジンに負担がかかるため、少しずつ効いてくるワコーズのeクリーンプラスがお勧め。
オイル漏れなどエンジン全体がくたびれてきている場合。オイル漏れを止めたり、若干エンジン内部をクリーンにしたいときはこちら。
エンジン内部を洗浄しつつ、潤滑性能も保護。さらには固くなったオイルシールを柔らかくしてオイル漏れを改善する添加剤です。
目的別に添加剤を選んでいくと間違いがありません。
オイル添加剤を入れる目的はあいまいで、ただ新しい添加剤を試してみたいという場合。僕もこれにあたります。
添加剤の効果を調べる場合など。こういう時って前の状態と比較ができないと話になりません。なので、エンジンオイルは前に使ったものと同じ銘柄のものを使うこと。
例えば20リットルのペール缶でオイルを買っておく。当然自分の車の指定グレードと粘度を守る。オイルは同じ銘柄を使って、添加剤をオイル交換ごとに変えていく。
こうするとテスト条件が同じになるので、違いが分かりやすいです。添加剤を入れ替えるとき、オイルも違う銘柄にすると、オイルが良かったのか添加剤が良かったのかわかりません。
せっかく添加剤をいれるのだから、あえてオイルは安いものを使うというのもアリだと思います。100%化学合成油じゃなくても普段使いならほかのものでも大丈夫です。
オイル添加剤って、試すと本当に楽しいです。1つあたり2000円しない金額でたくさん売っています。その違いを試していくと、オイル交換がさらにワクワクするのでお勧めです。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。