数多くの車に搭載されているイリジウムプラグ。普通のプラグが2万キロ弱で交換目安なのに対し、電極にイリジウムを採用して長寿命化をはかっています。
その為、イリジウムプラグは交換時期を10万キロと定めているメーカーがほとんどです。イリジウムプラグや白金プラグと呼ばれているプラグについて、気を付けないといけないのは電極が両貴金属タイプであるということ。
こちらはちょっと紛らわしいKR7AIというプラグです。これは片側の電極にしか白金を使われていません。
つまり、白金プラグと言われながら2万キロで交換をしないといけないのです。
ちょっと昔のスズキ車に使われているプラグですね。K6Aエンジンです。
今日考えたいのは、これら片白金プラグではありません。純粋に10万キロOKと呼ばれているプラグに対して。
僕が乗っている車は9万キロ走行時点で10万キロOKのスパークプラグを取り付けられています。そういえば車を買ってから一度も外してないな・・・。まあ10万キロOKのプラグだからいいかなって思っていたけど・・・。
目次
これが10万キロもつ?絶対無理だと思うイリジウムプラグの状態
僕の車には9万キロ走行時点でNGKのイリジウムプラグLKR7AIX-Pに交換されています。
このプラグ、両貴金属タイプの10万キロOKとされているプラグです。
走行2万キロ弱で状態はどうなっているのか?
結果を先に書くとこれが車両から外したプラグです。じっくり見てみましょう。
電極もかなり白っぽくなっています。根元のガイシ部分は真っ黒。
この状態のプラグ、10万キロ持つと思いますか?
僕は無理だと思います。
ちなみに左から一番、二番、三番シリンダーから外したものです。
交換を前提で新品を買っておいたので比較します。
今日用意したのはNGKのプレミアムRXです。
せっかくなので超寿命タイプでさらに性能もいいものにしました。
新品のプラグと2万キロ走行後のイリジウムプラグを比較
一番シリンダー。
二番シリンダー。
三番シリンダー。
見てみると一番シリンダーについていたプラグが一番摩耗しているように見えますね。
新品と比べると、明らかに摩耗・劣化しているのがわかります。
では何故10万キロもつプラグが2万キロ弱で交換しないとまずいと思ったのか、理由を書いてみます。
プラグに耐久性があってもエンジンのほうが駄目
僕がこのプラグを見て早くに交換しないとまずいなと思った理由は2つです。
まずプラグの状態でガイシも真っ黒になってきてるし、ネジ山もかなり焼けているのがわかります。
これ、プラグホールからエンジンオイルが漏れています。
シリンダーヘッドのカバーって、ゴムパッキンでオイルが外部へ漏れないように密封されています。ここの部分にプラグホールのパッキンも一緒になっています。
ヘッドカバーパッキンが長く乗ってくると、弾力性を失って固くなり隙間からプラグ穴へオイルが混入してくる。
こうなると、ダイレクトイグニッションもだめになるしプラグもだめになります。ぼくの車もその一歩手前まで来ているのがわかります。
プラグが駄目だというよりは、エンジン側を修理しないとどれだけ新品をつけても駄目だということ。
続いてはこちら。
この一番シリンダーのプラグ。電極がかなり白く焼けすぎて粉っぽくなってきています。
オイルが燃焼室に回ってくると、こういった症状になるということ。もう一つは燃調がちょっと薄くなってきているなと。
プラグがあまりにも白く焼けすぎていると、熱価をあげないと燃焼室の温度があがりすぎてプラグとピストンが駄目になってしまいます。
燃調のほうは燃料フィルターなどを交換したり、燃料ポンプがへたってきていたり。あとはインジェクターが詰まってきてる可能性も否定できないので、ひとまず添加剤を入れて様子を見たいと思います。
いずれにしろ、この状態のプラグを使ってるとしばらくしたら失火するのは間違いなかったかな。
プラグが10万キロ持つといっても点検を怠っては駄目
新品のイリジウムプラグって確かに10万キロもつ性能があるんだと思います。
ただ、それは新品のエンジンに取り付けた場合。勘違いしてはいけないのは、くたびれたエンジンの場合、最低限メンテナンスを施した状態じゃないと新品をつけても長くはもちません。
一番はプラグホールからのオイルが混入している状態がよくない。
あとオイル交換をほとんどしてなくてオイル下がりなど起こしているエンジンも駄目。
駄目なエンジンにいくらいいプラグを入れたとしても、それは10万キロは持たないという事。
そして、新車ならまだしも10万キロ超えてからイリジウムプラグに交換したのなら、必ず1万キロに1回程度で脱着して状態を点検すること。
プラグ側でなく、エンジン側に問題がある場合いち早く修理することも可能です。そのまま使い続ければ当然10万キロ持ちません。
軽自動車はイリジウムプラグは5万キロで交換を!
最後に小型車や普通車ではなくて軽自動車の場合。
エンジンが660ccしかない為、常に高回転域まで回してつかいますよね?
エンジンの回転数が高い状態をキープするということは、それだけの回数点火が繰り返されます。つまり、排気量の大きいエンジンよりも軽自動車のほうがたくさんプラグが点火しているため摩耗が早いんです。
なので軽自動車はNGKでは5万キロをイリジウムプラグの交換時期としています。
そもそもが10万キロ使えないということですね。10万キロOKのプラグ。それは百歩譲って新品エンジンの場合だけというのが僕の考えです。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。