今年もリコールが多い年でした。リコール自体は悪いことではなく、ちゃんと責任をもってメーカーが無償修理にあたります。
しかし、整備の現場にいるものとしては
「そのリコール今更出る?」
とか
「この前修理しちゃったよ・・・」
という事が往々にしてあるんです。そこで今回はリコール前に該当部分を修理したらどうなるのか?実際の経験談で書いてみます。
目次
リコール前に作業をしても返金してもらえるケース
修理しないと使い勝手に支障がでる故障や、走行に影響が出る故障などは、メーカーがリコールを発表する間に修理に踏み切らざるをえないケースがでてきます。
そして、修理をした後にリコールが発表になったという場合。そもそも不良部品だったわけで、修理代を取られること自体が疑問になります。
この場合は修理代を返金に応じてくれるのか?
答えは場合によっては返金に応じてくれます。場合によってというのはどういうことか?
まず大前提なのが、修理をしたという証拠。そしてその修理に対してお金を支払ったという証明が取れる事。
例えば整備工場が発行した納品書と、お金を支払ったときの領収証。この2点がセットで残っていれば返金に応じてくれるメーカーがあります。
実際に返金してくれたメーカーとして、スズキとスバルがあります。他のメーカーでこのようなケースに遭遇したことがないため、確認が取れていないんですが返金に応じてくれる可能性が高いです。
整備工場では大体過去の納品書を再印刷することは容易なので、問題は支払ったという領収証明ですね。これを取ってあるかという所がポイントになります。
リコール前に交換した部品が対策になってるか不明の為、もう一度交換する必要がある
うちの会社でも4社のメーカーであれば、リコール作業を委託して行うことができます。リコールは必ずディーラーでというメーカーも存在します。
ディーラーメカニックと研修で一緒になった時に、こんな質問をしてみました。
「あの作業って、最初はサービスキャンペーンだったのにリコールへ発展したでしょう?サービスキャンペーンで修理している車は作業しなくてもいいの?」
答えはNO!。どういうことか?
例えば、不具合があってそれを修理した。そののちにその部分がリコールだったことが発表になった。こういう場合です。実際に不具合箇所は部品を交換していますよね?
ではもうリコールで部品を交換しなくてもいいの?というもの。いちいち工場に車両を持ち込んで修理するのだって手間です。時間がかかるリコールなら代車も借りなきゃいけないしで、リコール自体面倒ですよね?
このケースの場合は再度該当部の修理をしないといけないんです。
理由は、交換した部品が耐作品になっている保証がないから。新車から3年以内でリコールが出ると、3年間はほぼ保証で修理が可能です。
いくら保証修理で直してもらったとしても、該当部がリコールになったら再修理をしないと駄目だということ。
リコールが出るということ、それはすなわち不良部品の改良版を作って処置をしないといけないわけです。リコール前に修理したとしても流通している部品は、不良部品のままです。
またしばらくしたら壊れる可能性が高いため、改良部品に交換するまでリコールは続きます。
整備工場の納品書と領収は取っておいて
ここから先の話ですが、整備工場で修理をした場合、領収証と納品書の両方をセットにして保管しておくのがお勧めです。
車の修理ってどうしても高いもの。リコールが後日発覚したら返金してもらえるものなら返金してもらいたいですよね。
この前、某S社のリコールをしました。リコールの半年前に該当部を修理していたんです。その時の納品書を再発行して、お客さんに領収があるか聞いたらあるって言われたので、ディーラーに返金処理をしてもらいました。
返金処理をしたうえで、もう一度対策部品への交換をしたんです。
整備した証拠が残っていれば、こういった処理が可能になります。納品書と領収証は動かぬ証拠ですから、保管しておきましょう。
中には非常に高額になる修理代もありますので気を付けてください。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。