車のエンジンは、新開発させるとかなりの費用がかかります。高額な研究開発費をかけて新型のエンジンを作り上げて、それをいろんな車種に搭載させていきます。
もちろん、それらの費用をペイできるように長い間使い続けていきます。とうとう生産終了になったスバルの水平対向エンジンEJ20などは約30年間も現役で活躍してきました。
約30年も同じエンジンを搭載していたとしても、エンジン内部は少しずつ改良が施されています。オイルだってそう。30年前のオイルと現在のオイルとでは性能が全く違います。
当時主流だったオイルがSGグレードの10W-30だったのに対し、今ではSNグレードの0W-20という具合です。
では、昔のエンジンに0W-20などのオイルを入れたらどうなるのか?
昔好奇心でいろいろなオイルを試したことがありました。当時乗っていた車のエンジンオイル、指定粘度は10W-30か5W-30でした。このエンジンに意図的に0W-20を試したことがあります。
その当時、0W-20というオイルが出始めたころで入れてみたらどうなるのかなという、純粋な好奇心です。もちろん不具合が出る可能性も承知していたし、出たとしたらすぐに違うオイルに入れ替えようと思って試しました。
10W-30指定車に0W-20を入れたらどうなったか?一番心配だったのが、エンジンからの異音やトラブルです。もしかして油圧がうまく立ち上がらないかな~など。いろんなことが頭をよぎりました。
しかし、そういった心配は杞憂に終わりました。10W-30指定車に0W-20を入れてみての感想は・・。燃費の向上はあったのかというと、ほとんどわからないレベル。よくなったような気がするくらい。
アイドリング時のメカニカルノイズは大きくなったな。というのはわかりました。明らかにカチャカチャ音が大きく感じた。
総合的な感想としては、当時高価な0W-20を入れたとしても体感ができるほど燃費はよくならなかったし、メカニカルノイズが大きくなった。コストは上がったしで、いいところのほうが少なかったと思います。
次のオイル交換では普通の粘度に戻した為、耐久性などについては不明でした。
昔の車に今のエンジンオイルをいれても大丈夫?という疑問がわくと思います。基本的な考え方としては、グレードと粘度があってれば大丈夫です。グレードが当時より低くなるということはないので、粘度があってさえいれば問題はありません。
しかし旧車と呼ばれるほど古い車に、現代のエンジンオイルを入れるのは怖い。
また、15W-50指定のエンジンなどに今の省燃費オイルをいれるのは駄目です。0W-20や0W-16なんか入れようものなら、何かしらの弊害がでる。潤滑不足になったり、オイルシールからオイルが漏れたりすることだって考えられます。
旧車には、それなりのオイルをチョイスしたほうがいいです。
現代であっても旧車用のエンジンオイルが販売されています。当然昔よりも性能はグッとあがっています。そういうオイルを選ぶのが最適です。
当時のエンジンは今のエンジンよりもクリアランスが広めだったり、オイルシールの材質が違ったりするので、今のオイルをそのまま入れるのは避けたほうが無難です。
スバルのEJ20は冒頭で30年近く製造され続けたと書きました。そのほかのメーカーであっても長い間このエンジンあるよなぁっていうエンジンはたくさんあります。
ホンダの軽自動車に積んでいたエンジンだって相当長かったですよね。E07A。こちらは1990年から現在もアクティに積んでいます。30年です。
当然1990年に作られたエンジンと2020年に作られたエンジンでは、同じ型式であっても中身が変わってくるわけです。
使っているオイルシールの材質も違えば、各部品だって少しずつ材質なども変わってくる。もちろんオイルクリアランスもちがうので、1990年に製造されたE07Aに今のエンジンオイルを入れるのはまずいわけです。
同じエンジンでも作られた時代背景にあったエンジンオイルが最適であるということですね。グレードと粘度があってれば使えないことはありませんけどね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。