この前一般整備で預かった某車種。
どのような依頼だったかというと、異音がするから直して欲しいというものでした。
お客さんが言っている異音はすぐに再現できて、原因もある程度つかむことができました。ではではと部品の値段と、おそらくこの程度かかるであろう工賃を算出して見積もりを提示。OKをもらったので部品をオーダーした・・・まではよかったんです。
いざ部品が来て、分解を試みようとするとどうもSSTがないと脱着できない部品であることがわかりました。整備振興会のファイネスではその部分の分解までマニュアルで出ていなかったし、他の車種ではインパクトレンチとトルクレンチがあれば交換ができる部分。
ものすごく特殊なSSTが必要で、まずはその車種を販売・整備しているディーラーに聞いてみたんです。
「アッセンブリー交換になります!」
とのご返答。一応部品展開図で、交換することが可能であるということを伝えてSSTを持っていないかを聞いてみましたところ
「当社では分解しないでアッセンブリーで交換します!」
しょうがないので、違う系列ディーラーにも聞いてみたら同様の返事。
不思議なのは部品設定があって、交換が可能であるということなのに交換する工具がないという事態。詳しくどこの車とかは伏せておきますが、同様のできごとは違う車でも経験したことがあります。
それは、走行中の異音でブッシュがダメなのは一目瞭然なんです。当然部品設定でブッシュもあります。おそらく治具をつかってブッシュを交換しないとうまくいかないのはわかっていたので、ディーラーに相談したら
「アッセンブリーでしか交換しません!」
というご返答でした。その時は自分たちで治具を作ってブッシュだけを交換しました。
今回預かっているケースに限らず、部品で供給があるのに交換が難しい為ASSYでしか交換しないというのはいかがなものなのかな・・。と。
その部品はASSYだと7万円以上するんです。該当の部分だけだと15000円程度。ユーザーのことを考えればピンポイントで交換してあげるのが一番だと思うんですけど・・・。
心の片隅では
「ディーラーではASSYで交換するだろうな・・・」
と思っていたところもありますけどね。実際にその返答を聞くとちょっと残念だったな。ASSYで交換するというのもわかります。その部分を取り巻く部位に関しても劣化が認められるから、一緒に変えたほうが合理的である。
ですが部品設定がある部分でSSTが交換には必要。そのSSTをディーラーが持っていないというところに少なからずショックを受けてしまった一日でした。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。