古くなってきたエンジンには、適度にオイルを交換していたとしても、少しずつ問題が生じてきます。
オイルを適切に交換していれば、エンジン内部にスラッジが堆積することはほとんどあり得ません。ただ目に見えるスラッジが堆積していなくても、劣化は始まってきます。
エンジンを長く使ってくるとどうしても圧縮が下がってきます。エンジン内部の気密性が失われていくことで、パワーダウンが発生します。
圧縮が下がる原因は、シリンダーやピストンリングが摩耗してきていたり、ピストン自体が摩耗してきたり。バルブシートから少しずつ圧縮が抜けてきたり。
ヘッドガスケットから抜けてきたりなどなど。
次に、各部オイルシールが硬化してくるため、オイルが漏れたり燃えたりします。バルブステムシールが劣化するとバルブからオイルが燃焼室へ下がってオイル下がりが起こります。
カムやクランクのシールが硬化すると外部へオイルが漏れ出します。
これらはオイル交換をきちんと行っていたとしても、引き起る劣化現象です。
20年前で走行6万キロ弱の車に添加剤を入れる理由
実家に20年落ちで走行距離6万キロ位になったキャリィがあります。この車も生前父が新車で購入したもので、車検整備はずっと僕が行っています。
4年前の車検で、大きな整備を一通り済ませました。タイミングベルトの交換とマフラーの交換です。あとオイル・ミッションオイル・デフオイルなどオイル類を全て新品に交換。
機関は良好ですが、フレームの錆が気になってきています。
エンジンオイルも1年に1度交換するかしないか位です。というのも、この車はほとんど乗らなくなったから。前回車検をしてから走行距離は300kmくらいしか伸びてませんでした。
殆ど使わなくなった車であっても、各部は劣化していきます。決まってこの車にはとある添加剤を入れるようにしています。
KUREの多走行車という添加剤です。
この添加剤が素敵なのは、オイルの性能を底上げするという目的ではなく、くたびれてきたエンジンの保護をする添加剤なのです。
価格も安く、オイルフィラーからさっと入れて終了!というわけですが、いつもオイルを交換するのと同時に添加しています。
タイミングベルトを交換した時に気が付いたのが、カムシャフトオイルシールからオイルがにじみ出ていたこと。
この添加剤にはオイルシールの弾力を回復させ、オイル漏れを防止する機能があります。
添加剤を入れ続けていることで、オイルシールをまだ交換していませんが、外部へオイルが漏れだすところまでは来ていません。
整備士になりたての頃、添加剤って半信半疑でした。
というのも、オイルシールからのオイル漏れなんか、オイルシール自体を交換しないと根本的に治らないでしょって思っていたんです。
でも、軽微なにじみくらいなら本当に止まってしまうのです。
キャリィはタイミングベルトだけしか換えてません。ウォーターポンプが漏れてきたらその時にカムとクランクのオイルシールも交換しようと思っています。
お客さんの車なら、ベルトとポンプ、シールまで全部交換したと思います。工賃は一度で済むから。
でも自分の家の車なので、切れたらやばいタイミングベルトだけを交換して、あとは寿命が来てから随時部品を交換していこうと。
これが、毎日乗ってる「待ったなし」の車なら迷わず全とっかえですけど。ほとんど乗らない車には都度整備で十分だと思います。
走行距離が伸びて、古くなってきた車には多走行車というオイル添加剤がとてもお勧めです。価格が安いしお手軽です。
もちろん普通車用もあります。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。