車を長年使ってくると、各部が経年劣化を起こしてきます。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを動力としている場合、エンジンオイルが漏れてきます。
車検の時にオイル漏れが発生しているので修理が必要です。と整備工場に言われた人も多いでしょう。オイル漏れの主な原因は、密封しているゴムのパッキンが熱や経年劣化で硬化してしまってるということです。
ここでは部位別にオイル漏れが発生する箇所とその修理代をシミュレーションしてみたいと思います。
エンジンオイル漏れが一番最初に発生して、手を入れられる場所といえばヘッドカバーのパッキンです。人によってはタペットパッキンなどという人もいます。
エンジンの一番上蓋であるヘッドカバーとシリンダーヘッドをシールしているゴムパッキンです。このヘッドカバーパッキンが経年劣化でゴムが硬くなり、漏れてきます。
ヘッドカバーパッキンの修理代はどのくらいかかるか?
軽自動車クラスだと、整備指数が0.5Hくらいが多く、部品代は2500円程度です。6000円くらい~といったところですね。
もちろん作業がやりにくい車は工賃がもっと高くなります。水平対向エンジンやV型エンジンはそれぞれのバンクごとにパッキンが存在します。つまり部品代が2倍かかります。
車によってはインテークマニホールドを外さないと交換ができない車も存在します。
5万円オーバーの車もあります。その多くが1万円でおつりがくる車が多いです。
意外とお粗末なオイル漏れの代表。それはドレンボルトのパッキン不良。前にオイル交換をした時の整備ミスが殆どです。
これはパッキンを交換したり、ドレンボルトを交換すれば治ります。
ですが、オイルも自動的に抜けちゃうのでオイル交換を同時に行わないといけないケースになります。
3000円~2万円くらいかかってくると思います。オイルの量によって左右されます。
オイルフィルターからのオイル漏れ。こちらも交換後のミスで漏れていることが多いです。オイルフィルターはOリングでオイルが漏れないようにパッキンしています。
取り付ける際に、ゴミが噛んでいたりパッキンがよじれていたりするとオイル漏れが発生します。
この場合もオイルフィルターを交換しないと駄目です。部品で1000円くらいからで、工賃が高い車は1万円弱かかることもあります。
エンジンオイルがたまっているオイルパンからオイルが漏れるケース。この場合原因は2つです。パッキンが硬化して漏れてきている場合と、オイルパン自体が錆て穴が開いてしまってるケース。
パッキンが硬化しているだけなら、シーリングをやり直せば治ります。その場合1万円くらいから3万円くらい。
オイルパンも交換しないといけない場合はプラス1万円くらいかかるとみておけば大丈夫です。
エンジンにはクランクシャフトやカムシャフト。バランサーシャフトやオイルポンプが存在します。
それぞれのシャフト部分とエンジンの境目にオイルシールというパッキンがついていて、ここでオイルが外部へ漏れ出さないようにシールしています。
このオイルシールもやはり経年劣化で漏れてきます。交換するには、そこそこ大変な作業です。タイミングチェーンのクランクシャフトフロント側オイルシールだと1万円でもおつりが来ます。
しかし、それ以外になるとタイミングベルトの車だとタイミングベルトを外さないと交換ができません。そしてクランクシャフトのリヤ側のオイルシールはミッションを降ろさないと交換ができません。
なので修理費用はピンからキリまでかかります。車によってはエンジンを降ろさないとできないものもあります。
1万円から10万オーバーかかる車もあり、作業性によってばらばらになります。
高額なオイル漏れ修理にヘッドガスケットからの漏れがあります。
ヘッドガスケットを交換するにはタイミングベルトやチェーンを外す。インテークとエキゾースト、さらには燃料ラインを切り離す。
ここまでやってようやくシリンダーヘッドが降ろせます。
ヘッドを降ろしたら、ガスケットを交換するわけですが費用はかなりかかります。一緒にタイミングベルトなども交換したほうがお得になるケースで、費用は5万円~30万円くらいにのぼることが予想できます。
やはりエンジンを降ろさないとヘッドを降ろせない車もあるので、割高な修理代になります。
タイミングベルトと違って、タイミングチェーンはエンジンオイルで潤滑されています。タイミングベルトにはベルトカバーがかかっていますが、タイミングチェーンにはチェーンカバーが付いています。
このチェーンカバーの中はオイルが行きかってるので、当然シーリングされています。
タイミングチェーンカバーは液体パッキンでシーリングされているケースが殆どです。交換するには結構大変です。ヘッドカバーとオイルパンを外さないと外れない仕組みになっています。
車によってはかなり手間な修理になります。修理代は3万円~20万オーバーの車もあります。やはりエンジンを降ろさないとできない車もあるので、工賃は割高になります。
エンジンの中には細かいOリングでオイルを外部へ漏れ出さないようにしています。細かいところをあげると、水冷オイルクーラーのOリング。
オイルレベルゲージのガイド部分。ディストリビューターのOリング。サキュラープラグ。
もちろんOリングはゴム製品なので、熱で硬くなってくると漏れ出してきます。
その他としてオイルの油圧プレッシャスイッチなどからも漏れてきます。こちらは5000円くらいからの修理代です。
エンジンに使われているOリングは様々あります。交換はやはり作業性で工賃が左右されてきます。
部品代は1000円もしないものが殆どです。
エンジンの中にオイルが入っている以上、オイル漏れは必ず起こります。オイル漏れが起こらないことは絶対にありません。
各部パッキンが硬化してくるタイミングで一つずつ修理していくことになります。著しいオイル漏れが発生していると車検にも通らなくなります。
軽度のオイル漏れであれば、オイル添加剤で漏れ止めをすることも可能です。添加剤はオイルシールの弾力性を復活させてくれる機能を持っているので、修理代が高額に登る場合、とりあえず添加剤を入れて様子を見るということもアリだと思います。
特に作業性が悪いV型エンジンなどにはお勧めですね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。