スバルのサンバーですが、4WDに入らないということで入庫しました。
この手のTT2という型式のサンバーですが、4WDに入らない原因はいくつかあります。
1、スイッチの不良
2、ソレノイドバルブの不良
3、ミッションのトラブル
この辺りがよく壊れる部分です。
サンバーの4WDのスイッチは、シフトノブについています。スイッチを入れて、「カチッ」といったようなリレーが動くような音がすればスイッチは問題ありません。
続いては、ソレノイドバルブを点検します。4WDに入る仕組みとして、4WDのスイッチを操作すると、エンジンの近くにあるソレノイドバルブが動いて、バキュームの通路を切り替えます。そしてミッションに負圧を与えてシフトフォークを動かすという順番になります。
少し分かりづらいですが、右側の黒まるの部分がミッションに入る負圧の部分。
左上の白いまるがその負圧の通路を切り替えているソレノイドバルブです。このソレノイドバルブがよく壊れます。
これが負圧の通路を切り替えているシフトソレノイドバルブになります。4WDのスイッチを切り替えてるときに、このバルブに作動音がない場合は壊れている可能性がある。そういう時は、負圧をミッションに直結してみる。
このシフトソレノイドバルブには4本のバキュームホースがつながっています1つがエアクリーナーBOXへ。2つ目がインテークマニホールド以降のスロットルバルブ付近へ。そして3つ目と4つ目がミッションです。
この2本目のインテークマニホールドへつながっているホースをシフトソレノイド部分で外す。そしてはずしたホースをミッションへ直結させる。
この写真の真ん中辺りに写っているのが、ミッションへつながるバキュームです。このバキュームを入れ替えることに酔って4WDと2WDを切り替えている。右側のホースへ直結させれば2WDになります。左側のホースへ直結させれば4WDになる。
これは降ろしたミッションでの図ですが、ここの丸い部分にバキュームホースがつながっています。
この中にダイヤフラムが入っていて、
右にバキュームを与えるとシャフトが右側へ動き、シフトフォークが抜ける。
左にバキュームを与えるとシフトフォークが左側へ動きシフトフォークが結合させる。
なんとなく丸いのが奥に入っているのがわかりますね?ではさらに見てみると
ミッションケースの一部を取り外してみると
このようになっています。このシフトフォークをバキュームで左右に動かしているわけです。
では今回の修理依頼で入ってきたサンバーはどうだったかというと、スイッチは正常で、ソレノイドバルブも正常でした。症状をもう一度整理すると、4WDにはいったまま抜けないということ。シフトソレノイドにつながるバキュームを直結させても変わらなかった。
ミッションケースを開けてみると、一目瞭然でした。シフトフォークが折損してなくなっている。
通常この白いまるで囲っているスリーブをシフトフォークで移動させて結合させますが、フォークが折れているのでそれができません。スリーブをマイナスドライバーで直接移動させると2WDは抜けました。
このオイルサクションガンがあればミッションオイルの交換は簡単です。
こうなると、ミッションをOHするか、それとも載せ換えるかしかなくなってきます。中古のミッションに載せ換えるということで修理することになりました。
なんでこんなものが折れちゃったのかな。
ちなみに、載せかえるまえにオイルを抜いたら鉄粉まじりのメタリック状態でした。中で粉々になってしまったんでしょうね。
サンバーの4WDに入らないトラブルでした。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。
コメント
スバルはパートタイム4WDの切り替えのために
バキュームとダイヤフラムのアキュムレータを使用していたのは
KT(トラック)KR(バン)の型式以降のサンバーとKF/KMのレックス
の4WD車ですが、スバルのメカニックでも知られていないトラブル
は、前後のタイヤが摩滅して直径のバランスが大きく崩れると
4WDにならない(異音がするばかり)か、4WDになったまま解除しない
トラブルで、初めて4WD車に乗ったばかりの人が多かったです。
その中にシフトフォークの破損も含まれています
一番の珍事件は解除されなくなったサンバーバンがタイトコーナーブレーキングを起こしてしまい、無理に移動したのでクラッチ板が
パンク(フェーシングが粉みじん)で走行不能で救援依頼。
無理はしなかったものの、住宅の路地で道を塞いでしまい救援を
呼ぶ事態になり、その場でジャッキアップで移動もしたことがあります。
昔の説明書には大きくバランスの違うタイヤは交換しろとは書いてなかった様な・・・
今では4WDはタイヤサイズを揃えないといけないということは知れ渡ってきましたが、昔はそんなことがあったんですね。
著しくタイヤの溝が違って外径が変わるタイヤを履かせると、4WDを切るときに結構な振動が発生したりはしますね。
今は介護の仕事に転職したのですが、
そこで使用しているトヨタのシエンタ・・大阪なのに4WD車
そのタイヤが前後の摩耗具合が激しい上に、知識のない管理者が摩滅した前輪だけを交換した結末は!
トランスファー破損・・ミッション交換で保証期間であるにもかかわらず
半額負担の目にあったようです。(10万)
4WDは雪国では必須なんですけどね。
ミッション交換は痛い出費ですね〜