まずはこちらをご覧ください。
こちらはダイハツのタント。ターボモデルのエンジンルームに貼ってあるメンテナンスの詳細が書いてあるステッカーです。
下から4段目に点火プラグについて記載があります。
点火プラグ(イリジウムプラグ)100000km毎交換
搭載されているエンジンはKFエンジンです。ターボが付いているモデルになります。
NAエンジンのプラグは通常のグリーンプラグが付いてたりします。
説明書きによると、10万kmは無交換でいいということになりますが、このタントは走行5万km弱でエンジン不調になりました。
目次
ダイハツのターボエンジンは点火系がよく壊れる!!
もはや断言させてもらってもいいくらい、何台ものダイハツターボエンジンの点火系統を修理してきました。
スパークプラグだったり、イグニッションコイルだったり。メーカーが定めている10万kmを待たずして失火してエンジン不調になる。
もちろん10万km以上プラグがもつパターンもあります。でも、10万km前にエンジンが失火する個体が他のメーカーに比べて多いと思います。
同じ軽自動車でもスズキもたまに同様のトラブルがありますが、ホンダは失火のトラブルが少ないように思います。
イリジウムプラグを10万km交換とメーカーが定めているのは何故?
実際に失火してしまったタントのスパークプラグです。
自動車メーカーって、部品交換の距離をある程度マージンをもって定めています。それもそのはず、10万kmで交換しないといけない部品が10万kmぴったりで故障するとこまるからです。
ヒューズと考え方が似ています。10Aのヒューズが設定されている電装品は、実際には8A程度しか流れない。その電装品は20A位流れると壊れちゃうけど、15A位までなら耐えうるというイメージです。
タイミングベルトだって、10万kmで切れたら困るわけです。そう簡単に切れたらエンジンがその時点でダメになってしまうからです。本来なら10万km超えたら黄色信号ですよと。
メーカーが指定している距離よりも早く壊れてしまうのは、裏を返せば問題であると僕は思います。
今回は1本のプラグが失火してエンジン不調になっていました。走行距離は5万km弱です。交換時期のおよそ半分です。電極を見ると白く焼けてるのが分かります。
NGKやDENSOのプラグ交換の基準は?
まずNGKのイリジウムタイプのプラグで注意点はどうなのか調べてみました。
四輪車は~100000kmと書いてあります。注釈に
機種により「交換距離の目安」が異なる場合があります。また、荷物を多く運搬する車や小排気量車、チューニング車、同時点火コイル採用車等では交換距離の目安が短くなる場合があります。
NGKのHPより引用
DENSOのHPには、寿命を短くする要因として
高速走行、高積載走行、登坂走行、長時間アイドリング等などがあげられています。
タントは同時点火システムではなく、気筒あたりにイグニッションコイルが装着されています。
同時点火システムというのは、1つのイグニッションコイルで2気筒のプラグに火花を飛ばすタイプです。軽自動車ではスバルの4気筒エンジンのサンバーなどが有名です。
同時点火システムだと、圧縮上死点にあるシリンダーとそうでないシリンダーの両方に火花を飛ばすので、プラグの摩耗が2倍速くなると考えるとわかりやすいです。
10万kmOKのイリジウムプラグが5万kmでダメになる理由は?
NGKやDENSOの注釈以外に、プラグが駄目になる要因として考えられるのが人為的なミスです。
プラグを点検しようとして脱着する際に、きちんとレンチを当てていないと斜めに噛みこんで、ガイシ部分に見えない負担がかかる。
もちろん、プラグを装着する時にもちゃんとマグネットが効いたレンチなどで静かにシリンダーへ装着せず、プラグホールの高い位置から落としてしまったなど。電極が狭まってギャップが狂ったり、これまたガイシが割れる要因にもなります。
これが人為的ミスによるプラグの故障。
あとは、残念ながらプラグ単体の寿命や製品不良も考えられます。そして、エンジンの状態など。
これらを全ての要因を考えたとしても、10万kmOKとメーカーで記載しているプラグが5万kmで故障するとなると、こちら側も困ってしまいます。
できれば7万kmくらいまではもってほしいよねって。それが駄目なら、プラグ交換の距離をもっと短く設定してほしいです。
お客さんはメーカーで指定されている距離の半分で、プラグが原因の失火が起こったらちょっと納得できないと思うんです。それが指定距離の半分だったりすると余計ですよね。
整備している人間からだと、そういう車を何台も見てきているから、またか・・と思うくらいに鈍感になっていますけど。
何でも長寿命化設定するのはいいんですが、それならば9割以上の車がその数値をクリアしてほしいよねって。
たまたまダイハツ車で遭遇するケースが多いのか、そうでないのかは不明ながら、同じ軽自動車でも問題なく寿命まで使い切れるメーカーがあるのなら、エンジン本体の問題なんじゃないのかなと考えてしまいます。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。