エンジンオイルを交換する時、オイルを抜いて新油をオイルフィラーキャップから注ぎます。エンジンによっては、オイルを入れるときの手順として決められているものもあります。
例えば、日産のVQエンジンなどはオイルレベルゲージはさしっぱなしでオイルを入れる。これはゲージ側からオイルが吹いてくることを防止するため。
逆にとある年代のいすづのエルフ。こちらはレベルゲージを抜いた状態でオイルを注がないとすぐに溢れてくる。
そんなとき、ライトエースノアに遭遇しました。
この車、メンテナンスというものを車検ごとにしか行っていません。オイル交換も車検の時にしかしないで使われてきました。
車検時にオイルとフィルターを交換しようとすると、オイルがすぐにフィラー側から吹いてきます。一体なぜなのか?
メンテナンスをされていない車両とはいえ、外部に漏れた形跡などもありませんでしたが、異様にオイルののみ込みが悪いのでヘッドカバーを開けてみました。
目次
オイルが入らない理由はスラッジだった
他にもノアに乗ってる人がいて、その車は普通にオイルが入っていく。何故この車だけオイルがすぐに吹き返してくるのか?
その答えは何となくわかっていましたので、ヘッドカバーを開けてみることにしました。
走行距離は10万キロくらいです。
ご覧の通りです。エンジンにはスラッジが堆積しています。このスラッジがオイルフィラーからの油路を詰まらせていました。
オイル交換をさぼっていると、エンジンにはどんどんとスラッジが堆積していきます。このライトエースノアの3Sというエンジンもご覧のような状態になっていました。
エンジンにスラッジが堆積する過程
エンジンオイルの交換をさぼっていると、エンジンにはスラッジが堆積していきます。
順番にエンジンの状態を見ていきたいと思います。
このエンジン、走行距離は5万キロを超えていながら、ヘッドカバーを開けるとこの状態です。エンジン内部にはスラッジのかけらすら見当たりませんし、シャフトなども新品同様の色合いを保っています。
続いてはこちらです。スラッジこそ堆積していませんが、エンジン内部が茶色くオイル焼けをしているのがわかります。
もっとこまめにオイル交換をしていれば、このように茶色変色することも本来はありません。
続いてがこちら。すでにスラッジが堆積し始めているのがわかります。この状態になるとエンジンの不調も起きたりします。
事実このEFエンジンはDVVTのソレノイドバルブが故障していました。どのような症状かというと、カムシャフトの位相を変えるソレノイドバルブが固着して、アクセルを踏むとノッキングを発生する有様です。
ソレノイドバルブの油路にスラッジが溜まってしまったからです。
オイルに潤滑能力がなくなり、少しずつ固体化してスラッジになる。エンジン内部の色が変色していくのもよくわかりました。
エンジンにスラッジが堆積していると、そのヘッドカバーにも当然スラッジが溜まります。これではオイルを注いだところで、なかなかオイルがエンジン内部へ入らないのもうなずけます。
場合によっては、オイルラインが詰まってしまいエンジンが焼き付いてしまいます。
メーカー指定時期で交換するとどうか?
自動車メーカーが指定するエンジンオイルの交換スパンを守っていると、ちょうどこの位の状態になってくると思います。
スラッジこそ堆積してこないですが、エンジン内部は茶色く焼けてきます。
この状態であってもエンジンは全くの正常です。
エンジンオイルの寿命を上手に使い切っていると言えます。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。