この前新古車を仕入れて販売しようとした時のこと。
こういうケースがたまにあるので要注意と紹介します。
山間地に通うお客さんだったので、納車時にはスタッドレスタイヤでと依頼されていました。
なので、営業に言われてタイヤをスタッドレスへ履き替え作業をしていた。
その時に事件は起きた!
リヤタイヤを外そうとホイールナットを外して、タイヤを持ち上げたらなんか引っかかる・・。
と思ったらこんな状態。
!!ドラムブレーキのブレーキドラムがホイールにくっついたまま外れてきた。
ドラムブレーキって、2パターンあります。
1つはこの車のようにタイヤを外したら、サイドブレーキをかけていない限りは簡単にブレーキドラムが外れる構造。
もう1つはリヤハブロックナットを外さないとブレーキドラムが外れないパターン。
前者は車体側にホイールナットの雄ねじであるクリップボルトが残ってきます。
後者はブレーキドラムにクリップボルトが圧入されています。
それではなんでこんなことが起こり得るのかというと、・・・。
ビッカビカに光っているブレーキドラム。
この通り!ドラムに塗装を施してあります。
推測するに、新古車は必ずしも車庫に保管がされていないため、置いてある期間が長くなると錆てきます。これはしょうがないです。
錆びてくると見映えがよくないので、ドラムを塗装して業販店へ納車した。こういう理由です。気を使ってくれるのはありがたいけど一歩間違えば結構危険。
もし一番最初にタイヤを外すのがお客さんだった場合。タイヤを外した瞬間ドラムが外れてしまう。
それに気がつかないでスタッドレスタイヤをつけたらどうなるか?
ブレーキを踏んだ瞬間にブレーキフルードが漏れて、ブレーキが正常にきかなくて事故ります。
ブレーキドラムを外したまま、ブレーキを踏むとペダルの踏み心地がスポンジーになり、シューを抑えるドラムがないためにホイールシリンダーからブレーキフルードが漏れまくります。
昔一度だけ遭遇したことがあります。新人が車検整備の時にシャシブラックをドラムにもふいて乾かす前にタイヤをつけた。
お客さんがスタッドレスを履き替えようとしたらブレーキがおかしい。見たらブレーキドラムがないんですよ。もしや・・と思って取り外したノーマルタイヤを見せてもらったら案の定ホイールにブレーキドラムがくっついていた。
ドラムにシャーシブラックを塗布するのは基本的にお勧めできません。見映えがよくなるけど、錆止めをふくなら耐熱のスプレーを吹いておくのをお勧めします。
そして十分に乾燥させるか、もしくはホイールとの接合面には塗らないこと。でないと、こういう事故が起こるのです。
今回は反対のリヤドラムもホイールにくっついてきた。
自分でタイヤ交換をする人は、リヤタイヤの脱着には気をつけてください。4輪ディスクなら問題ないですけどね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。