車のエンジンからいつもと違う「異音」が発生した場合。
エンジンからの異音なので、怖くなって整備工場に見てもらった。するとこのような回答が・・
「エンジンにオイルがまったく入っていませんでした・・エンジンがダメになってる可能性があります」
こういう場合、どうするべきか?
まず、切り離して考えるところとして、異音がしている原因です。
一概にエンジンからの異音といっても、本体から出ているのではなくて、オルタネーターやウォーターポンプのベアリングからでている音も異音になります。
これらの場合は該当している部分のみを修理すれば収まります。
困るのがエンジン内部から発生している異音。その原因がオイルが入っていない。
オイルが起因となるエンジンからの異音というのは、深刻です。通常ならオイルで保護しないといけない部分が、金属同士で擦れているわけです。
オイルが入ってない間、擦れている金属部分はもう元通りにはなりません。ポイントは、オイルを入れて音が収まるかどうか?というところです。
オイルを入れて収まる異音の多くは、どちらかというとエンジン上部のシリンダーヘッドからの音が多い。バルブクリアランスを調整しているラッシュアジャスターは油圧を使ってクリアランスを保っています。
当然オイルが入っていなければ、バルブクリアランスが適正になりません。もしラッシュアジャスターが生きていればオイルを注ぐことで異音がとまると考えられます。
一番まずいのがピストンやコンロッドなどメタルから発生している打音。単純に油膜が切れて、メタルに傷が入り異音がしている。
新しいエンジンオイルを入れてみて音が出るかをまずは確認してみます。もし音がでなければ、徐々に負荷を与えてテストをします。
上り坂でアクセルを全開にしたときなどでも、音が収まっていればひとまずはセーフ。その後のオイル管理をきちんとすることで、しばらくそのエンジンは延命しながら使うことができると考えられます。
新しいオイルを入れても、音が収まらない場合。
その音の種類が、エンジンに負荷を与えた時にガラガラガラという類のものであれば一番まずい。今でこそエンジンは動いているけど、いつ壊れるかわかりません。
それこそ帰り道で壊れるかもしれません。
以前こういうことがありました。エンジンに異音が発生している車の車検をしたときのこと。オーナーからは最低限というオーダーをもらっていて、エンジンがどうなるかわからない旨を伝えて作業にあたりました。
エンジンにはオイルがまったく入っていなくて、とりあえず新油に交換をしないとすぐにでも焼きついてしまうかもしれない。幸いなことに排気ガスは基準値内に収まっていたので、車検を通すことは可能です。
ただエンジンから音が出ているだけでした。しかし、納車をすると走り出したら、途中でエンジンが完全に止まってしまったのです。
これはメタルがとうとう寿命を迎えてかじりついたから。幸いだったのは速度が出てなかったこと。もしある程度のスピードが出ていたらエンジンからコンロッドなどが突き破って車両火災になる可能性もありました。
もしエンジンから異音が出ていたらどうするか?
オイルを入れ替えて止まるのであれば、これから先きちんと運行前点検でオイルの量をチェックしてから乗り続けても大丈夫です。
オイルがなくなっている場合、オイル消費が正常な車に比べて早い可能性がある。つねに量をチェックして使ってください。気がついたらオイルが入っていないということがよくあります。
オイルを入れ替えても異音が止まらない場合、これは音の種類にもよりますが、負荷を与えて打音がする場合は危ない。早めにそのエンジンに見切りをつけたほうが無難です。下手に高速走行をしようものなら車両火災につながる可能性があります。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。