近年自動車整備士の担い手がぐっと減っています。ちょっと以前までは減ってきてるのかなぁと思うくらいでしたが、最近では明らかに減ってるなと実感しています。
というのも、当社でも毎年数名は自動車整備士の募集をかけます。もちろん新卒もOKです。しかしながら、新卒で入社してくる整備士が数年間ずっといません。
整備として入社してくるのは、違う整備工場を辞めてきた、いわゆる中途組です。
改めて自動車整備士の賃金はどうなっているのかなどを包み隠さずお伝えします。
賃金の前に、現在自動車整備業界で働いている人たちについて。
平均年齢って一体どの位だと思いますか?手元の平成31年度版自動車整備白書によると、
整備要員の平均年齢は平成31年時点で
専業49.9歳
兼業46.8歳
ディーラー35.5歳
というデータがあります。ちなみにそこから5年前の平成26年はどうだったか?
専業48.8歳
兼業45.1歳
ディーラー34.1歳
となっています。すべての事業所において平均年齢が上がっているのがわかります。
特徴的なのはディーラーメカニックが、専業・兼業よりも10歳以上若いということ。これは何故か?ディーラーにはメーカー直営みたいな専門学校があるんです。
ディーラーメカニックになるためには、そちらの専門学校を卒業して整備士免許を取る。僕の友達も日産ディーラーに勤めていましたが、就職の流れはこうでした。
高校時代に日産の就職面接試験を受ける。合格すると、メーカー直営の専門学校へ入学して卒業して資格を取って、ディーラーメカニックとして晴れて採用される。
こんな不思議な流れでした。日産の整備学校は栃木にありました。ちなみに義理の兄はトヨタのメカニックをしていますが、彼は群馬のトヨタ系列の専門学校卒です。
これが意味するところは何かというと、ディーラーには学校からの卒業生を受け入れる受け皿にならないといけません。なので、卒業生が地元ディーラーに就職することが決まっているので、それまで整備をやっていた人がエスカレーター的に営業へシフトしていく。
このサイクルが早いのでディーラーメカニックは比較的若いということです。
では肝心の整備士の賃金についてです。これも平成31年度版自動車整備白書のデータによると以下のようになっています。年間給与と記載されています。
専業357万円
兼業378万円
ディーラーメカニック460万円
この数字を見てどう思いますか?平均年齢と照らし合わせると考えちゃいますよね。
全ての平均値を出すと業界で働く整備士の平均年齢は45.5歳で、年間給与は392万円となっています。多分思った以上に安い・・・という印象を受けるのではないでしょうか?
僕はいくらもらってるかって?ぶっちゃけた話になりますが、残業代でかなり前後します。大体毎月35万円弱くらいです。これは総支給額ではなくて手取りです。
総支給額だと43万弱で、そこから福利厚生・税金などが引かれると手取り35万円くらいになります。ボーナスは一応年2回少ないながらももらえてはいます。1ヶ月位ですね。
リアルな整備士給与です。整備士白書を見る限りでは、まだ恵まれている方なのかもしれません。
続いては整備士の勤務時間について。
僕が入ったころってすごかったですよ。もう超が付くほどブラックです。ディーラーに勤めていた友達などの話によると、日付を超えることはしょっちゅうあったということ。
僕が勤めている会社でも日付を超えることは1回経験をしたことがあります。それでも23時とかまではやっていましたね。
残業代には上限があったので、ある一定以上を超えるとボランティアです。
今はどうなのかというと、始まりも遅くなり、終わりは早くなりました。どうしてこんなに変わったのかというと、自動車業界全体に労基署が入ったんです。近隣ディーラーからどんどんと入って、うちの会社も入られて是正中です。
おそらくは家で帰りを待ってる奥さんなどからリークされたんじゃないかなと。旦那が帰ってこないから奥さんはワンオペ育児当たり前の時代です。
働き方改革が注目されるようになってから、勤務体系についてはかなり改善されたと思います。
一昔前の自動車整備士ってイメージしてみてください。それこそちょい悪な兄ちゃんが、腕まくって煙草をふかしながら修理している図を思い描けませんか?
僕が入っときってそんな時です。先輩はみんなヤンキー、族上がりの強面。たまに違うのがいるかと言えばマニアックな先輩。大体その2つにわかれました。
チョイ悪兄ちゃんかマニアックな先輩か。
今って煙草のイメージもかっこ悪いし、ちょい悪自体がかっこ悪い風潮ですよね。整備士になりたいと思う人はどちらかというと本当に車が好きな人なのではないかなって。
ただし、そんな整備士の卵達はこれら整備の現場を見てどう思うのか?賃金に然り、勤務体系に然り。そして修理内容も大きく変わってきています。
担い手が少なくなる理由もうなずけます。
最後に、どうしても車業界で働きたいけど、ある程度高給も狙いたい!という人はどうすればいいか?
これは一般的な整備工場やディーラーではなくて、専門的なショップへ就職するのがいいと思うんです。いわゆる車検を生業としている車検屋と呼ばれる車屋さんは、特定整備も始まる中どんどんと厳しくなっていきます。
それよりも専門的な車種を取り扱うショップなどの方が、これから生き残りにも強いし給与体系もいいと思います。
整備の基礎はどこの工場で磨いてもいいんですが、ある程度技術を習得したら専門ショップでさらに腕を磨く。
今はSNSやネットで集客ができるので、広告費をかけなくてもそのショップの強みが出せる時代です。
そういうお店に訪れる人って、技術を買ってくるわけであって時間や支払いをためらう人って少ないですから。客層が違いますね。
これから整備士になろうという人は一人でも多くなることを願っています。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。