エンジンオイルの交換はメンテナンスの基本中の基本。DIYで初めてメンテナンスを自分でやろうとしたときに、真っ先にできるのがオイル交換でもあります。
しかしながら、入庫してくる車の状態を見ると
「ひどい作業だな・・・。」
と感じざるを得ないものが多々見受けられるのも事実です。
今日はメンテナンスの基本であるオイル交換について。実はオイル交換の作業を見れば、作業した整備士の技量がわかるって知ってますか?
技術の高い整備士が行うプロのオイル交換とは?手順を一から紹介してみます。
目次
交換前のエンジン音などをチェックしておく
プロが行うオイル交換。お店などでオイルを交換する時は大体リフトアップして行います。車両をリフトに搬入する前から、作業は始まっています。
最初に確認すべきことは、エンジンの音など現状をよく観察しておく。感じておく事。異音などが現状発生していないかなど。リフトへ入れる時に、体感しておき覚えておくということ。
そして、エンジンを停止して最初に行うのは、前回のオイル交換ステッカーなどを探すこと。自社で交換されている車両であればパソコンで作業履歴を追うことができます。
しかし、オイル交換はいろんなお店で行ってる場合が多い。そんな時、前回のオイル交換の記録をさぐります。
レベルゲージを抜いて、現状のオイル状態を確認する
エンジンを停止してボンネットを開けたらまず最初に行うべきことは、若干時間をおいてからレベルゲージを抜くということ。
この動作はかなり重要です。下手な整備士はいきなりドレンボルトを外してオイルを抜きがちです。
オイルレベルゲージを抜くことで何がわかるのか?
レベルゲージから読み取れる情報はたくさんあります。まずは現状のオイルの状態です。色や粘度、さらにはレベルゲージに付着してくる量。前回も自社でオイル交換をしている場合、前回交換距離からの走行距離で、どの程度オイルが減っているかが読み取れます。
つまりエンジンがどの程度オイルを食ってるなどの情報を読み取るチャンスなのです。最初からオイルを抜いてしまうのはNGです。まず最初はレベルゲージを抜いて現状を確認すること。
著しくオイルが減っているようなら、交換のスパンを短めに設定しないといけません。いきなりオイルを抜いちゃうとこの辺りの情報を読み取れなくなってしまいます。
ドレンボルトを外してオイルを排出しながら行う事
レベルゲージのチェックが終わったらドレンボルトを外して、古いオイルを排出します。このオイルが抜けている間に行いたいことは、新油の準備やパッキンの交換など。オイル交換で待っててもらう時間というのはせいぜい20分くらいがベスト。
オイルを排出しながら並行して違う作業を行います。
まずは外したドレンボルトから古いパッキンをはがします。そしてネジ山を奇麗にパーツクリーナーで洗浄します。
特に今のエンジンはアルミのオイルパンが多いので、ドレンボルトのネジ山部にゴミなどが付着しているとオイルパンを痛めてしまう。
奇麗に清掃することが必要です。
さすがにドレンボルトのパッキンを交換しないところはないと思いますけど・・・。汎用品でもいいんですが、できれば純正のドレンパッキンがベストですね。
新品のパッキンをドレンボルトに装着しておきます。外車などはドレンボルトごと交換推奨なので、きちんと守ること。
必要であればオイルフィルターの交換も同時に行う
最初にオイル交換ステッカーやレベルゲージの情報から、今回オイルフィルターも同時交換するべきタイミングだったら、一緒に外します。
今の車はオイルフィルターの交換がやりやすく、オイルが周囲に付着しないような場所に取り付けられているので助かりますが、フィルターを外すとオイルが排出されるので、オイルパンのオイルと一緒に排出すると時間が短縮になります。
オイルフィルターを外してオイルが出なくなったら取り付け面を奇麗に清掃します。古いオイルをふいて、取り付け面をパーツクリーナーなどで洗浄します。
中身のろ紙だけを交換するタイプのエンジンは、フィルターケースを入念に清掃しましょう。
オイルフィルターの取り付け面を奇麗に清掃したら、新品のフィルターのOリング部にオイルを薄く塗ってから取り付けます。
オイルフィルターにも規定トルクが存在するので、注意が必要です。締めすぎても緩みすぎても駄目です。
オイルフィルターを装着したら、ドレンボルトを締め付けます。当然トルクレンチを使って規定トルクで締め付けること。
ドレンボルトとオイルフィルターの両方を交換したら、パーツクリーナーで残りのオイルなどを奇麗に清掃します。
プロが行ったオイル交換って、本当にオイルを換えたの?と疑いたくなるほど痕跡を残さないもの。
オイルはゆっくりと入れて量は厳守!
新油を注ぐときはゆっくりと入れます。写真はDIYで自分の家のオイル交換をやりながら撮影していますが、できればオイルフィラーからこぼれないようにウエスなどをあらかじめ添えておく事。
オイルを勢いよく入れると思わぬところから吹き返したりすることがあります。ゆっくりと入れるのがポイント。そして量は絶対に厳守すること。入れすぎは百害あって一利ありません。それほど今の車はエンジンオイル交換が難しくなってきています。
新油をそそいだらゲージを抜いて量をチェック。とりあえずゲージのFに近い位置まで来てればエンジンを始動します。
エンジンを始動しながら、次回オイル交換ステッカーの距離を記載して貼り付けます。この間エンジンはかけっぱなしにしておいて、各部から漏れてこないかを確認します。
オイル交換ステッカーはエンジンの状態で次回交換距離を設定します。オイル消費が激しいエンジンは早めの距離を書いておかないといけません。当然ですが汚れた手でステッカーを書かないこと。たまに指紋がオイルステッカーについてるケースを見かけますが、汚いです。
そしてオイルフィルターからたまにオイルが漏れている車両を見かけます。パッキン部を奇麗に掃除していれば漏れることはほぼありあり得ないです。
各部からオイルが漏れてこないことを確認したらエンジンを停止してゲージを確認。
おそらくオイルフィルターの部分にオイルが流れ込んだ分だけ減っているはず。減ってるオイルを再び補充して量を合わせます。Fから8割~9割くらいの位置で合わせるのがいいと思います。
何故ならばこの段階ではオイルのすべてがオイルパンに戻ってないので、若干ゲージが少なめに表示するからです。
繰り返し書きますが、量は厳守です。
オイル交換が終わったら必要な車はリセットをかけること
最近の車はオイル交換をしたらリセットをしないといけません。これを忘れてしまう整備士が多い。忘れるということはあってはいけないことです。
自分の車のリセット方法を事前に調べておいて、交換後にリセットをしましょう。
よくあるのがオイル交換をしたのに、オイル交換ランプが点灯したとか。スパナマークがついたなどという苦情です。
オイルを交換したらリセット。今の車には必須です。
オイル交換でここを守ってない整備士は二流と言わざるを得ない
実際に僕が整備の現場で働いていて、こいつはオイル交換が下手な整備士だな・・・と思う人間もやはり存在します。
オイル交換をきちっとできない整備士は二流と言われても仕方がありません。
では一流と二流の大きな違いはどこか?
・オイルを排出する前にゲージを抜いて現状確認をしていない
・ドレンボルトやオイルフィルターをきちんと清掃していない(古いオイルが付着したままになってる)
・ドレンボルトを規定トルクで締めていない
・オイルをこぼした跡が残っている
・オイルの量が多すぎたり少なすぎたりする
・オイル交換後のリセットをしていない
・オイルステッカーに指紋などがついてきたなく見える
・伝票に交換されたオイルの量が、規定量よりおかしい数字になってる(規定量は3.2リットルなのに3.5リットルで請求されてる等)
僕は数年間フロント業務も行った事があります。とにかくオイル交換がきちっとできないと苦情をもらうんです。もらった苦情が自分を鍛えてくれました。自分がやった作業ではないけど、お客さんはこんなところを指摘してくるんだ・・・。
お客様目線が鍛えられたのです。これらをきちっとできない整備士や工場ははっきり言って二流です。たかがオイル交換だとなめてかかっているのか、そもそも技術がそれくらいなのかのどちらかだといわれても仕方がありませんから。
もしあなたがお店にオイル交換を依頼していたら、これらの部分をチェックしてみてください。どれか一つでも当てはまるようだと、うーん・・・・。という評価になってしまいますよね。
お金をもらってる以上、どんな作業でもきっちりこなすのがプロというものです。僕は超大雑把なO型で、自分の車をいじってるときはO型になりますけど、仕事に関しては正確性をとにかく重視しています。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。