積雪地方になると、ノーマルタイヤで走行することができなくなるのでスタッドレスタイヤに履き替えます。
ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤでは、求められる性能が違います。スタッドレスタイヤの方が柔らかくて、たくさんギザギザの溝が付いています。
このギザギザ溝に氷や雪の上に溶けた水を取り込むようにしてグリップします。昔の横浜タイヤのCMで
「乾いた氷は滑らない」
というフレーズがありましたが、その通りです。氷って溶けて水が発生するとツルツルと滑るようになる。その水をうまく排水させる目的で作られてるのがスタッドレスタイヤです。
ブリヂストンの発泡ゴムなどは経年劣化で硬くならない発泡ゴムを採用していたり、各メーカーが1シーズンだけでなく2、3シーズン使えるように工夫して作っています。
スタッドレスタイヤとしての限界ライン
スタッドレスタイヤには、これ以上減るとスタッドレスタイヤとしては使えなくなりますよという限度ラインがあります。
矢印マークがあります。ここの部分のトレッドを見てみる。
すると、タイヤ溝の一番下より若干上のラインに凸があります。
スタッドレスタイヤがここまで減ってきたら、スタッドレスとしては使えないということになります。
トレッド面がスタッドレスタイヤの限界ラインまで露出しています。これはもうスタッドレスとしてはダメ。
スタッドレスタイヤとしての性能を発揮できなくても、車検に引っかかる1.6mm溝をキープしていますが、ノーマルタイヤとして履き潰すのはどうか?
写真中央がノーマルタイヤとしてのスリップサインです。確かにまだ若干は残っています。雪国ではやはりスタッドレスタイヤが限界ラインを超えたとしたら、ノーマルタイヤとしてそのまま履きつぶして来シーズンに買い換えるという人が結構います。
ノーマルタイヤとしてならまだ溝は残っているし、車検にも通ります。普通に履きつぶして大丈夫か?
これは、履きつぶしでもOKですができればノーマルタイヤの方が好ましいといえます。
その理由はノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの求められている性能が違うという点。スタッドレスタイヤをドライ路面で使うと、制動距離から始まりグリップ性能が明らかにノーマルタイヤよりも劣ってしまうのです。
ノーマルタイヤの方が剛性の高いタイヤで、スタッドレスよりも溝が少ないので地面との接触している部分が多くなります。
なのでグリップがノーマルタイヤの方がドライ路面では勝っている。そして、燃費も同様。ノーマルタイヤの方が若干硬いゴムなので燃費がいい。
スタッドレスタイヤをノーマルタイヤのように履き潰すと
・ドライ路面でのグリップ性能が落ちる
・燃費が落ちる
などといった弊害が生まれます。
それでも低いスピードレンジで、その弊害を理解していれば履きつぶしもありなのかなと。山間地だとアップダウンが激しいカーブの多い道が多く、タイヤなんか下手な話1シーズンでダメになることだってあります。
経済的にタイヤを使うのなら、スタッドレスタイヤの履きつぶしという選択肢もアリになります。
僕はノーマルタイヤをきちんと履かせています。スタッドレス履きつぶしはしないで、結構ギリギリまでスタッドレスは使う方ですね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。
コメント
雪国論争のあるあるですね(笑)、当方、北海道民です。
前提①
あくまでも合法な行為にて
前提②
スタッドレスタイヤの乾燥路での限界性能の低さを把握
①②の前提にあれば、自分は履き潰しスタッドレスは「アリ」派です。
ドラテク練習用には打ってつけ。あくまで「練習には」の話。
滑り出しが穏やかだし、擦り減っても痛くも痒くもないし、個々の車の様々な挙動を低い速度域で体感できるし、そこからどういう操作を起こしたらどんな風にクルマが動くのか体感しやすい。荷重移動からの次のアクションなんかの練習が凄くやりやすいです。
また仰る通り、街乗りにしても、スタッドレス特有の弱点に気をつければ走れなくはない。
雪国あるあるの一つ【愛車のスタッドレスのホイールサイズは、夏タイヤのそれよりも1~3インチ小さい】。皆さん平均、夏タイヤに履かせているホイールの方が、物が良くカッコいいヤツです。俺もそう。
その寂しさ(笑)に耐えられれば、気をつけて履けば「アリ」派です、俺は。
繰り返しますが、自分の行為があくまで「合法」である下で、です。
僕も若かりし頃は履きつぶしスタッドレスでドラテクを磨いてました。限界が下がってくれるので、荷重移動などを覚えるにはもってこいでしたね。ノーマルだと限界の速度域が高くなり危険ですから
プラットホームの位置を示すのはタイヤサイドにある4か所の「矢印マーク」です。
6カ所ある「三角マーク」の先にあるのは夏タイヤとしての使用限界であるスリップサインです。
すみません。ご指摘ありがとうございます。画像と共に修正しておきました。よろしくお願いします。