僕は一時エンジンオイルの交換にものすごく凝ってたときがあります。
乗っていた車は当時RX-7のFD3S初期型で、20代前半ですね。毎日のように走り回っていたから走行距離はみるみる伸びていき、何度もオイル交換をしました。
当時は車のメカニズムこそ、まったくわからなかったわけですが、オイル交換はDIYでやっていた。RX-7はノーマルでもかなり速い車で、とにかく乗りこなそうとチューニング代にはほとんどお金をかけずに走ることに専念してました。
当時、エンジンオイルはいろんな物を試しました。
試していた中で、自分なりのルールを決めていたんですが、使うオイルは100パーセント化学合成油を なるべく使うということ。使いたいオイルがあれば部分合成油くらいまでならベースを下げてもいい。
僕が覚えている中で、入れてみたエンジンオイルは
まずロータリーエンジンといえばRE雨宮です。当然雨宮オイルも試しました。ロータリーエンジンって、エンジンオイルを内部へ燃やす構造をしています。意図的にですけど。
レシプロエンジンって、オイル下がりなどが起きない限りは基本的にオイルはそうそう減らない。だけどロータリーは減るもの。減ることを見越して5リットル缶なのがにくいところです。
続いてカストロールです。当時使っていたオイルはフォーミュラーRSという水色っぽいシルバーなパッケージ。うちの親父がカストロール信者(?)だったので、自分も試してみた。
粘度は10W-50のワイドレンジだったと思います。このオイル化学合成油のくせに他のオイルより値段が安かったので、使ってる人は多かった。
そしてチューンングメーカーのHKS製品。兄がHKS信者(?)だったので、HKSが作っていたスーパーREレーシングというオイルを入れました。これは10W-40位の粘度だったと思います。
あとはメーカーでいうとBPの一番高いオイルも入れてみたし、BE-UPというメーカーも試してみた。非ニュートンなんとかで他のオイルと違って絡みつく!みたいな宣伝文句でしたね。
そのあと、カプチーノに乗っていた頃もいろんなオイルを試しましたね。こちらはとにかく値段重視で。カプチーノはFDに比べて燃費が抜群によかった。FD3Sは常にリッター4kmだったのに対してカプチーノでは全開走行をしてもなかなかリッター10kmを割ることはなかった。
夏場はリッター14kmくらいまで走ることはざらだったので、燃料代がかからなくなった。なのでさらに走り回ってました。
オイルは化学合成油で安い物を選んで使っていましたね。HKSのスーパーターボレーシングとかAgipのオイルも使った。
様々なオイルを様々な環境下で、それこそ粘度も様々試してきた結果たどり着いた結論。
僕が鈍感なのかもしれないですが、オイルを入れ替えただけではほとんど体感できないということ。バイクに乗っていた頃はわかりましたけど、車はオイル交換をする前とした後の微妙な変化がわかる人って逆にすごい。
反対にオイル交換で体感ができるほど、エンジンオイルの交換を放置していた?とも言い換えることができるかもしれない。普通に使っていれば、オイルの変化を感じ取るなんていうのは相当繊細な人じゃないとわからないと思う。
例えば、オイルがほとんど入っていないKFエンジンなんかにオイルを補充するとびっくりするくらい変化がわかります。初期のダイハツKFエンジンは、オイルを消費する個体があるのかエンジンの音が大きくなります。
負荷を与えるとガラガラ言い出してくるので、ゲージを抜いてみるとオイルがついてこない。オイル交換・もしくは補充をすると音が綺麗に消えます。
こういう体感は逆にやばいですよね。
これに尽きます。いくら高いオイルを入れていたとしても、鉱物油を入れたとしても、街乗りであれば全く変わらない。
変わらないというのは失礼ですね。おそらくミクロン的な分析をすれば変わってくるんでしょうが、カプチーノは走行20万kmを超えたけれどエンジンのOHの必要性は感じなかった。
補足をすれば、オイル漏れや水漏れは劣化しておこってくる。それらを修理するくらいでOK。
いいオイルを入れるよりも、そこそこのオイルを定期的に交換したほうがいいんじゃないかなと思います。
オイルを長年使ってくると、色が変化してエンジン内部がオイル焼けしてきます。茶色くなってくる。定期的にオイルを入れ替えると、オイル焼けは一切見受けられない。カムシャフトもロッカーアームも新品の時の色のまま。
そんなわけで、普通の人がオイル交換をするとしたらいつをめどにすればいいか?
これは最大公約数で考えると半年に1回。これを守っていれば年間走行距離が2万キロを超えたとしても問題はないでしょう。本当。
あと、農業機械みたいにアワーメーターをつけたほうがいいのかもしれないですよね。例えば時速60kmで渋滞なしで60kmを走りきると、1時間。渋滞にはまって60km走るのに2時間かかった。この2つを比較するとエンジン的に厳しいのは当然後者です。
長い時間エンジンがかかっているわけだし、負荷も違う。輸入車などはアワーメーターの代わりにエンジンオイルをセンサで管理している。
センサがオイルの劣化を判断しているのです。いくら距離乗ってなくてもずーっとアイドリングをしていれば劣化します。そういう判断基準はセンサがしてくれる。人間は走行距離とオイルを入れている期間だけを点検しておけばいい。
今僕は鉱物油を使ってます。今の自分には鉱物油で全然OKだからですね。
それでは僕はもうオイル交換にこだわりを持たなくなったのか?と、聞かれるとそうでもありません。
まずオイル交換という作業が楽しいとかんじています。なので、奥さんの車は3000〜5000kmくらいのスパンでオイル交換をきちんとしています。これは半年に1回よりも速いペースかな。
多分3ヶ月ちょっとでこの距離に達してしまう。そのまま残り3ヶ月使い切ってもいいんだけど、そこは車好きだけに交換してしまう(笑)
もし今新車で気に入ったスポーツカーなどを買ったとしたら迷わず100パーセント化学合成油を使います (笑)これはもうそうでしょう!
今乗ってる車に鉱物油を使えるのは、いい意味で車に気を使わなくてもよくなったからですね。ファミリーカーは中古で購入してるし、そんなにこだわりもない。きちんと動いて故障さえしないでくれればいい。車に求めているハードルが低いから。
新車のスポーツカーにはそれ相応の覚悟を持って接しないと!
余談ですが、オイルと潤滑剤ってどのくらい違うのかっていうエピソードを1つ。
昔トヨタの1AZを載せ替えた時の話。ノア・VOXYに搭載されている直噴エンジンです。直噴エンジンの載せ替えは生まれて初めてで、びっくりしたのがやはり燃料系統です。
1AZの直噴は燃料ポンプから上がってきた燃圧を、さらにもう一つのポンプで加圧しています。そのポンプの駆動力はカムシャフトから取ってます。普通にディーゼルのプライミングポンプみたいなポンプがヘッドにくっついてる。
そこからさらに燃圧を高圧にして、インジェクターで筒内噴射する。使ってるインジェクターも全然違います。
載せ替えするエンジンはリビルトだったので、補機類を全て付け替えるんですけどインジェクターがものすごく手強い。普通のガソリンエンジンのインジェクターって、デリバリーパイプに4気筒なら全てくっついてる。
当時の会社はFAINESという整備振興会のWEBに登録していなかったので、整備書がゲットできなかった。各規定トルクなどは、知り合いのネッツに勤めている整備士に聞いておいての作業。
1AZのインジェクターは1つずつブロックに固定されてるんですけどものすごく硬い。ようやく外れたと思ってパッキンを見てみると、なんと分厚いパッキンなのか・・。
このパッキンがすごく曲者でした。普通にシリコンオイルなどを塗布してブロックに取り付けようとすると、ものすごく抵抗があってパッキンがすぐによじれてしまう。
潤滑剤を手につけてパッキンに塗って見たりもしたけれど全部ダメ。もしやと思い、エンジンオイルをパッキンに一周塗ってみた。
するとスポッとはまるわけですよね。
左のパッキンは普通の潤滑剤やシリコンオイルなどを塗って組み付けたもの。嫌な手応えだったから引き抜いてみたらご覧の通り。
エンジンオイルを塗ったらすっと入った。エンジンオイルの潤滑力って、潤滑剤なんかと比べ物にならないぐらいすごいということですね。用途がちがうけどね。
そんなわけで、オイル交換についての長文でした。
エンジンがなくなればオイル交換もなくなっちゃうんですよね。それもさみしいなぁ。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。