時々、車検代を支払いに来たお客さんが
「高いね!」
と言ってくることがあります。その気持ちは確かに分かります。明細を見て、どこでどのように費用がかかったのか、他の工場との金額の差はなんなのか?
その辺りを丁寧に説明して、お金を支払ってもらっています。
車の整備や車検代って高いというイメージがどうしても付き纏います。軽自動車で15万円もかかった!とかどうなってるんだって、たまにネットでも話題になりますね。
ちょっとここで車検の工賃について書いてみたいと思います。
まず車検代を語る上で避けて通れないのが法定費用と呼ばれる項目。
これは、整備工場側にはなんの儲けにもならない、国や保険会社に払う費用です。
重量税、自賠責保険代、印紙代
軽自動車でいうと、重量税6600円、自賠責保険17540円、印紙代1800円(OSSの場合1600円)。
重量税は税金です。自賠責保険代は保険会社に支払うもの。印紙代は車検の検査に使う費用ですね。
車検に入庫した時に、最低でも法定諸費用は持ってきてください。というのが多いですが、これらは整備工場は本来関係ない部分です。
自賠責保険はお客さんがどこかの保険会社で加入したものを持ってきてもらってもいいです。
重量税は、車検と同時に支払わないといけないもので、この費用の徴収を国交相や税務署が本来やってくれるべきものだと僕は思います。それを車検工場が代行しているだけです。
法定諸費用はどこの整備工場でも変わりありません。
ではここから先が車検代の工賃について。
車検をするには24ヶ月点検というものを実施して、車の状態が保安基準に適合していないといけません。
整備しないといけない箇所は追加で整備します。
24ヶ月の基本点検料は15000円前後が多いです。軽自動車の場合。ここに下廻りのスチーム洗浄と防錆塗装が加わると、さらに1万円くらい上乗せになります。
車検を受ける時、概算見積書をお店に提示されると思いますが、このお金が最低限そのお店で車検をするのに必要なお金です。それ以上は基本的に安くなりません。
それが7万円だったり、8万円だったりするわけです。法定諸費用を込みで。
追加整備の計算の仕方は?
では、追加整備が必要になる場合。
分かりやすいところでいうとブレーキパッドの厚みが残り2mmをきっている。
1年もたないので、検査には通りますが交換をお勧めします。
車検と同時にブレーキパッド交換すると整備指数が0.4時間くらいの設定が多いです。
これにお店のレバレートである時間工賃をかけると工賃がでます。
レバレートは6000円〜8000円くらいが相場です。このレバレートはお店独自で設定しているので、工賃が高いお店はレバレートが高いということになります
レバレート6000円なら0.4時間をかけると2400円が、ブレーキパッドの車検同時交換工賃です。
ややこしいのは、車検や法定点検と同時ではなくて、単純にブレーキパッドが減ったから交換してねという一般整備の場合、整備指数が変わるんです。
一般的には0.9時間くらいが多いですね。レバレート6000円をかけると、5400円になります。
どうして車検と同時だとブレーキパッドの交換工賃が安くなるのか?車検をするにあたり、四輪タイヤを脱着してリフトアップする工程があるからです。
車検や法定点検で消耗部品を交換した方が費用は実は安いんです。
車検代で費用がかかってくるのがブレーキパッドとブレーキローターの交換など。
パッドが減ってるし、ローターが錆び付いている。修正研磨をする厚みが残っていない。
そうなるとローターも交換です。ブレーキパッドが7000円。ブレーキローターが8000円を2枚。工賃を入れると3万円近い追加整備になります。
車検の概算見積もりが7万円スタートなら、ここで3万円が加算され、10万円になるわけです。
その他にもファンベルトを交換しないといけなかったり、タイヤがダメだったので新品に交換するなどを加えていくと、軽自動車であっても車検代が15万円に達するということはままあることなんです。
これ、高いな!って思われるのもわかっていますし、提案する側もちょっと嫌なんですよね。やはり文句を言われることがほとんどなので。
高いとかボッタくってるとか。あまりにごねられる場合は、もはやうちの工場ではその値段で車検ができないのでお車はお返しさせていただきます。というケースもたまにあります。
車検費用が高いというのは、実際に車検作業をしてみるとわかります。
車検って、整備だけじゃなくて検査もしないといけないし、陸事へ行って登録もしないといけない。
トータルで時間もかかります。
自分でユーザー車検に持ち込んでみるとわかると思います。
僕も昔ユーザー車検で自分の車を通したことがありますが、落ちた時のショックは半端なく大きかったです。
何をすればその項目で合格ができるのか?
僕はマフラーに触媒が付いてないということと、エアポンプがつながってないこと、ウォーターポンプからの水漏れの3箇所を言い渡されて何回も落とされました。
車検って、合格させるのも結構大変なんです。一概に費用が高いと言われがちですが、整備士の担い手が少なくなってきてるので、もっと工賃は上がっていくと予想します。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。