このことについては、もうずっと前から僕は危機感を覚えています。
というのも、うちの会社を例に挙げると、新卒の整備士ってここ数年入ってきていない。気がつけば、僕も上の方から数えたほうが早い位置にいるようになりました。
今、自動車整備士の担い手が減ってきています。
恐らく多くの人が知ってることだと思います。保育士の人とかもそうですよね。
今の若い人に、整備士になりたいですか?という問いかけをしても、ほとんどの人が整備士になりたいとは思っていないのです。
そして、今急速に進んでいる自動車技術について、100年に一度の変革時期であると言われています。
それは従来のガソリンエンジン、ディーゼルエンジンからモーターを組み合わせるハイブリッドが登場。
そしてプラグインハイブリッド、電気自動車、水素エンジン、燃料電池などなど。車に搭載するパワーユニットも環境を考えて変わらないといけない時期です。
更にADASと言われる、運転支援システムの搭載や自動運転への道のりなど。急速に車業界が変化しています。
その変化に対応できない、昔の町工場は廃業に追いやられています。人材確保どころか、工場を維持することができなくなる事態。今後どのような事が予想されるか?考えてみました。
目次
整備は完全予約になり作業できる工場が減っていく
整備士不足と、技術革新についていけず廃業していく工場。
新しい時代の車を整備するには専用の診断機や、ある程度広い敷地によるエーミング作業などが必要になってきます。
昔のような町工場では対応が難しくなっているため、廃業する工場が増えています。うちの管轄している地域でも廃業する工場がチラホラ出てきています。
新卒の整備士達は、多くがディーラーへ就職していきます。今の時代、整備士の求人を出しても、工場側から人材の取り合いになっているため、普通の町工場にはまず新卒は入ってきません。
そして、先に話した通りですが新技術に対応できる、修理できる工場が減っていきます。
これの意味ってどういうことかわかりますか?
あと10年もすると、もっと整備工場は減ります。そしてその時代の車をちゃんと整備できる工場って相当減っています。
つまり新しい車の整備を依頼しても、普通の工場じゃ対応できなくて断らざるを得なくなることが発生する。
すると、近隣ディーラーで対応するようになりますが、ディーラーももちろん自前のお客さんを優先します。
その結果故障が発生したとして、すぐに修理をしてもらえない。いわゆる整備の順番待ちが発生してしまう。今でも板金工場などでは順番待ちが発生していますが、日常的な整備についてもこうなっていくだろうと。
自分の身は自分で守る事
もしこれから先の事を考えると、自分の身はある程度自分で守らざるを得なくなります。
通勤に必ず車が必要な人は、それなりの考えをもったほうがいいです。
例えば車が故障した時に、レンタカーを手配してくれるオプションを任意保険につけておく事。整備が順番待ちになったとして、その間をレンタカーでしのぐことが出来ます。
自費でレンタカーを借利用するとなると、軽自動車でも日額4000円位かかります。1週間借りれば28000円にもなります。
万が一の事を考えれば、レンタカー費用特約なんか安いものなのです。
事故に遭ったときも同じです。無料代車を貸してくれる工場なんか珍しいんです。
そして、お店選びも重要です。もしあなたが車を買おうと考えていて、その買おうとしてる車の整備をその工場できちんと完結できるか?
ハイブリッドカーが欲しいけど、モーターやインバーター、バッテリーの交換までその工場で出来るのか?
そこが重要になります。車検などで収益を賄ってる工場は、回転率が重要視されているので、時間のかかる重整備などは外注に出すことがあります。
僕はもし車を買おうとしたらそこを重視します。
これは僕はリコールなどで痛感しています。自前の工場で作業が出来ないリコールは、ディーラーへ出すしかありません。しかし、ディーラーの空きがない場合は先延ばしになってしまう。
ディーラー都合で日程を決めざるを得なくなるから嫌なんです。
車を買うお店は、どんな整備であっても自前の工場でやってくれるかどうか。そこが重要です。
車の故障へ減っているけれど、修理できる工場も人材も減っている
結論を書くと、整備できる工場も減ってるし人材も入ってこなくなります。
今後考えられるのは、整備の予約待ち。そして整備金額の値上げも考えられます。
少ないお店でしか整備できないのであれば、そこが時間工賃を値上げしたとしても仕方がありません。
その代わりちゃんと生き残るお店は、そこからの利益を設備投資に使いますから。整備単価は上がっていき、なかなか予約が取れなくなる。
ある意味整備士の地位向上を果たせるのは、遠くない未来かもしれないですね。ただそれって、車を毎日使わないといけない側からすると、頭が痛い問題にもなると思います。
お勧めは125ccのバイクなどを買って、第二の交通手段を得ておく事ですね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。