昨日の話ですが、法定12ヶ月点検の請求書を眺めていたら、なかなか高額な金額だったので紹介したいと思います。
車はカローラで、走行距離が10万キロを超えていました。法定12ヶ月点検の請求金額は、10万円ちかかったです。車検でもない法定12ヶ月点検で10万円近い金額は妥当なのか?内容を検証してみます。
まず最初に法定12ヶ月点検の基本料金から。点検整備記録簿に沿った点検を行います。その料金はカローラクラスだと1万円くらいです。
何もなければ1万円弱で法定12ヶ月点検ができるということです。では一体何がプラス9万円の請求につながったのか?
カローラの12ヶ月点検のメニューは以下の通りでした。
エアクリーナー交換・・・2000円
オイル・オイルフィルター交換・・・約5000円
スパークプラグ交換(イリジウムタイプ)・・・工賃含めて約1万円
補機駆動ベルト交換・・・ベルト2本で約5000円
ウォーターポンプから水漏れ交換・・・工賃含めて約15000円
フロントブレーキパッド残量2mmの為交換・・・工賃含めて10000円
スーパークーラント交換・・・3000円
タイヤ溝なし4本新品交換・・・組み換え、ホイールバランス工賃含めて35000円
もう少し細かい部分はありますが、大まかな交換部品と価格をあげるとこのような点検でした。合算すると10万円をこえる金額になります。
法定点検で10万円を超えるというと、整備士のぼくでもちょっとインパクトがある金額だと思ってしまいます。
昔の車のように10万キロごとのタイミングベルトやマニュアル車のクラッチオーバーホールなどがなくなったとはいえ、車には大まかに5万キロ周期である程度のメンテナンスが必要になります。
ブレーキパッドの交換タイミングやベルトの交換。10万キロ台になるとイリジウムプラグも交換です。タイヤもこの位のタイミングで減ってきます。
早い人なら2回目の車検で5万キロに到達しますが、初回車検から2回目や3回目車検の金額が跳ね上がる理由はここにあります。
交換が必要な部分が出てくるからです。
もし、タイミングベルトを使ってる車ならもっと費用はかさんできます。
では、今回点検をしたお客さんはどうだったのかというと、現状で悪い部分をお伝えしてその中でどこまで手を入れさせていただけるのかを事前に相談しています。
もちろん、車検とは違うので何もしないでお返しすることだって可能です。ただその場合、整備をしなかった場合どういう故障につながるかの説明もしているので、オーナーの判断次第になってきます。
車検の場合は保安基準があるので、その部分を整備しないと検査に合格できなくなります。しかし法定点検の場合だと、仮にテールランプが割れていたとしても、後日に整備をするのかどうかはオーナーが決めればいいことです。
テールが割れている状態で走ると、もしかしたらおまわりさんに指摘されることもあるかもしれませんけど。
今回のお客さんは、車が故障すると困るので全て整備をしてくださいというオーダーでした。
10万円という強烈な点検になったわけですが、メリットはどこにあるのか?
今回のタイミングで定期点検をしたことで、もちろんメリットがあります。まずはウォーターポンプからの水漏れを早期発見できたこと。もし、今回点検をやらないで車検までオーナーがその事実に気が付かなかったらエンジンがオーバーヒートして駄目になっていたかもしれません。
そして、ブレーキパッドの残量も2mmの為、車検までにパッドを使い切ってしまっていました。急にブレーキが効かなくなる危険を回避できた。
プラグやエアクリーナーについては、車検までもったかもしれませんけど、もしかしたらエンジンが不調になっていたかもしれません。
タイヤについても同様です。スタッドレスタイヤに履き替えれば、まあ問題はなかったかもしれませんけど。いずれは買わないといけなかったかなと。
法定点検で10万円の費用をかけたということは、次回の車検ではほとんど整備する必要箇所がなくなっているということになります。つまり車検は安くなる。
いずれ整備をしないといけないわけなので、遅かれ早かれ費用がかかったのです。
トラブルを早期発見できて、車にダメージが及ぶ前に整備できたことが最大のメリットだと思います。
年間の走行距離が15000kmを超える人や、山間地を走行する人は法定点検をきちんと受けたほうがいいです。
そもそも法定点検と書くだけあって、法で定められている点検です。点検を受けないことでの罰則は明確化されていませんけど、本来は点検をしないといけません。
車検から車検まで何もしなくていいのは、車を酷使しない人です。ガンガン車を使う人なら、部品をそれだけ摩耗が早いです。車検までに寿命を迎える部品がでてきて、大きなトラブルにいつながることもあるので、できれば点検は受けるようにしたほうがいいです。
僕も家族の車でもブレーキパッドは半分くらいまで減ったら交換しています。次の車検まで持たない可能性があると判断した場合、ローターも駄目にしちゃうので早め交換をするほうが安心です。
もちろん整備内容は相談しながらで大丈夫なので。車検並みに車の状態をチェックしてもらえる法定点検は実はコスパが高いんです。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。