国土交通省が2月18日に大型車のタイヤ脱着時はホイール・ナットの点検・整備にご注意!という報道を出しました。
大型車の車輪脱落事故は、大事故に繋がりかねない大変危険なものです。
国土交通省では関係機関と連携し、大型車のタイヤ交換作業の徹底に係る周知・啓発活動や、街頭検査においてホイール・ナットの緩みの確認を行う等、各種事故防止対策に取り組んでいるところです。しかしながら、大型車の車輪脱落事故は依然として発生しており、令和2年度は131件、令和3年度は令和4年1月末までに107件(速報値)(令和2年度は同月末までに113件)の報告を受けています。
「自動車の点検及び整備に関する手引き」において、大型車のタイヤ脱着時のホイール・ナットの清掃や潤滑剤の塗布、さらにはホイール・ナットが円滑に回るかの確認等について規定されていますが、最近の大型車の車輪脱落事故において、これらの点検・整備が適切に行われていない事案が散見されています。
円滑に回らないホイール・ナットを使用してタイヤを取り付けると、ナットが本来あるべき位置まで締まらず、十分な締結力が得られないため、走行中にナットが緩み車輪が脱落するおそれがあります。
このため、大型車のタイヤを脱着する際は、ホイール・ナットを清掃した上で、ナットとワッシャーの間を含めて適切に潤滑剤を塗布するとともに、劣化したホイール・ナットは必ず交換をお願いします。国土交通省HPより引用
まず、現場で働く整備士として言わせてもらうと、ここの所急増している大型トラックのタイヤ脱落事故については、ISO規格のホイールナットが採用されてからだということです。
それまではJIS規格のホイールナットを使っていました。
どうしてISO規格のナットに変えてから事故が多くなったのか?
こちらがISO規格のホイールナット。Wタイヤを一つのホイールナットで一緒に固定しています。そしてネジは右回しの正ネジのみを採用しています。
ただし、ホイールナットの個数はタイヤ当たりに増えています。
続いてJIS規格のナット。
ISO規格と大きく違うのは2点。Wタイヤの場合、インナーナットとアウターナットにわかれて締め付けられています。
この時点でWタイヤの場合は同時に外れる可能性はかなり少ないです。
そして、左側面のタイヤについては、ネジを逆ネジで締め付けてあるんです。
非常に理にかなっているネジなんです。
ISO規格っていうのは国際規格です。JIS規格っていうのは日本産業規格です。日本に特化した規格とも言えます。
日本って、海外と大きく違うのが道路状況。日本は左側通行です。左側通行を採用してる他の国ってイギリスやオーストラリアなど。
あと大きな国って、右側通行で左ハンドルです。
日本のような国土が小さくて左側通行の道路だと、左に曲がる時非常に小回りになります。
JIS規格のネジだったら左側のタイヤは進行方向に進むと、回り止めとして機能しますが、ISO規格の場合は緩みやすくなるんです。
大型トラックの左後輪が一番外れやすいということで、原因はそこにあるのは明白です。
トラックドライバーの人は、とにかくISO規格になってから増し締めなどに気をつかうようになっています。
ISO規格のネジが日本にはあっていないという事ですね。
2010年に国交省と経済産業省が主体でISO規格を採用しました。10年弱が経過して、タイヤ脱落事故がおさまらないって言っても、それはネジが駄目だっていうことをわかっていながら認められないところにあるんじゃないですかね。
またJIS規格に戻すとなると、部品代の負担も相当かかりますけど、現状を認めたほうがいいのではないかと。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。