長らくクルマ業界の整備士として働いていると、ごくまれにびっくりするような新車トラブルに遭遇します。今回はそんな極稀な新車トラブルケースをご紹介。
納車して1年でミッションがダメになった・・・。こんなケースをまずは紹介。
事の発端は、チェックランプが点灯したところからです。コードを読み取って見ると、CVT油圧系統異常となっていました。FAINESという整備振興会のHPより、サービスマニュアルを開いてフローチャートを眺めていくと・・。
うーんこれは・・・。もしや・・。クルマ側もなんか加速がいまいち変。明らかにミッション内部で何かが起きている模様。
納車して1年だったので、販売ディーラーに相談するとまさかの回答。
「ごめんなさい!ミッション交換です!」
まさかの返答・・。というか、フローチャートを追っていったらミッション交換となっていたのでそこまでおどろかなかったですけど・・・。うーん。
とりあえず、乗れないわけじゃないからミッションが届くまでは使いたいというお客さんの依頼で一旦納車。その後、3日間かけてディーラーで載せ替えてもらい納車となりました。クルマにあまり執着のないお客さんだったので、事の重大さがあまりイメージできていなかったのが救い?となりました。
こちらは、僕は関与していなかった案件ですが、同僚の営業マンに聞いた話。同僚の営業マンが某車種を新車で買ってもらったんです。
納車してわずか一ヶ月くらいで、エンジンのパワーがなくなったという。慌てた営業マンがクルマを預かって、点検してみたら明らかにおかしい。
こちらも営業マンが速攻で販売ディーラーに車両の点検を依頼したら、タイトル通りの回答。
「エンジン交換します」
一体なぜエンジンを交換したのか?そこの理由を知りたかったんですが、同僚曰くエンジンの音が変だったといっていました。
おそらくどこかのシリンダーがおかしくなってしまったのかな?この時は、同僚の営業マンはディーラーの責任者と一緒にお客さんの家へお詫びに行って、なんとか収まったそうです。
もはや載せ替えとかそういうレベルではない、次元を超えた特別措置をしたケース。こちらは僕もその当時整備士をしていたので経緯をしっています。
某M社の新車で出たばかりの某車種。久しぶりのフルモデルチェンジで、高価なクルマですが当社にも数台オーダーが入りました。
満を持して納車となった某車種。こちらも早かった。多分一ヶ月くらいの間で
「エンジンがかからなくなった」
ということでレッカー搬入。もうお客さん、プンプンです。そりゃそうですよね。待ちに待って買った新車。さらには期待してまっていたフルモデルチェンジ車。もうワクワクです。
そのクルマが一ヶ月でエンジンがかからなくなる・・。
もうその心境たるや計り知れない怒りにつつまれるでしょう。
イグニッションはONになるものの、セルも回らない。周りの伝送系統もおかしい。こちらも新車販売して間もなくだったので、ディーラーに相談して原因を究明してもらいました。
すると、国内で1つも事例がない故障で、車両をメーカーが引き上げて調査するという事で新車への交換となりました。
その間ディーラーから代車を出してもらい、新車となって舞い戻ってきた某車種。ちなみにエンジンがかからなかった原因はなんだったのか?
ディーラー担当者に聞いたらECUがおかしくて、各部に影響を及ぼしていた。とのこと。ECUを交換すればよかったのかもしれないですが、事が重大だけに新車交換という特別措置になりました。
新車の故障でクルマを交換になるというケースは、後にも先にもこの案件だけでした。
僕は中古車ばかりを乗り継いでいますが、中古だったら壊れたって仕方がないなぁと思って買っています。だけど新車で何か不具合が起きたらさすがに怒りますね。
車屋さんをやってるので、怒っても怒りの矛先をどこにもむけられない(笑)そんな矛盾をかかえるかもしれないけど怒りますよね。
工業製品の精度が飛躍的に上がったとはいえ、まだまだこういう大トラブルは存在します。この前もミッションを載せ替えになったクルマがありました。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。