この前書いた、車業界の不正について。
今日は、不正車検などについて触れてみたいと思います。
ディーラーでさえもやるべき整備や検査をすっ飛ばして、不正車検をしていた・・・。
ここ数年間でよく耳にするようになりました。
昔に比べてどうしてこんなにも不正が増えてきたのか?考えられる要因がいくつかあるので書いてみます。
目次
整備士の担い手不足
最初に言えるのは、単純に人員不足。これ、まさにうちの会社の状態になりつつあります。
入社してくる人間より退職していく人間の方が増えており、年々整備士の人数が減っています。
整備士の人数が減っているとは言え、抱えている顧客に対するサービスを怠るわけはいかないので、一人当たりの車検整備など整備台数が増えてきています。
整備士の平均年齢も上がってきていて、全体的なパフォーマンスが落ちている。そんな中、人員不足によるところのキャパオーバー。
仕事量が許容を超えると不正が生まれやすいです。整備士の担い手はどんどんと減っているため、全体的に今後も不正が増えると予測します。
過剰なサービス競争で自らの首を絞めている
これはもはや、時代の流れもありますが、SNSをみんながみんな使うようになったことも一因だと思います。
例えばグーグルなどの星評価。そして、個人が発信できる世の中なので、あそこのお店は安かったしサービスが良かった。
あっちのお店は高かった。こう言った意見がネットに溢れかえっています。
すると、A店に負けるわけにはいかないから、サービスをしないと!という風潮になってきます。ここのところお客さんの囲い込みで始まっている整備パックも、どこかがはじめたのを皮切りに、他のお店のほとんども追従しています。
整備パックっていうのは、点検や車検をパックにして先払いで整備代を払ってもらうんです。その対価として、通常の点検や車検よりも整備代金が割安になっているので、ちゃんと点検などをするお客さんにはお得なサービスです。
逆に、整備パックを買ってもらっても、入庫しないで期限が切れてしまう。こんなことだってあり得ます。そうするとお客さんが損をする。
損をしないためにもパックの点検は必ず入庫する。こういう流れになります。お客さんの先の整備予約をもらったのと同じです。
もちろん整備パック以外の付加価値商材を点検時に提案して、工場側は売上を伸ばす機会にもなる。
整備パックやらオイルキープって昔はなかったサービス商材です。トータルで見ると、入庫はしてくれても台あたり単価は減ってきています。
整備代を値切られて、事業が立ち行かなくなる
SNSをみんなで使うと、どこのお店で車検がいくらだったなどと言った情報が溢れます。
すると、その情報を元にお客さんは整備代が高いと値切ってくる。この過剰な値切りを要求してくるお客さんも非常に増えてきました。
ちょっとこちらも対応を間違えるとすぐに、本部などへクレームの電話を入れてくる。
いわゆるモンスターカスタマーが増えてきています。毅然とした態度で対応すればいいんですけど、なかなかそうもいかないケースの方が多いです。
相当なトラブルになって弁護士さんに入ってもらったことも、うちの会社ではあります。
整備代金を値切ってくる人が増えてきて、整備業界が流れ作業の薄利多売になることが心配です。
しかしもはやそうなりつつある工場が多い。こんな状態だと、とりあえず問題が出なそうな部分に関しては不正をしてしまうかもしれない。
ネットで出ている不正の欄を見ると、スピードメーターテストなどをやらなかったとか書いてあります。
自前のテスターで測れない車は校正をした車両と並走して、スピードメーターテストを実施しないといけなかったりして、非常に手間です。
やったことにしてしまえば、時間も短縮できるし整備代を値切られてもいい。どんどんと泥沼にハマっていってしまうわけです。
これからの整備業は二分化される
では、これから整備業界ってどうなるのか?と。
現場で働く身としては、とにかく予約が取れるお店とそうでないお店があります。
予約が取れないお店というのは、専門的な技術がちゃんと備わっており、そこでしかできない強みがあります。
この前うちの工場で作業ができないリコールをディーラーに予約を入れたら、なんと9月以降でお願いしますという回答がでました。
部品の供給が間に合わないからという理由ではなく、単純に予約が入りすぎてるので9月以降になると。
困りますよね。不具合が発生したら走行不能になる内容ですよ。それを9月まで待てと。でも、作業できるところが近隣ではそのディーラーだけなので、待つしかないんです。
輸入車などもそうですね。ある程度簡単な整備ができたとしても、診断機を使わないとできない類の作業。もう、すごい順番待ちになってしまいます。
このように、予約が取れるお店とそうではないお店に分かれてくると。ただし、予約が取れない技術の高い工場でお世話になっていた方が、何か起きた時迅速に対応してくれるので、今後は顧客数がそちらへ流れていくと予測します。
やはり自社ユーザーを優先にどこの整備工場も対応するものです。お世話になってる整備工場がどこまで技術を持っているか?
作業を外注に出していないか?この辺りが、ポイントになってくると思います。
自社工場で全てまかなえるお店を選ぶべきだと思います。
今は薄利多売になっていますが、今後はどんどんと車は高機能化されていきます。その車に対応できる工場じゃないと立ち行かなくなります。
今後は技術の低い工場は淘汰されて、逆に整備代は上がっていくのではないかなと。仕事量に対して、作業が専門化していくので仕方がないと。
いろいろな意味で整備業界はオワコンに突入しているのは、日々実感しています。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。