今プラグイン・ハイブリッド(以後略:PHV)というと、プリウスやアウトランダーのイメージが強いです。これから、PHVは続々と増えてきます。ここでPHVについて整理して、注意点を書いてみたいと思います。
結果を先に書きます。PHVで気を付けないといけないこと。それはエンジンです。ガソリンの劣化と、燃料の劣化に気を付けないといけない。
PHVを買ったらどうしてもEVモードで走行したくなると思います。ガソリン代よりも電気代のほうが安いし、エンジンを使うよりも静かでスムーズです。エンジンの振動もないので、一度EVモードを体験してしまうとできる限りEVモードで走りたくなってしまう。
PHVはEVモードで走れる距離がハイブリッドよりも長いです。それは搭載されている電池が多いからです。
遠くに通勤をしない人であれば、PHVを買ってしまえばEVモードだけで事が足りてしまう人は多いと思います。
すると、エンジンがかかる時間がなくなってしまいます。PHVのいいところは、EVモードで走れなくなったとしてもエンジンが始動して、普通のガソリンエンジンと同じように走行ができるということ。
ずーっとEVモードだけで走行をしていると、ガソリンが減らないですよね?これが問題です。燃料タンクの中に入っているガソリン、減らないと劣化が進んでしまう。ガソリンの劣化って、思った以上にエンジンに負担がかかります。
PHVの注意点って、EVモードもいいんですが、理想を言えばエンジンもきちんと使って、ガソリンも定期的に入れ替えないといけないということなんです。
オイルだって同様です。一度熱を加えたオイルはもちろん劣化が進みます。これこそシビアコンディションに該当してしまいます。
目次
アウトランダーPHEVの燃料系統を保護する制御とは?
PHVが、エンジンを使わないがためにガソリンの劣化を引き起こすということは説明したとおりです。
では、すでに販売されているPHVはどうか?アウトランダーPHEVはこの辺りをよく考えられています。これらを保護する制御を車側で行っています。
このような注意書きがあります。
「お客様の使用状況によっては燃料タンク内の燃料が消費されず長期間滞留して、燃料の品質が低下することがある。エンジンや燃料系の部品に影響を及ぼす可能性があるため、3ヶ月に一度エンジンを始動し、インジェクタや配管の燃料を流動させること」
このような記載がしてあり更に、長期間使用しない場合走行中に自動的にエンジンが始動し、燃料を消費するように制御されるそうです。このような理由でエンジンが始動された場合、マルチインフォメーションディスプレイに
「エンジン・メンテナンスのためエンジンが始動しました」
ということが表示されるそうです。
このシステム制御になってしまったら、ガソリンスタンドで一度に15リッター以上の燃料を入れないと警告表示が消えないそうです。2回に分けて15リッター入れてはだめで、必ず1回で15リッター以上の給油をしないと駄目なんだとか。
注意書きでは6ヶ月ごとに20リッター以上の燃料補給を行うようにと記載されていますので、EVモードのみで走り続けるのはエンジンにとって好ましくないということですね。
ガソリンは古くなると燃料系統を詰まらせる
ガソリンは腐る生ものであるというと、燃料なのに?とびっくりしますよね?でもこれは本当の話です。
古くなったガソリンは、まず臭いが変です。さらに放っておくと、ネバネバして燃料系統を詰まらせてしまいます。
キャブレターのバイクは乗らない期間、キャブの燃料を抜いておけ!というのを聞いたことがありませんか?キャブレターのジェットという燃料を噴射する部分、燃料を通す穴がとても小さいです。
ガソリンが残った状態で保管しておくとこのジェットが詰まってしまい、エンジンがかからなくなる。キャブをOHしないといけなくなるわけです。
今の電子制御の車であっても同様です。
写真の部品はエンジンに燃料を噴射しているインジェクターという部品です。先端に小さな穴が開いているのがわかります。
この小さい穴から燃料を噴射して混合気を作り出しています。古くなってネバついたガソリンが燃料タンクにあれば、すぐに詰まって調子を崩してしまうでしょう。
これを避けるために、アウトランダーPHEVには保護制御が入っているわけですね。
これから増えるPHVを買ったら、EVモードだけでなくたまにはエンジンで走ろう!
現行型のRAV4にPHVの追加がまもなくになってきました。トヨタではプリウスのPHVがすでに存在しますが、RAV4のPHVを皮切りにどんどんとリリースされてくると予想できます。
今まで珍しかったPHVが一気に普及するということで、思わぬエンジントラブルが起きる可能性があります。
トヨタもこの辺りの制御をきちんと行ってくるおと思います。ちなみにRAV4のPHVは急速充電は非対応となってるそうです。
急速充電を非対応としたことで、高速道路などで充電する人はでなくなる。以前問題視されていたのが、アウトランダーPHEVが高速道路でバッテリー充電をして、純粋な電気自動車のリーフが充電できない・・。
こんな状況がありました。リーフは文字通り電気自動車なので、PAで充電ができないと以後航続ができなくなります。アウトランダーPHEVはガソリンを補充すれば走れるわけです。
若干の電気代を浮かせようとする人が多く、純粋な電気自動車がすぐに充電できない・・。こういう問題がったわけですが、RAV4に急速充電を非対応としたのはトヨタの英断かもしれません。
少なくともトヨタ車のPHVは高速道路で充電できないわけですから。
PHVの注意点をまとめると
ざっとPHVの注意点をまとめてみると
・EVモードを多用してエンジンをかけない期間が増えるのは、エンジンにとって好ましくない
・一定期間でガソリンを使わないと、エンジン不調を引き起こす可能性が出る
・エンジンオイルもシビアコンディションを目安に交換をしていくのが理想
これから先ハイブリッドバッテリーの値段が下がってくると、どんどんとPHVモデルが追加されてきます。
最初はEVモードが最高で、多用したくなるかもしれませんがたまにはエンジンを回すということも大切だということを覚えておいてください。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。