先日スズキから大規模なリコールが発表になりました。
ここにきて何種類かリコールが出てきましたが、今回クランクプーリーボルトについて。当社でも微力ながら数台リコール作業を実施しました。
クランクプーリーボルト交換は結論を先に書くと早めに受けてほしいです。というのも、不具合が出ていてそのままにしておくと、最悪エンジンが駄目になってしまいます。
目次
クランクプーリーボルトのリコールとは?
まずリコールの内容ですが、
エネチャージ仕様車のクランクプーリボルトにおいて、ねじ谷底の形状が不適切なため、耐久性が不足しているものがある。そのため、締付け軸力が低い場合にクランクプーリボルトが折損してガタが生じ、クランクシャフト位相角度を正しく検出できず、適切なエンジン制御ができなくなり、エンストに至るおそれがある。
スズキHPより引用
クランクシャフトというのはエンジンの心臓部であるシャフトです。
クランクシャフトにコンロッドがつながって、さらにピストンと連結されています。このリコール説明では記載がありませんが、クランクプーリーボルトが緩んでしまうと最悪の場合、クランクシャフトが駄目になってしまいます。
クランクシャフトが駄目になるということはエンジンが駄目になるのとほぼ同等です。
クランクプーリーのボルトが緩むと、プーリーとシャフトにガタツキが生じます。ガタツキが生じたまま走行すると、シャフトが削れてしまい、最終的にシャフトとネジ山が損傷してしまうのです。
リコールを早めに受けると、もし緩んでいるとしてもシャフトに損傷がなければ、ボルトを交換するだけで済むからです。
プーリーボルトにはネジロックが塗ってある個体も
この前作業をしたワゴンRはクランクプーリーのボルトがなかなか緩まないと思ったら、ネジロックが塗ってありました。
普通の感覚でネジを外そうとすると、まったく緩んでこなかったです。
これ、交換する必要あるの?って思うくらいです。
もちろんインパクトレンチでは外れなかったので、プーリーロックをして長いエクステンションを使って外しました。
こちらが対策部品のプーリーボルトです。これはまた違う車のですが、こちらにはネジロックが塗ってないですね。やはり個体によって変わってくるようです。
ちなみに、締め付けは角度締めを行います。
ちゃんとしたプーリーホールドがないと結構苦戦します。スズキではリコール用に治具を用意しているので、こちらを使うと作業性はばっちりです。
問題はクランクプーリーのネジが緩んでいるかどうかです。もし緩んでいたら、プーリーとシャフトを点検して損傷していたら交換になります。
実際に損傷していた車にまだ遭遇していないので、その後どうするのかの対応がわかりません。シャフトまで駄目になってればエンジンを載せ替えるのか、それともエンジンを降ろしてクランクシャフトを交換するのか?
どちらにしろシャフトが無事かどうかがカギとなります。
エンジン始動時などいつもと違う音がしていたら、ボルトが緩んでる可能性があるので、すぐに作業をしてもらいましょう。
ボルトの交換なら待っていてもできますが、シャフトが駄目になっていたら入院になりますからね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。