駆動系

注意喚起!エンジンマウントの劣化を放置すると、プロペラシャフトが脱落し事故になる可能性

ちょっと無視できないサービスキャンペーンがひっそりとかかっていたので、周知したいと思います。

対象車種は主にマツダのボンゴです。OEMで三菱のデリカや日産バネットも含まれます。主に小型貨物の1BOXタイプの商用バンですね。

最終的に不具合となるのがプロペラシャフトの破損です。プロペラシャフトというのは、ミッションの動力を後輪へ伝えるためのシャフトです。これが脱落してしまう可能性があるということです。

車種は違いますが、画像真ん中に通ってる黒いシャフトがプロペラシャフトです。

プロペラシャフトを使ってるレイアウトは?

まずプロペラシャフトですが、すべての車に使われている部品なのかというと、そうではありません。

それでは、プロペラシャフトを使っている車はどういうタイプなのか?これはエンジンの搭載位置や駆動方式によって変わります。

プロペラシャフトを使っていない駆動方式は、FFやRR。MRなど。

プロペラシャフトを使ってる駆動方式はFRや4WDになります。

何が違うのか?プロペラシャフトは極端な言い方をすると、前輪と後輪の動力をつなぐ役割をしていると思ってください。

ボンネット下にエンジンがあって、後輪を駆動させようとするとプロペラシャフトが必要になります。動力源であるエンジンが前にあるけど後輪を駆動させたい。それをつなぐのがプロペラシャフトです。

FRベースの4WDやFFベースの4WD。どちらもエンジンが前にあり後ろのタイヤを駆動させる必要があるのでプロペラシャフトが必要になります。

後輪をモーターで回すタイプの4WDなどはプロペラシャフトは必要ありません。

ボンゴは基本的にFRベースです。4WDも存在しますが、FRでも4WDであってもプロペラシャフトが必要になります。FRベースの4WDだとシャフトは2本使っています。

プロペラシャフトが脱落する理由は?

プロペラシャフトですが、前と後ろにユニバーサルジョイントを設けています。ここが動くことでミッションとデフに高低差が発生した場合でもスムーズに動力を伝えています。

ミッションとデフって必ずしも同じ高さにあるとは限りません。例えば段差などで後輪との間に高低差が生まれることもあります。まっすぐのシャフトだと動力を伝えることが難しくなる。

なのでユニバーサルジョイントを設けています。このジョイント、実はガタツキが発生して壊れることがあるんです。

ユニバーサルジョイント部のみを交換できるシャフトもあります。

Cリングでジョイントを固定しているもので、リングを外すとジョイントだけ分解して交換ができます。ユニバーサルジョイントにガタツキが発生すると、車検に通りません。

ジョイントだけで交換ができれば部品代は1万円もしません。若干の工賃はかかりますけど。しかしプロペラシャフトアッセンブリーの交換だと5万円をかるく超えてきます。

プロペラシャフトは精密な部品です。高速で回転するシャフトなので、振れが出ないようにバランス取りされています。

ユニバーサルジョイント部の固定にCリングを使っていないシャフトは、非分解式となりアッセンブリー交換が必要になります。

ボンゴにプロペラシャフトのサービスキャンペーンが発生

いつの間にかサービスキャンペーンがかかっていたボンゴのプロペラシャフト。これ、知らなかった同業者の人もいるかもしれません。

サービスキャンペーンの内容を読むと、対象となってるボンゴやタイタンですが、平成22年4月末くらいまで製造の車体になっています。

一番の??なのは、サービスキャンペーンでこの年代のボンゴやタイタンについては、プロペラシャフトの点検をちゃんとやってくださいという内容なんですが、異常があった場合新品部品へ無償で交換するという記載がありません。

つまり、この年代のプロペラシャフトが他の個体に比べて劣化しやすいということですね。

そもそもがユニバーサルジョイントにガタツキが発生すると車検には通りません。

プロペラシャフトが脱落したらどうなるのか?

最後にプロペラシャフトが脱落したらどうなるのか?

シャフトが脱落するとしたら、ユニバーサルジョイント部が破断するということです。それがフロント側のジョイントかリヤ側のジョイントかによって分かれます。

リヤ側(リヤデフ側)のジョイントが破断するとミッション側に残ったらシャフト本体が暴れてしまい、側面にある燃料タンクに干渉して燃料タンクに穴をあける可能性が考えられます。

いきなり燃料漏れが発生して、車両火災につながるかもしれない。

フロント側のジョイントが破断すると、惰性で回転するシャフトが残るのでシャフトが道路に引っかかって最悪のケース横転などを起こす危険性もあります。

どちらもスピードが出ている時を想定しています。スピードが出ていると大惨事になりかねませんので注意が必要です。

プロペラシャフトのメンテナンスは?

最後にプロペラシャフトにできるメンテナンスってあるのか?ということ。

これは一部のシャフトを除き、事前にできるメンテナンスはありません。ジョイントを交換できるタイプのものは、ジョイント交換。

ジョイント部にグリスアップができるものはグリスアップをしてあげる。

そのほかのシャフトについてはガタがでたら、交換するしかありません。感覚的に10万キロは持つと思います。15万キロくらいになったら怪しいですね。

余談になりますが、エンジンマウントやミッションマウントの点検が、プロペラシャフト保護にいつながります。

エンジンやミッションはゴムのマウントを介して車体に固定されています。このマウントが経年劣化で切れてしまう。

もしマウントが切れてしまうと、エンジンやミッションが通常よりも振れたり振動が大きくなる。エンジンやミッションが振動すると当然プロペラシャフトのジョイントにかかる負担が大きくなるので寿命が短くなります。

エンジンマウントやミッションマウントの点検をこまめに行って、切れていたら交換しましょう。これが結果的にプロペラシャフトの寿命を延ばしてくれます。

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