今までいろんなメーカーから様々な軽トラックが販売されてきました。現在軽トラックを製造しているのはホンダも撤退を表明したのでスズキとダイハツのみになります。
その他メーカーについては、スズキとダイハツのOEMモデルです。
スズキのキャリィとダイハツのハイゼットは両方ともFRをベースにした軽トラック。リヤはリーフスプリングを採用したリジッドアクスルです。
ホンダのアクティもレイアウトがMRでこった作りになっていますが、やはり後にも先にも軽トラックの王様というとスバルが製造販売していたサンバーです。
サンバーのどこが他の軽トラックと違って優れていたのかは大きく3点です。
・RRレイアウトにより、エンジン音が室内まで聞こえてこず快適である。
・4輪独立懸架式のサスペンションの為、走行性能が高い。
・4気筒エンジンを唯一搭載していたので、エンジン回転・振動ともにスムーズ。
・おまけでスーパーチャージャー搭載モデルもあった
これほどまでに作りこまれた軽トラックは類を見なく、後にも先にも出てこないでしょう。その為、サンバーのTT型は中古車として高額で流通しています。
ここではサンバーを中古車で購入する時、どんなところに気を付ければいいかを新たにまとめてみました。購入を検討している人は参考にしてください。
すでにサンバーに乗ってる人は、これらウィークポイントを点検してみてください。
サンバーを購入するうえで一番気を付けないといけない部分。それはフレームの錆の有無です。車体に錆が出ていると通常整備ではなく板金修理が必要になります。
それら板金修理がかなり高額になるので、車体の錆をくまなくチェックすることはもちろんの事、2か所のポイントををよく確認してください。
1つ目はフロントタイヤの奥からフロントにかけてY字フレームと呼ばれる部分。
このように錆がひどくなって、山間地で使われてる車は穴だらけになっています。当然フレームに穴があいていると車検はNGなので修理しないといけなくなります。
内部から錆が侵食してくる場合もあります。
フロントのY字フレームに穴が空いていないか?初期の症状なら鉄板をあてがって溶接すれば車検は通りますが、根本的にはY字フレーム部を切開して新品部品を溶接しないと同じ事です。
そしてもう1つのポイントはこちら。
リヤタイヤのスプリング部分です。
スプリングのブラケットの上側。ここが錆びてもげる。
恐ろしいことにスプリングの台座がもげて外れることがあります。
裏側から見るとこの通りです。エンジンフードをあけると、裏側から左右確認できます。
表からみるとそれほどでもない車が裏側が錆び錆という場合もあります。
可能ならばエンジンフードを開けて裏から確認してください。
更に問題なのは、ここのフレームに使われている補修部品は販売終了しているのです。つまり、中古車 の同じ部分をぶった切って移植しないと修理ができない。
新品部品で補修ができるならいいんですが、新品部品がもう入手できないのでリヤのコイルブラケットは要注意点検項目です。
おそろしいことにサンバーに使われているタイミングベルトは切れやすいんです。TTという型式の中期型くらいからはタイミングベルトが切れるとバルブがピストンにあたります。
新規格になったサンバーは最初シングルポイントインジェクションでした。これ以前のモデルならサンバーはタイミングベルトが切れてもバルブクラッシュしない構造でした。
4気筒全てにインジェクターを備えたマルチインジェクションになったタイプ以降は、タイミングベルトが切れたらヘッドを下ろさないといけないです。しかもそれが切れやすい年代があります。
ベルトが切れるというよりはコマ飛びをおこしやすいわけです。
僕が遭遇したのは4万キロでコマ飛びを起こした車両もあります。もし中古車で購入するのならタイミングベルトとウォーターポンプを一式で交換してもらうのがいい。
何台のヘッドを修理したか・・。タイミングベルトは早めに交換しましょう。予算はウォーターポンプ交換込みで5万円前後くらいになります。
サンバーのあるある故障では、ウォーターポンプが漏れやすいです。
なので、中古車を購入する時はタイミングベルトとウォーターポンプを一緒に交換してもらうのがベストです。
余計な心配をしながら乗るよりは、一新してもらったほうがいいですね。
確認はオイルフィルターの取り付け部に緑っぽいクーラントの乾いた後があると要注意です。タイミングベルトカバーを開けてみると派手に漏れているケースが多いです。
軽微な漏れに関しては経過観察でもいいかもしれませんが、タイミングベルト交換がまだの場合一緒に交換してもらうのがお勧めです。工賃はさほど変わらないで交換してもらえます。
鍵を回してもエンジンがかからない・・。
こんな症状がサンバーにはよく起こります。原因の多くはエンジンをかけるメインキーシリンダーの奥に取り付いているイグニッションスイッチの接点不良です。
部品と工賃こみで5000円ちょっとで修理が可能。
症状は、鍵を回してもセルが回らないというもの。キーを回してもエンジンがかからない場合、コラムカバーを外してキーを回しシリンダーの奥にあるイグニッションスイッチを手で動かすと接点が復活してかけることができる場合があります。
中にはキーシリンダー自体が不良を起こしていて、キーを回してもイグニッションスイッチを回しきれない車両もありました。
イグニッションスイッチを交換しても症状が変わらない。スイッチとシリンダーを切り離した状態ならエンジンがかかる場合は、キーシリンダーごと交換しないと駄目。
この場合、注文の仕方によってはエンジンをかけるキーとドアのキーが変わってしまいます。
キーナンバーがわかればキーナンバーを車屋さんに伝えることで、ドアのキーと同じものでメインシリンダーを作ってもらえます。
キーナンバーの確認方法は、スペアキーと一緒についてる銀色のプレートに刻印されています。それがない場合は運転席ドアのカギ穴を外すと刻印されているので確認することができます。
続いてエンジン不調に陥った時に疑って欲しいポイント。
当然スパークプラグも点検しないといけないんですが、イグニッションコイルもよく壊れます。
プラグコードのコイル側を外すと、このように内部で緑青をふいてもげてリークすることが多い。
エンジンが不調だなぁと感じたらコイルを点検してみてください。イグニッションコイル側のプラグコード取り付け部です。
ここが問題なければプラグなどを交換してみましょう。
サンバーの4WDが入らないという故障がよくあります。TT2という型式のものです。
サンバーの4WDはシフトレバーにあるスイッチを押すと、エンジンルームに取り付けられているソレノイドバルブが動いて、エンジンの負圧ををミッションに伝えます。
この負圧を使ってミッション側のダイヤフラムを動かして切り替えます。
ソレノイドバルブがよく壊れることがあります。
エンジンの負圧でギヤが左右に移動して切り替える仕組みです。
ソレノイドバルブを交換しても治らない場合、ミッションのダイヤフラムが不良になってる可能性もあります。よくあるあるなのが、ソレノイドバルブにつながるはずのバキュームホースが外れているなど。
整備士がクラッチをOHするときなど、この辺りを切り離すので人的ミスが多い箇所でもあります。まずはソレノイドバルブのバキュームホースを点検。そのあとソレノイドバルブを交換といった順序を踏まえるといいでしょう。
エンジンをかけようとセルモーターをまわしたらギャギャギャという音がしてエンジンがかからない・・。
比較的年式の新しいサンバーに起こる症状。ファイナルタイプのサンバーやその一つ前のサンバーです。
原因はリングギヤとセルモーターのギヤのかみ合い不良。現在では保証期間がすぎてるので、修理にはお金がかかります。
ミッションを脱着してフライホイールASSYとピニオンギヤを交換するので、クラッチまで滑っていれば10万円コースの修理になります。
部品がフライホイールが2万円超、クラッチキットも2万近くです。
結構大掛かりな修理です。
もし、セルモーターのギヤ鳴りが発生している場合、エンジンの圧縮でリングギヤは同じ個所にとまる特性をもっています。
大体3箇所くらいにかみ合うので、そのすべてが削れてしまうと最終的にエンジンがかけられなくなります。
リングギヤを交換するのなら一緒にやっておきたい修理。それはリヤクランクのオイルシール交換とオイルパンを外してクランクベアリングキャップシールの交換です。
この2か所は経年劣化でオイルが漏れてきます。フライホイールまで外すのなら、もうちょっとお金を出すだけでこれらの修理も可能になります。
サンバーを運転していると、急にエンジンが止まってしまうことがある。こんな症状を起こす車体があります。
大体が暖機が終わった後に発生。冷えたらまた何ともなくかかってしまう・・・。原因は何か?
カム角センサー。年式によっては、このセンサーとクランク角度センサーが追加になっているものもあります。
新しいサンバーはクランク角度センサーも追加になっていますが、TT2の年式の古いものはカム角センサーだけついてるものがあります。
よく壊れます。
走行して、かなり暑くなった状態で壊れる。
エンジンをかけた状態で、ドライヤーで暖め続けると止まることもありますが、再現ができないことが多い。
テスト走行して、もし止まってしまって再始動ができなくなったらこのカムポジションセンサーにパーツクリーナーを吹きかけて、気化熱で温度をさげてやるとエンジンがかかるようになることが多い。
原因不明のエンストはカムポジションセンサーの故障の可能性があります。
ということでセンサーの交換は簡単です。DIYでも問題なくできます。
10mmのネジを外してセンサーをぐりぐりと引っこ抜くだけです。カプラーを付け替えると終わりです。
カムポジションセンサー。値段は2500円弱ですので、原因不明のエンストに困っている人は交換してみてください。
とりあえずまとめてみます。
・Y字フレームの錆、Rrコイルブラケットの錆をよく確認する
・タイミングベルト・ウォーターポンプを早めに交換
・エンジン始動時にギヤ鳴りがしないかどうかを確認する
この3つは必ず点検しておきましょう。あとは細かい故障もありますけどそんなにお金がかからないで直すことができます。
クランクシャフトプーリーがすっ飛んで行ってしまう故障もありましたが、これはリコールになったのでもう大丈夫ですね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。