お客さんの車で、キーが回らなくなってしまった。
というトラブルが発生しました。
まだ保証内だったので、メーカークレームにてメインキーシリンダーの交換をすることになりました。
要するに、エンジンをかけるための鍵を指す鍵穴ね。
あれをアッセンブリーで交換するというもの。
車はプレオでした。
これはなかなか勉強になりました。
スバルプレオ、キーシリンダー交換
この車にはエアバッグが搭載されているので、作業をする前に
バッテリーのマイナス端子を外しました。
念のため、5分くらい放置。イキナリ爆発したら危ないからね♪
プレオのエアバッグは、ハンドルの横に2つのネジでとまっています。
トルクスレンチだったような気がしました。
それを外すと、エアバックが持ち上がってくるので、
カプラーを抜いて外しておきましょう。
外したエアバックは安全な場所においておいてね。
いきなり爆発するかもしれないから。
そして、ステアリングを外します。ど真ん中の17mmのナットを少し緩めて
ハンドルを力いっぱいひきぬくのです。
ネジを完全に取らないのは、ハンドルがいきなり抜けて、顎などにぶつけないようにするため。
ハンドルがぬけたらこんな状態
見えますね!?キーシリンダー。要するにアレを交換するわけです。
さらに作業性をよくするために、ウインカースイッチアッセンブリーを取り外します。
これもネジ2,3本で止まってただけ。
引っこ抜けるんですよ。これ。なかなか見たことないでしょう?こんなの(笑
これで、キーシリンダーを外すに、外せるものは外しました。
キーシリンダーというものは、簡単にいうと、ネジ2本で
ステアリングシャフトに取り付けてあります。
そのネジを2本外せばいいんだけど、そのネジが問題なんです。
キーシリンダーのカプラーと、ブレーキペダルからのワイヤーを外して
この2本のネジを緩めれば、外れます。
何が問題かって!?
ネジの形状なんですよ!
ねじ山というものが存在しないんです
なんじゃそりゃ?って思うでしょ!?
じゃあどうやって緩めるんだよ?って思うでしょ!?
結果から言えば、大きな木彫りの彫刻をするときを想像してください。
ノミをハンマーで叩いて木を削っていきますよね!?
あれと同じ要領
ネジの緩める方向に、マイナスドライバーをハンマーで打ちつけていくんです
これ、実際文章でかくのはかんたんだけど、すごく技術がいるものなんですよ。
ネジって言うのは、規定のトルクがかかっていて、
それをハンマーとドライバーで打ち込んで緩めていくってんだからさ。
そうそう簡単にはゆるまないんだよね。これ。
苦戦しながらも頑張って取れました。
これが外したネジ
外れてしまえばこっちのものだ!
あとは新品をくむだけ。
え!?ネジを締める時はどうするんだって!?
それが良く出来てるんですよ。この緩み防止のネジって言うのは
締める際のネジは、頭は6角のネジなので、普通のソケットで締め付けます。
で、このネジって言うのは、首が細くなっていて、
折れるまで締めるんです
つまり折れたところが、規定トルク
折れたらこまるじゃんって?
大丈夫。折れるところはネジ山の上なんです。
折れた先のネジは、ネジ山の無い平らなネジになっていて、
普通の人じゃ外せないようになっているんです。
よくできてるでしょ!?
あとはワイヤーやらカプラーやらをはめて終了。
キーシリンダーには、イグニッションスイッチのほかに、
オートマならブレーキペダルへのリンクワイヤーがついてます。
これは何かって言うと、
オートマはブレーキを踏んだ時しかパーキングからシフトを動かせないでしょ?
要するにシフトロックを解除させるためのワイヤーなんです。
だからこのワイヤーがいかれてくると逆に鍵が抜けなかったりする。
パーキングに入っていても、ワイヤーの戻りが悪いと、
キーシリンダーはまだパーキングに入ってないから、鍵は抜けないようにしよう
などという働きをするからです。
あとキーシリンダーを付け替えたら、全部一度総チェックすること。
鍵は抜けるか、シフトははいるか、インパネはちゃんとはまるか、
ハンドルロックはするか!?これでOK
本日はなかなか見られないキーシリンダーの交換でした。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。