エンジン不調の原因は様々ですが、結構多い原因の一つに失火があります。
失火というのは、エンジンに正常な点火火花が飛ばないこと。失火の原因は大半がリークです。本日は点火火花のリークについて。
現在市販されている新車のほとんどは、ダイレクトイグニッションシステムを採用しています。ダイレクトイグニッションとは、各シリンダーごとに独立してイグニッションコイルが取り付いている。
プラグの真上にダイレクトイグニッションコイルがついていて、そこから直に点火火花をプラグに送っています。
それに対してちょっと昔の車は、ディストリビューターという配電装置をつかって、各シリンダーへ点火火花を飛ばしていました。
エンジンの点火タイミングをディストリビューターとうまく同期させる点火タイミングの調整をちゃんとやらないと、エンジンがかからなくなったりもします。
ディスビを使ってるタイプはイグニッションコイルが1つだけしかない。コイルからディスビへ電気が伝わり、ディスビからプラグコードを介してプラグへ電気をおくる。
このプラグコードが、リークすることが多くてなくなっていきました。
今回、リークしたプラグコードを撮影してきました。
一番右端の1番シリンダーのプラグコードからエンジンのヘッドカバーに電気が飛んでいるのがわかります。
なぜこんなことが起こるのか?
リークしたプラグコードを外してよーく見てみると・・・
ちょうどど真ん中に亀裂が入っています。
ここから電気が逃げて、プラグに到達する前にヘッドカバーへショートしています。電気は水と同じです。上流に漏れる原因があれば、そこから水は漏れていきますよね?
プラグコードのリークもそうです。毎回リークする訳ではなく、点火のタイミングと振動でプラグコードの亀裂からヘッドカバーへ落ちる距離ならリークする。そうでなければなんとかプラグまで火花が落ちる。
こんな感じ。完全に失火すれば、明らかにエンジンが不調になります。この程度のリークだと、アクセルをふかし上げてしまえばわかりにくいかもしれません。
それではなぜプラグコードのリークがおこるのか?リークするのはコードに傷が入っているからです。原因は簡単。新車時からずーっと触らず取り付いていれば傷なんかつきっこありません。
明らかに人為的なミスが考えられます。これはサンバーのプラグコードなんですが、しばらく外していないコードって、プラグにがっつりとへばりついています。それを変な工具を使ったりして引っこ抜くと簡単に亀裂が入る。
新人整備士がよくやってしまうトラブルです。
プラグコードの車が入庫してきて、作業指示にプラグ交換がある。入庫時になんともないのに、納車時にエンジンが不調になっていれば高確率でプラグコードが怪しい。
プラグコードってデリケートなものなので、脱着は基本手で行わないといけません。工具を使うと傷がついてリークしてしまいますから。
これは何もプラグコードだけに限ったことではありません。ダイレクトイグニッションであってもコイルチューブに傷がついたりしてリークすることが多いです。
ダイレクトイグニッションの場合、コイルの製品自体に多少問題があるような気がしますけど。
スパークプラグは電極が磨耗してきたら交換すること。ギャップが広がりすぎると、プラグに火を飛ばす要求電圧があがるので、下手したらECUを壊してしまう可能性も出てきますので注意です。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。