エンジンオイルの交換も掘り下げていくと本当に奥が深いです。今日はこんな事がわかりましたので紹介して考えてみます。
経年変化による劣化が大きいエンジンオイルでは、エンジンオイルとオイルフィルターを同時交換しないと、オイルフィルター内部に残っている古いオイルと新油が混ざり合うことで、新油の性能が10%から15%低下してしまうというもの。
オイルフィルターって本来だとエンジンオイル交換2回に対して1回交換とされている部品です。オイルフィルターの役割は、汚れたオイルの中にある不純物などをキャッチしてろ過してくれる。
普通の使い方をしていれば、オイル交換2回くらいの間は使い続けることができます。しかし冒頭に書いたように新油の性能が10%から15%落ちるという事であれば、考えたほうがいい状況も発生してくるかなと。
この情報はどこから得たかというと、一級自動車整備士の教科書に記載があります。一級整備士は車の整備全般以外にも環境問題など、いろいろな知識が必要になります。
目次
新油のエンジンオイルが10~15%劣化する理由は?
オイルフィルターを同時交換しないと、何故新油のエンジンオイルが劣化するのか?
こちらの画像は、僕がDIYで自分の家のオイルフィルターを交換した写真です。純粋にオイルフィルターを外した写真。ここでわかることは、オイルフィルターを外すと内部に入っているエンジンオイルも一緒に出てくるということ。
これはオイルフィルターの大きさで変わってきます。ほとんどの車のオイルフィルターは、中に0.2リットルほどオイルがたまっています。
オイル交換の時にオイルフィルターを交換すると、フィルターを交換した後オイルを入れる。その後一旦エンジンをかけてオイルフィルター内にオイルを循環させます。
すると、レベルゲージに付着してくるオイルが少なくなっているので、最後に量を微調整する必要があります。
新品のオイルフィルターの中にオイルが流れ込んで、オイルパンに戻る量が減るからです。
オイルフィルター内に残っている0.2リットル弱の古いオイルが、新油と混ざり合うことで使う前の新油を希釈して劣化させてしまうということです。
トラックのオイルフィルターは中に1リットルも入ってるのもある
こちらはトラックに使われているオイルフィルターです。隣にあるのが乗用車用。サイズの違いがわかります。
このフィルターは三菱のキャンター4D33用のフィルターです。オイルフィルター内には実に1リットル近くオイルが入っています。
キャンターのオイルは8リットル弱程度入ります。そのうちフィルターには1リットルです。さすがに古いオイルが1リットル残っているとなると、ちょっと抵抗が出てきますね。
0.2リットルならまだしも1リットルも古いオイルが残っている・・。これでは新油が最初から劣化してしまうのもうなずけます。
オイルフィルターをオイルと同時交換した方がいい状況は?
通常のオイルフィルター交換時期ではなく、オイルと同時交換をお勧めしたい状況はどういう場合か?
一番最初に挙げられるのが、ずっと不動だった車です。これについては一級整備士の教科書の記載にぴったりと当てはまります。経年変化による劣化が大きいエンジンオイルがエンジン内に残ってる場合。
一度熱を加えてずーっと走らなかった車。こういった車に関して言うと、数年後に車を使おうとエンジンを始動する前に、オイルとオイルフィルターを同時交換するべきということ。
オイル交換だけだと新油の性能が最大15%落ちてしまっています。
そして次にあげられるのが、オイルの性能を劣化させてはマズイ使い方をする前。どういうことかというと、これからオイル交換をしてサーキットを走るなどという場合です。
普段の街乗り以上にエンジンに負荷を与える使い方をする時。この場合もオイルとフィルターを同時交換して新油の性能を100%引き出せるようにしておかないとまずいです。
そして最後に相当なスラッジが堆積しているエンジンにフラッシングなどをした場合。
フラッシングオイルを使う際の注意書きにも書いてありますが、エンジンにスラッジが堆積していてフラッシングする。
すると汚れが急激に落ちてオイルフィルターがすぐに詰まってしまいます。
なので、オイルとオイルフィルターは同時交換すること。
オイルフィルターは交換しないで、オイルの性能をキープしたいのなら
最後にすごく回りくどいやりかたですが、オイルフィルターはやっぱりオイル交換2回に1回交換したい。
だけど、新油の性能は落としたくない。こんな場合方法はあるのか?というと。
ないことはありませんので参考までに。すべての車がこの方法を使えるかというとそうではないです。
オイルフィルター自体にドレンボルトなどがついてる場合、オイルと一緒にフィルター内に残ったオイルも抜いてあげるということができます。
キャンターのオイルフィルターにはフィルターのドレンボルトがついています。このネジを外すとフィルター内のオイルも排出ができます。
もちろんこのドレンボルトを外したら、この部分のパッキンは交換しないとオイル漏れの原因になります。
あとはオイルフィルターの中身だけ交換ができるタイプのもの。
これらはあらかじめフィルターケース内のオイルを排出できるようにドレンボルトがついています。
これを外して古いオイルだけ排出しておく。
このパッキンは新しいオイルフィルターに付属してくるので、それを使えばいいでしょう。本当にフィルターを交換する時はケースごと外してしまうという手段が使えます。
いずれにしろここまでやるのなら、普通にオイルフィルターも同時交換すればいいんじゃない?と疑問を持ってしまう方法です。
一応参考までに。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。