スズキの大ヒットモデルであるハスラーが今年新型にモデルチェンジされました。搭載しているエンジンもNAモデルは従来のR06AからR06Dへと新型に切り替わっています。
しかしながら、この新型エンジンに問題が発覚してNAモデルの生産が停止していました。
生産を停止した理由は
「NAエンジン(R06D)を搭載したモデルで、走行中に特定の条件で異音が発生する不具合が判明したため。」
しかし安全性には問題がないとスズキは回答しています。
新型エンジンから異音が発生して、生産を停止。原因は究明中となっていました。
※写真はR06Aエンジン
新型ハスラーやワゴンRに搭載されていたR06D。エンジン内部の異音は何が原因だったのか?スズキによると
「ピストンの摩擦を低減するコーティングの生産工程に不適切な箇所があったため、管理方法を見直した。」
という説明になっています。これだけだとピンポイントにどこの部分だったのかというのがわかりません。
いままでNAモデルに搭載されていた主力エンジンのR06Aから、新型エンジンR06Dは何が変わっているのか?
まずR06Aと比べてストロークが長いです。R06Aが64.0×68.2mmなのに対し、R06Dは61.5×73.8mmにへロングストローク化されています。
ストロークというのはシリンダーでいうと縦の部分です。ボアは幅と考えるとわかりやすいです。ボアが従来エンジンより小さいので、使われているピストンも小さくなっているはずです。
燃焼室も変わってるので、使用されているバルブも変わってるかと。
ロングストローク化にすると、熱効率と燃費に有利と言われています。
そして、燃料噴射のインジェクターはデュアルタイプへ変更されています。デュアルということは1シリンダーあたり2つのインジェクターを使ってるということです。
そしてクールドEGR(排気ガス循環装置)を採用しています。
よくよく見てみると従来のR06AからR06DってAとDの違いだけでは語れないほど、変更がかかっていますね。もう少しエンジンのネーミングを変えてもいいくらい、新型になっているのがわかります。
そして気になるのが、生産が停止する前に販売されている新型ハスラーやワゴンR。こちらにはリコールやサービスキャンペーンなどの措置をとるのかどうか?
これについては正式な回答は出ていません。ですが、生産停止を決めるほどのことですし、それがこれだけ騒ぎになっていることなので、何かしらの措置は取れると考えます。
「ピストンの摩擦を低減するコーティングの生産工程に不適切な箇所があったため、管理方法を見直した。」
この部位が一体どこを指しているのか?ピストンに表面処理をしていて、その部分なのか?はたまたシリンダーブロック側なのか?
それともコンロッドやメタル部なのか、詳しい情報がこれ以上出ていないので想像になります。
いずれにしろリコール処置をするにしても、問題があるのがエンジン内部なので作業は大変です。86やBRZのバルブスプリングリコールより大変かな。ピストン付近をいじるにはエンジンを下ろして分解しないと駄目です。
ほぼオーバーホール工程に近くなりますから。
あくまでも想像になりますが、発生対応リコールなどにするのかもしれません。スズキの他のリコールにもあるのですが、マフラーやストラットからの異音が出たらその時点で修理をしましょう!
という類のリコールがスズキには数個でています。つまり車の寿命まで問題なく走り切れることもありますが、途中で異音が出ることもある。異音が出たらその時点で修理しましょうということ。
今回のR06Dもこういう類のリコールにするのではないかなと。
それでは新型ハスラーやワゴンRのターボは大丈夫なの?という疑問がわくと思いますが、これは従来型エンジンであるR06Aを使ってるので問題がありません。
そもそも新型ハスラーのターボになんでR06Dを搭載しなかったのか?
こちらについても、ハスラーを買う人って8割以上がNAモデルを選ぶ傾向にあるということ。だったら先にNAエンジンを新開発しよう!ということでデビューしたのがR06Dです。
当然このエンジンターボにも転用可能として開発されているので、熟成が進めばターボ化されてくるのは容易に想像ができます。
それでは新型ハスラーのNAをすでに買ってしまった人はどうすればいいのか?
安全上問題はないので、普通に使っていればいいと思います。メーカーから正式なアナウンスが出るはずなので。
もし全数リコール処置とするのであれば、おそらく時間が結構かかります。発生対応リコールになるのであれば、異音が発生した時点でリコールを受ければ問題ありません。
どちらにしろ、エンジン内部のリコールなので、エンジンがくたびれてきたときにリコール作業してもらうとオーナーにとってはメリットが大きいかな。エンジンを分解しないとできないので、それに付随する部品は全て新品を組んでくるはずです。
くたびれたエンジンをセミオーバーホールしてくれる!そんなリコールだ!と前向きに考えて使っていくのがいいのではないかなと。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。