もはや新車で購入することができなくなってしまったロータリーエンジン。
通常のエンジンは、ピストンの往復運動を動力としているレシプロエンジン。これに対してロータリーエンジンというのは、写真のようなローターを回転させて動力を得ているエンジンです。
ロータリーエンジンっていうのはマツダのRX-7やRX-8などに搭載されてきました。その昔にはコスモやらRX-3、ルーチェなどにも積まれていました。
このロータリーエンジンについて振り返ってみたいと思います。
これはレシプロエンジンに使われているピストンです。
クランクシャフトを介してピストンの往復運動を動力としています。
ロータリーエンジンはピストンのように往復はしません。ローターが回転してエキセントリックシャフトに動力を伝える。
まずレシプロの往復運動に対してロータリーは回転運動の違い。最終的に車の動力として出力されるのは回転運動なので、ロータリーエンジンの方がスムーズです。
レシプロは往復運動のギクシャクを、フライホイールでならしながら回転運動にしていますが、ロータリーはそもそもが回転運動そのままです。
ロータリーエンジンも、レシプロエンジンもどちらも4サイクルエンジンです。
吸入・圧縮・燃焼・排気を1サイクルとしています。ピストンの場合1つのシリンダーで1つずつの行程です。マルチシリンダーにして、国産なら3気筒・4気筒などになっています。
それぞれの気筒が違う行程にあることで、往復運動をなるべくスムーズにしています。6気筒エンジンになると、全ての行程が途切れなくスムーズに繋がるので、エンジン振動などが少なくなります。
これに対してロータリーエンジンは特殊。メインと活躍したのが2ローターの13B。コスモのように20Bという3ローターもありました。
この1ローターの動きが特殊です。ロータリーエンジンの構造って2サイクルエンジンも非常に近い性質を持っています。1つのローターがハウジングの中を回転すると部屋が3つにわかれるんです。
この3つの部屋でそれぞれ違う行程が行われている。
イメージをしやすくすると、1つのローターで3気筒分の働きをしているということです。このため、ロータリーエンジンは点火プラグの負担がレシプロよりもシビアになります。通常の13Bであれば、理想を言えば1万キロごとに交換をしたほうがいいというほど。
しかもプラグが高い。1本2000円弱するプラグを4本使っています。1ローターあたりツインプラグになっています。リーディングとトレーディングのプラグを設けて、未燃焼ガスをきっちり燃やすようにしている。
プラグ交換はロータリーの肝になってきます。
ロータリーエンジンは、レシプロエンジンよりも低速でのトルクが不足がちな構造になっています。RX-7という車ですが、発進がちょっと難しい。
半クラッチをうまーく操ってあげないと、すぐにエンストしちゃいます。これに対してディーゼルエンジンのマニュアル。セカンド発進も余裕なほどの分厚いトルク。乗り比べてみるとよーくわかります。
FD3Sくらいになると、ノーマルでもクラッチが結構重たいです。そもそもスポーツカーのクラッチペダルが重たいのは、エンジンの動力をミッションに伝える圧着力が必要だからというイメージです。
より強い力を伝えるには、弱っちいダイヤフラムのスプリングじゃ伝わらいし耐えきれない。なのでノーマルであっても強いクラッチを最初から搭載しないといけない。
渋滞にハマったら最悪なロータリースポーツ。
ロータリーエンジンはレシプロエンジンと違ってオイルを消費します。
レシプロエンジンは、ジェットと呼ばれる穴がありコンロッドからオイルをシリンダー内へ噴射しています。このオイルでシリンダー内やピストンを潤滑・冷却しています。
このまま燃焼室へ入り込むと、白煙がもくもくと出るためピストンリングでオイルを掻き落としています。
この構造がロータリーにはない。しかし、ローターのガスシール類にオイルを回さないといけない。当然油膜があるということは圧縮の保持にも繋がる。これを行っているのがメタリングポンプ。
つまり、ロータリーエンジンはごく少量ずつですが、オイルをハウジング内に供給してます。それがそのまま燃焼するためオイル消費があって普通です。
どのくらいオイルが減るのか?僕が乗っていたFCやFDではオイル交換を3000kmごとに行っていたので、ゲージが目に見えて下がるほどは減っていませんでした。
普通にオイル交換をする分には、オイルゲージのフルまで入ってれば問題ないと言えます。
ロータリーエンジン最大のメリットってなんなのか?これはレシプロエンジンよりも軽量でコンパクトなのに高出力をスムーズに出せるという点です。
複雑なシリンダーヘッドやバルブといった細かい部品も必要ないので、部品点数も少ないです。
ロータリーエンジンって、要求されるオクタン価も低く、実は粗悪な燃料でも大丈夫だったりします。考え方次第で、まだまだ復活の可能性があるエンジンだと思いますが、これから採用されるとしたらレンジエクステンダーのEV用発電エンジンとしてかもしれないですね。
マツダがとりあえずRX-7を復活させてくれることを祈っております。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。