よく覚えているのが、整備士になりたての頃です。
先輩が
「あー、こりゃリレーが駄目だ!」
というのを聞いて、リレーとはなんぞやって思ったのです。今ではそのリレーの存在する理由はもちろん理解しているし、種類があることもわかります。
素朴な疑問で、リレーって何?と、思ってる人が多いのではないかと勝手に思ってるので、分解して解説してみます。
こちらは実際のリレーのケースを外して分解した写真です。
何のリレーか忘れてしまいましたが、5極リレーです。
まず、リレーってどんな役割をしているのか?
ひとまとめにすると、
「小さな電流で、大きな電流をコントロールするための遠隔スイッチ」
僕は最終的にこんな風に覚えています。
構造はどうなってるのかというと、見ての通り、ケースの中にコイルが入っています。
このコイルにつながる2極に電気を流すと、コイルが電磁石に変わります。すると上の写真から下の写真へ目を移してください。
接点が電磁石に変わったコイルによって、下から上へ持ち上げられています。
4極リレーの場合、2極間に電気を流すと、残りの2極間に電気を通すことができる。こういうことです。
では具体的にどのようなところにリレーを使う必要があるのか?
分かりやすい例を挙げるとセルモーターです。
セルモーターってエンジンをかける時にクランキングするモーターです。
ちょっと前の車なら、キーをひねるとセルモーターが追従してキュルキュルと廻り、エンジンがブルンブルンとかかります。
セルモーターを動かすには大きな電流が必要になります。
もしリレーがなかったらどうなるか?
バッテリーとセルモーター、キーの裏にあるイグニッションスイッチまでつながっていたら?
キーをひねったら、セルを回すための大電流がキーの裏側、すなわち手にも伝わってくる。どう思いますか?大電流が、人体を流れてしまう・・。
文章にしただけで危険ですよね?ここにリレーを入れるとどうか?
イグニッションキーのところの配線には、リレーの電磁石のコイルを駆動させるだけの配線がつながっています。
そしてキーをひねって電磁石が働くと、残りの2極間、バッテリーからセルモーターへの配線がつながる。
これであれば、キーの裏に大電流は来ませんよね?安全です。これがリレーを使う意味です。
最初に例を挙げたのは4極リレーの話です。
2極間に電気を流すと、コイルが磁石になって、残りの2極間をつなげる。
では5極リレーだとどうなるのか?
これだと余っちゃいますよね?1極。
5極リレーは4極リレーとは使い方が変わります。簡単に書くと、通路を切り替えています。
コイルに電気を流して磁石にする2極間は同じです。
残りの3極で、Aという回路とBという回路を切り替えています。
つまりもともとの状態でAという回路が稼働していて、2極間に電気を与えて磁石にすることでスイッチングさせ、Bという回路に切り替える。
この接点をよく見ると上下についていて、回路を切り替えられるようになっています。
これが5極リレーの仕組みです。
ではどんなところに需要があるのか?わかりやすいのがフォグランプ。フォグランプって、4個ついていてもいいんですが、同時に3つ以上点灯してはいけないという決まりがあります。
つまり、2灯ずつでハイとローを切り替えて使わないといけない。
そんな時に5極リレーが役に立つというわけです。
リレーを使えばDIYも結構作業の幅が広がります。古い車のヘッドライトをリレーを使うことで明るくすることもできますから。
良かったらリレーを買って実際に使ってみてください。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。