長らく車屋さんで勤めていると、
「こんなケースもあるんだな・・」
という問題に遭遇することがあります。本日取り上げるのは、新車で買って考えられない故障が発生したケースです。
今から10年前くらいですね。車はMというメーカーの車種はD。
イニシャルトークでお願いします(笑)
新車で買ってもらいました。当時400万近くかかったんだと思います。結構いいグレードだったし、そのモデルはフルモデルチェンジしたばかりで人気がありました。
数日経過してそのお客さんから
「急にエンジンがかからなくなった!どうなってるんだ!」
というお怒りの電話が入りました。現場に急行した営業マンとメカニック。セルモーターは回るけど、確かにエンジンがかからない。エンジンに火が入らないような状態です。その時の走行距離は200km程度だったと記憶しています。
とりあえず新車で保証になるのは間違いないから、そのままディーラーへ搬入して診断してもらったら・・・・
なんと・・
ECUが壊れていた!
コンピューターが壊れていたんです。外的要因は当然ナシ。お怒りのお客さん。その怒りを鎮めるにはどうするべきかM車のディーラーと協議した結果、今までに1台しかなかった症例で、この車が2台目だという。
メーカーがクレームを認めて新車に交換してくれるという異例の処理をしてくれたんです。新車にして返してくれるというのは粋な計らいだけど、そんなことってあるのか?
これもびっくりしたケースです。
SというメーカーのSという車。ATモデルを買ってもらったんですが、1ヶ月ほどたってお客さんから電話
「おい!バックできなくなっちまったぞ!」
とお客さんから電話がきました。僕はこの車に若干詳しかったので、営業マンとキャリアカーに乗って現場へ行ってみた。
新車が1ヶ月足らずでバックできないだと!?何をいってるのかな?と半信半疑です。現場で車を見てみると、バックできないんです(笑)
症状を正確にいうと、バックギヤには入るんだけどバックしない(笑)
シフトワイヤーとかその辺に何かトラブルを抱えて、シフトがバックに入らないのかと思ったら違った。シフトはバックに入ってるんだけど、確かに動かない。Dレンジは動くんだけどRに入れると反応がない・・。ニュートラルみたいな状態なんです。
こりゃダメだ。ということでレッカーして、新品のミッションに載せ替えてもらいました。ディーラーからの報告だとAT内のリバースギヤが不良だったとのこと。
これは激しく怒られました(泣)
新車で買ってもらったメーカーTのCという車。高級車ですからね。
新車6ヶ月の点検で入庫してもらったら、ミッションからオイル漏れてるんですよ・・。たまにあるんですよ。オイルもれてるの・・。
明らかに初期馴染みの滲みとかそういうレベルじゃなくて、ポタポタたれてるのです。こりゃダメだ。ということでレッカーで業販ディーラーに持って行き、状況を確認してもらいました。
当然保証修理することになったんですが、該当部分のオイルシールのみを交換して様子をみるということに。この対応がまずかったんですよね。本来なら不備があるところを修理するだけで、責任は確かに全うできます。
ですが、新車ですからね。できれば載せ替えてもらいたいじゃないですか。現物修理より。
そのことをお客さんに話したら、もう悲惨ほど怒られました。今でも定期点検や車検を入れてもらっていますが、メーカーTの某メカニックが打ちかえたオイルシールは完璧にオイルを封入してくれています。
同じところから漏れてきたらどうしよう・・。その車が入るたびにトラウマになっています。
続いては新車の不備ではなくて、お客さん側と工場側のケースを紹介。
これはすごいです。なんとこの人、軽自動車のAT。4WDです。高速道路を走行中おそらく90km/h位だったんじゃないですかね?
なんとシフトレバーをDからRに入れちゃったっていうんです。そしてものすごい音がして車がおかしくなったので、安全エリアに入りJAFにてレッカー。
どうして走行中にシフトレバーをDからRに入れられるんだ?って不思議な点が山ほどあるんですが事実です。
どうやら最初は手が当たってNレンジに入っちゃったらしい。そこでエンジン回転が急激にあがってビビり、どうしようとシフトをあろうことかボタンをおしてRにいれてしまったと言ってました。
あーこりゃもうミッションダメだろうなって思っていました。ですが、幸いなことに縦置きミッションのトランスファとデフがぶっ壊れただけですんだとのこと。
修理はディーラーが保証を調べながらやってくれました。トランスファとデフで済めばまだいい方ですよね。ミッションが壊れたらもっとお金がかかります。
これは僕が勤めていた前の会社での話。僕の前の会社が創設して間もない頃の大トラブルです。
これはもうメカニックがダメすぎだろ・・。
新車6ヶ月点検で来店。待ってる中での作業。S車のPという車です。
お客さんからオイル交換をしてくれ!とオーダーもらったそうなんです。メカニックは言われた通りドレンプラグを抜いてエンジンオイルを入れました。
リフトからおろし洗車を終えて、記録簿を書く。そして清算してもらいお見送り。その数分後お客さんから電話
「おい!車が動かなくなっちまったぞ!」
慌ててレッカーしにいくと確かに動かない車。それどころかエンジンルームがオイルまみれになっています。
一体これはどういうことか?
これはすごいですよ。考えただけで怖い。
なんとこのメカニック、エンジンオイルを抜いたかと思ったらCVTのオイルを抜いちゃったんです。そして、エンジンオイルは抜いてないのに規定量をさらにエンジンに入れてしまった。
オイルの量は2倍入ってるし、ミッションオイルはすっからかん。
エンジンよりも先にミッションが力尽きて停止。エンジンはオイルが入りすぎてエアクリーナーケースから激しく吹きだしてエンジンルームはオイルまみれ。
もう大惨事です。下手したら車両火災。
この手の話、よく聞きます。ガソリンスタンドなどでミッションとエンジンのオイルパンを間違えてしまい、ミッションオイルはすっからかんでオイルは2倍入ってるという最悪パターンです。
確かにその当時の車ってメーカーMのものやSのものはエンジンとミッションのオイルパンがそっくり。さらにドレンコックも同じようなサイズ。M車はエンジンもミッションも17mmのネジ。今回のS車のPはエンジンこそ14mmだけどミッションは17mm。
まあ絶対に間違えないか?と言われると知識のない人間だと間違えるかもしれないね。
結局、これは会社で新品ミッションに載せ替えて徹底的なクリーニングを施し。お客さんにお詫びをして終了。お客さんが寛大な人でよかった・・・のか?
そもそもオイルを入れた後ゲージ確認しろよ!僕がこの会社に入った頃は、もうこの伝説の整備士は引退していたので顔も知らないけど、その被害にあったお客さんとその車は僕もいろいろと整備をしました。
ヘッドガスケットを交換して、問題のミッションも降ろしたりして、徹底的に修理をした。お客さんは車を大切にしてくれるいい人でしたよ。今でも違う車を買ってもらっていい付き合いをしていますが、当時のことを必ず最初に回想するところから会話は始まります(笑)
いろいろとありないようなことですが、まあまだいろいろありますね。ぶつけちゃったとか車をひっくり返しちゃったとか。
車屋さんをやってるといろんなことに遭遇します。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。