エンジン

走行中エンジンが停止するパジェロミニの原因は、配線のショート!オーナーは気を付けて

昔に遭遇したパジェロミニのトラブルを改めて紹介したいと思います。

というのも、このトラブルは知っておかないと非常に難解なトラブルだったからです。


三菱パジェロミニ


どんな症状だったかというと、段差を乗り上げた瞬間にエンジンが停止したというものです。
この時点で自走が不可能でした。

エンジンが停止してしまい、再始動ができなくなってしまっていた。レッカーで引き上げてきました。

走行中だったので懸念されたのがタイミングベルト切れです。

DOHCのターボエンジンが搭載されているパジェロミニです。走行距離も8万キロを超えていたので、切れてもおかしくはない。

入庫してきた段階で、タイミングベルトが切れているかどうかの有無を調べる為、オイルフィラーキャップを開けてクランシャフトプーリーを回し、カムが追従して回っているかを確認。

ベルトは切れていないようでした。ただコマとびの可能性は0ではない。


それではと、セルを回そうと思ったら電源が入らない。いわゆるバッテリーあがりではなくて、電源そのものが入りません。走行していた車の電源が全く入らなくなるというのは、考えられる限りヒューズが飛んでいるくらい。

さっそくヒュージブルリンクを点検すると、メインヒューズが飛んでいました。



ためしに、パワーウインドウの30Aのヒューズをメインに入れてセルを回したら一瞬回ってすぐ飛んでしまいました。


どうやらどこかでショートを起こしている様子です。メインヒューズは40A。メインヒューズが飛ぶというのはなかなか強烈なショートです。

メインヒューズが飛ぶ箇所というと、セルモーターやオルタネーターです。

オルタネーターは電気を使うというわけじゃないけど、この端子がショートするとメインヒューズは飛んでしまいます。なのでその2つをまずチェックすることに。


オルタネーターはどこかに接触している気配はない。

セルモーターはちょっといやなところにあって、オルタネーターの奥にあった。

そこでセルモーターのC端子(黒いカプラーの端子ね)を外した状態でメインヒューズを入れて電源を入れるとショートしない・・・

この時点ではまだ整理がつかないので、取り合えずセルモーターを外してみました。

セルモーターを単体点検すると、特に異常はなし。ちなみにセルが抜けるスペースがないので、結局オルタネーターも外しました。

とりあえず振り出しに戻って、セルモーターを組付け。廃車が数台あったので同じ40Aのヒューズを取って、もう一度装着してクランキングしてみました。

そうしたらセルモーターが普通にキュルキュル回って、エンジンがかかりました。

まったく意味不明のまま、復旧してしまったパジェロミニ。

その後、走行をしたらまた同じようにエンジンがパタッと止まってしまいました。やはりメインヒューズが飛んでいた。

どうやら配線が怪しくなってきた。

配線各部を目視しながら、先輩整備士と一緒に点検していたらショートをした瞬間を目撃!

その配線が非常に曲者でした。


バルクヘッドの奥。インタークーラーで隠れていますが、太いハーネスです。


この1極のカプラーです。これがショートをしていました。

これは何かというと、燃料ポンプを単体で動かすことが出来るカプラーなんですよ。
燃ポンが壊れているかをいちいちポンプを外さなくてもこのカプラーに電源をいれてやるとポンプが回る、ポンプ点検用のカプラー。

これがバルクヘッドの鉄部分とショートしていたんです。



この1極カプラーですが、本当にボディーのバルクヘッドすれすれの位置にあります。
これが長い間使ってくると段差などで配線が擦れて最後にはショートしてしまったというわけ。



これはこの車だけじゃなく、ほかのパジェロミニもなる可能性が大いにあります。

なにせこんな強力な配線がボディーのすぐそばにあるんですから。
劣化して配線がむき出しになったときには、一気にメインヒューズが飛んでしまいます。



と、いうわけで配線を修理して悪さしないように固定しておきました。



このカプラーに12Vを食らわしてやると燃料ポンプが動くというカプラー。
これがバルクヘッドにあるがために、経年劣化で配線がすれてむき出しになったところでショートした。


この配線の取り回しはいただけませんね。こんなにボディーアースに近い位置に存在するカプラーです。

経年劣化で配線がこすれてくれば結局はショートしてしまいます。
パジェロミニオーナーの皆さんはこのカプラーの配線はグルグルに絶縁テープで補修しておくことをお勧めします。


セルを外してなぜエンジンがかかったかというと、セルを外すときにハーネスを少し引っ張ったため、ボディーから離れてショートが一時的に解消されたためです。

配線図とにらめっこをする直前で、3人の整備士の目視によって発見できたショートです。

もしパジェロミニで同様のトラブルに苦しんでいたら、是非確認してみてください。

あと予防しておいた方がいいと思います。絶縁テープでぐるぐるに固定しておいてください。

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