僕は整備書などを読むのが好きで、今手元にはオイルデータハンドブックというものがあります。この冊子の便利なところは、車種別でオイルの量が一目瞭然でわかる事。
もちろん自分の興味で買ってるので自腹で買ってあります。家に置いてあるのは2009年バージョンですが、会社の机には新しいものを置いています。
この冊子を買った理由は、オイル交換に来てもらったお客さんの伝票を正確に打ちたいからです。整備士によってはオイル交換時に使用した量がバラバラに書いてくることがあります。
オイルデータハンドブックを見ていると、興味深いことがわかってきます。
例を挙げてみると、ダイハツの軽自動車に搭載されているエンジン。KF。
このKFエンジンですが、搭載されている車種によってオイルの量が違ってきます。同じエンジンなのに何故?
例えばオイルのみの交換だとムーヴの場合は2.7リットル。これに対してアトレーは3リットルとなっています。ムーヴコンテは2.6リットル。
結構バラバラです。ムーヴとアトレーの違いはエンジンの搭載位置で変わってきています。ムーヴはボンネット下にまっすぐにエンジンが収まっています。
アトレーやハイゼットは運転席と助手席の下にエンジンがおさめられています。
まっすぐにエンジンを収めようとすると、スペースの都合で厳しいです。アトレーやハイゼットは若干エンジンを傾けて搭載しています。
車によってはエンジンの搭載方法が違うということ。
そして、搭載方法が違うとオイルパンの形状が変わってきます。当然容量も違う為、オイルの量が同じエンジンでも変わってくる。
これが同じエンジンで、オイルの使用量が違う最大の理由です。
同じエンジンであっても、使われているオイルの量が違う場合がある。では、オイルの量が多いのと少ないのとではどう違うのか?
最初に結論を書くと、オイル量が多いほどエンジンには優しいということが言えます。
理由は簡単です。例えば同じエンジンで3リットルの車種と3.5リットル使う車種がそれぞれあったとします。この0.5リットルの差は大きいです。
3リットルのエンジンオイルを絶えず循環して使うのと、3.5リットルを循環して使うのとでは差が出てくるのがわかりますね。
0.5リットルでも多いほうが、ゆとりと余裕が生まれます。
なのでドリフトなどのカテゴリーのチューニングカーはオイルパンを交換して容量をあげ、オイルの量をたくさん使うことで、安定してエンジンを潤滑しています。
コンマ1秒を争うレースの世界では逆に重量増となるので、オイルの量を絞ってくることも考えられます。耐久性の事を考えるとオイルの量は多ければ多いほど好ましいということです。
ダイハツのKFエンジンになる前に主流だったEFエンジンがあります。この年代のムーヴやミラなどは、オイル交換の量が2.1リットルという車種がたくさんあります。
オイルフィルター同時交換で2.3リットルですが、これだけのオイルだとかなり少ないと感じます。しかもEFエンジンはタイミングベルトを使っていて、DVVTという可変バルブタイミング機構も搭載しています。
いくらNAエンジンだとしても、早くに交換をしたほうがいいと思います。
軽自動車のエンジンって排気量が660ccしかありません。街中を走っていても常用のエンジン回転数って3000~5000回転くらいが多いです。
660ccのエンジンを毎分3000~5000回転回しながらオイルの量は2.1リットルで潤滑している。
これにくらべて1500ccのコンパクトカーで、街中を流すと2000回転前後で済む。オイルの量は3.2リットルである。
この両者を比較すると、いかにEFエンジンのオイルが過酷な状況下にあるかがよくわかりますよね。軽自動車は5ナンバー車や3ナンバー車よりもエンジン回転を回さないと思った動力が出ません。
エンジン負荷はさることながら、オイルだって相当厳しい環境下にあります。
オイル量の少ない軽自動車は、早めに交換をするべきでなのです。一般的に白ナンバーの車と比べて半分の距離でオイル交換を推奨されていますね。
オイルの量っていうのはゆとりが変わってくるというお話でした。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。