たまに遭遇することがある事例ですが、ご紹介します。最終的に部品が駄目になり、高額な修理が必要になってしまいました。
症状としては、車の下あたりからかなりオイルが漏れているとの事です。オイル漏れが激しいということで、レッカーで搬入してきました。
車をリフトアップしてみたらこの通りです。
何だこりゃ?これ、枯草です。枯草が絡みついてしまっています。
これが原因で激しいオイル漏れが発生していました。
目次
プロペラシャフトに絡みつく異物に注意
これはフロントデフです。プロペラシャフトとデフの部分。デフミッドに枯草が絡みついています。
横置きエンジンのFFレイアウトであれば、プロペラシャフトは使われていません。4WDやFRレイアウトになると、フロントとリヤをつなぐためにプロペラシャフトを使っています。
このプロペラシャフトに異物が挟まってしまうケースです。
主に獣道などを走行したらよくあるパターンです。
どうしてプロペラシャフトに異物が絡みつくだけで、オイルが漏れてくるのか?
分解してみます。
デフミッドはオイルシールでオイルが外部に漏れださないようにしている
異物をある程度取り除き、プロペラシャフトとフランジにマーキング。分解。
分解するとこの通りです。デフミッドのフランジの奥にオイルシールがあります。このオイルシールがデフミッドからオイルが外部へ漏れ出さないようにしています。
ここまで枯草が絡みついてしまうと、オイルシールを傷つけてしまいデフオイルが漏れ出します。
デフミッドは高速で回転する部位なので、そのオイル漏れは相当な勢いになります。フロア下がオイルでべったりしてしまうほど。
フランジが無事ならオイルシールを交換することで、オイル漏れは修理できます。
問題なのは、オイルが必要以上に出てしまった状態で走り続けてしまった場合。
デフオイルの量は1リットル程度しかない
デフオイルは軽自動車クラスだと1リットルも入っていません。
万が一デフミッドに異物が絡みこんでオイル漏れを起こしてしまうと、あっという間にオイルが外部へ漏れ出してしまいます。
さらにここは高速で回転する負荷のかかる部位です。オイルが切れた状態で走り続けるとどうなるか?
デフが焼きついてきて、異音が発生(うなり音)最悪そのまま放置していると、デフがロックしてしまうか完全に焼き付いてしまうか。
もしかしたら高熱を帯びて車両火災になるかもしれません。そのくらい危険な部分です。
実際にデフミッドからオイルが漏れていた車両で、フランジを外したら枯草が絡んでいた車がありました。
残念ながら、その車はすでにデフからうなり音が発生していたので、デフを交換せざるを得ませんでした。デフは相当高額な部品です。5万円ちかくします。ここに工賃などが入ると10万円ちかい出費になってしまいます。
舗装されていない獣道を走行すると、こういった被害を受けることがあります。ちなみにこういう場合でも車両保険がききました。
保険屋さんに相談すると、車両保険で修理ができる内容だと。掛け金の上昇率と天秤にかけたら保険を使ったほうがお得でした。
舗装されていない道を走る時は要注意!
仮に下回りがぶつかっていないとしても、そこに草が伸びているかもしれません。枯草やビニールひもなどをプロペラシャフトに巻き付けてる車を何台か見たことがあります。
かなりの確率でオイル漏れが発生してしまいます。
デフオイルは1リットル弱しかない。高速で回転する部分なのであっという間に油膜切れになり、異音が発生。デフが壊れてしまう。
回転するものに巻き付いてしまうのはある程度はやむをえません。オイル漏れが発生したら、すぐに走るのをやめないと二次災害へ発展しますので注意してください。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。