未曾有の大災害などというフレーズを聞く機会が増えてきました。それが地震であったり、台風であったり、ゲリラ豪雨であったり、噴火であったり。
特に増えてきたなと思うのが雨による被害です。台風やゲリラ豪雨がこれにあたります。週末、強力な台風が日本列島を縦断しました。
僕が住んでいる長野県は、比較的台風被害が少ない場所です。そんな長野であっても、大雨が降ったあとの仕事で問い合わせが多いのが
「エンジンがかからない」
というトラブルです。
車が冠水してしまった、思った以上に雨が降った。その後車を使おうと思ったらエンジンが掛からなかった。原因は様々だと思いますが、ここでは台風が過ぎ去ったあと、車にどのような処置をすればいいかをまとめてみます。
目次
車の浸水度でメンテナンスは変わる
大雨にあってしまった。そしてエンジンがかからない。こんな場合どうするか?
雨の度合いで車がどの程度浸水したか?これによって変わってきます。
・室内まで浸水してしまった
・タイヤが浸かるほど浸水した
・浸水はしなかったがエンジンがかからない
ケースごとに見てみます。
室内まで浸水してしまった
もし、車の室内まで浸水してしまったらどうするか?これは、もはや車にとっては致命的です。絶対にやってはいけないこととして、エンジンをかけてしまうこと。
この場合、エンジン内部にも水が入ってるケースが考えられます。そのままエンジンをかけようとクランキングしたら、エンジン内部に侵入した水によってウォーターハンマー現象を引き起こし、エンジンをダメにしてしまいます。
水は圧縮できないため、シリンダーにまで水が入ってしまうとクランキングした途端コンロッドなどが破損して壊れてしまう。
室内まで浸水していたら、そもそもが電気系統も危ないです。ショートする可能性もあります。浸水度が室内を超えた時点で自分の手でなにかしようというのはやめましょう。
すぐに業者に依頼してください。
タイヤが浸かるほどの浸水をした
続いては、タイヤが使ってしまうほど浸水をしたケース。こういう場合はどうするべきか?タイヤが浸水したといっても、駆動系も水に使っているということが考えられます。
写真のアトレーみたいなレイアウトをとっている車は注意。座席下にエンジンがあります。タイヤまで水が使っていれば、もしかしたらエンジンまで浸水している可能性もあります。
座席下にエンジンがある車に関しては、エンジンをかけないでこれまたプロに依頼したほうがいいでしょう。
そのほかの車の場合、タイヤよりもエンジンがある程度上にあります。エンジンがかかるようなら整備工場へ持って行って、各オイルを点検交換してもらいましょう。
デフやミッションなどにはブリーダーと呼ばれる通気口を持たせている車種もあります。そこまで水に使っていると、ミッションやデフ内部にも水が入っている。
この場合オイルが希釈されてダメになってるので、各オイル類を全部交換しましょう。
あとはハブやブレーキ周りをざっと点検すれば大丈夫です。
車高が低い車は特に入念に点検すること。
浸水はしなかったがエンジンがかからない
浸水こそしなかったけど、翌日エンジンがかからない・・・
どこがどうなったのか?
エンジンがかからないというトラブルは3つに分けられます。
・電源もなにも入らない
・セルモーターが回らない
・セルモーターは回るけど火が入らない
順番に見ていくと、電源もなにもはいらない場合。もし前日まで車を正常に使えていたのであれば、何らかの原因でショートしてヒューズが飛んだ可能性があります。
雨が降ったくらいでショートすることって少ないですけど、キーを回してもメーターランプに反応がなかったりする場合、ヒューズが一番怪しいです。メインヒューズから順番にヒューズを追っていく必要があります。
続いてセルモーターが回らない場合。メーターに電源がついて、セルモーターが回らない場合、とりあえずバッテリーが弱ってる可能性があるので、バッテリーをジャンピングさせてみましょう。
ジャンプスターターなどを持っていたら、つないでかけてみてください。これでセルモーターが勢いよく回るのであれば原因はバッテリー。
それでもセルが回らない場合、本体がダメかキースイッチが怪しくなってきます。二人いれば、一人がキーでセルモーターを回して、もうひとりがセルモーター自体をハンマーの柄などを使ってコンコンと衝撃を与えてみる。
セル自体が固着していたり、故障しかかってると衝撃を与えると回ることがあります。
セルが回るけど火がはいらない場合。
これが大雨で一番多い故障になります。
雨で点火系統がやられてしまっている場合。特に多いのがダイレクトイグニッションになる前の平成初期以前の車。
エンジンの点火装置にディストリビューターを使ってるタイプ。
エンジンの搭載位置などにもよりますが、雨がディストリビューターの中に入ってしまうことがよくあります。
すると点火火花がうまく飛ばなくなって、エンジンがかからない。
もしセルモーターが回ってるけど、エンジンがかからないという場合どうするか?やはり点火火花の点検から入る必要があります。
ある程度知識のある人で、ディスビタイプの車を乗っていたらまっさきに疑ってみてください。
あとはプラグを外してみて湿っているかとか、点火のテストをするといった順番になります。
車は水には強くありません。とくにガソリン車はその傾向が強いので、疑問が沸くほど雨が降ってしまった場合一度整備工場に見てもらうのがいいかなと思います。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。