オイルエレメントって知っていますか?通称オイルフィルターとも呼ばれている部品です。僕は昔からオイルフィルターという言葉が好きで使っていたので、このウェブ上でもオイルフィルターと表記しています。
実際会社で働いていると、オイルエレメントと仲間内では話をして、お客さん相手にはフィルターと話しています。
どっちも同じものだと考えてください。エレメントという言葉だとわかりにくいのでフィルターとお客さんには伝えています。
今回はあえてエレメントという言葉を使って書いてみます!
お客さんが
「オイル交換をお願いします!」
と飛び込みで来店されるとき、自分からオイルエレメントも交換してください!と言ってくる方はその半数以下です。オイル交換をすると、次回オイル交換の時期を貼ってあるステッカーなどが車についています。これとパソコンのメンテナンス履歴を照会して、オイルエレメントも交換したほうがいい時期であれば同時にオススメしています。
オイルエレメントの交換を依頼されることが少ないのは、やはりユーザーの立場からあまり知られていないから。オイル交換っていう言葉は教習所で習って、なんとなく頭の片隅にある。だけどオイルフィルターやエレメントって、初めて車を買って自分で管理するようになってから初めて聞く人もいるかもしれない。
最初に、オイルエレメントの役割はなんなのか?という点。これはわかりやすく説明すると、オイルの中に混ざったゴミを取り除くろ過装置。
エンジンオイルって、人間でいうと血液です。オイルが血液なら、エレメントは腎臓にあたります。人間のように血液を綺麗にすることが車はできません。
なので、せめてオイルに混ざったゴミなどはエレメントで取り除きろ過しましょうというもの。それこそ鉄粉やらゴミやらいろんなものが混入してもエレメントでキャッチするのです。地味なようで重要な部品。
オイルエレメントの交換時期はどのくらいか?これは一般的にはオイル交換2回に1回です。当然オイル交換の時期はメーカー規定は最低限遵守しないとだめ。
極端な話1年1万キロ交換が推奨されてるエンジンがあるとします。
オイルを1年1万キロで交換するとしたら、エレメントはその次。2年2万キロ時点です。ただ、オイルを1年2万キロで交換したら、次の2年目に交換していいのかっていうとそうはありません。
著しくオイル交換時期を超えていたらオイルエレメントも同時交換すべきです。
オイルエレメントを交換しないで使い続けるとどうなるか?
エレメントが当然目詰まりを起こしてきますが、目詰まりを起こしてもバイパスバルブが開いて油路はきちんと確保されるので、エンジンにオイルが行き渡らなくなるわけではありません。
ですが、バイパスバルブが開いた時点でオイルエレメントとしての機能はなくなります。ゴミなどはキャッチせずにそのままオイルと一緒にバイパスバルブから再循環させてしまう。
つまり、鉄粉などが混入したとしてもそのままエンジン内を鉄粉が駆け巡って、磨耗させてしまうということ。
オイルエレメントが目詰まりしてバイパスバルブが開くまでにきちんと交換しないといけません。
そんなバカな!?
僕も最初は目を疑いました。整備士になって数々のオイル交換をしていくなかで、オイルエレメントって錆びるんだ。って実感しました。
特にエレメントの脱着時にレンチでエレメントの塗装が剥がれてしまうと錆びやすくなる。
エレメントが錆びるとどうなるか?最終的には穴があいてオイル漏れが発生します。しかも、エレメントって油圧がかかる部分なので、かなりの勢いでオイルが漏れ出してしまう。
自走ができなくなるほどですね。
もしオイルエレメントをDIYで交換したときに、エレメントの表面塗装を傷つけてしまったらスプレーでもいいので吹き付けておくのがベターです。
こまめにオイルエレメントを交換する人ならいいけど、しばらく放置すると錆びて穴があいてしまいます。
オイルエレメントをしばらく交換していないと、緩まなくなってたりします。本当の話。
このように輪っかタイプのレンチがかかる、隙間が広い作業スペースのあるエンジンならいいんです。
輪っかタイプのレンチをエレメントの根元あたりを狙って回せばほとんどが回せます。が、こういうレンチがかけられない隙間がない場合。
こういうカップ型のレンチをエレメントにかぶせて回して外しますが、固着しているとすぐに山をなめちゃう。エレメントが外せなくなったといって、泣きついてくる人はたまにいるんです。
そういう場合はどうするか?
写真のようにカップレンチとエレメントの隙間にウエスを挟み込んで、ハンマーでカップレンチを叩き込みます。
ようするにレンチとエレメントの隙間をなくし、より密着させる。最大でウエス2枚分くらいは叩き込めます。この技で8割くらいは外すことができる。
これでもダメならマイナスドライバーなどで緩みの方向へエレメントを叩きながら回すのみ。ただこの技を使うと後に引けなくなります。腰を据えてじっくりできる環境下になければ、整備工場で見てもらったほうが無難です。
まさかのオイルエレメントを2つ使ってるエンジンがあるんです。ちょっと前のマツダのディーゼルエンジンなんかがそう。
ボンゴなどに搭載されていたエンジンですが、オイルエレメントは2つあります。通常のオイルエレメントとバイパスエレメントです。それぞれサイズが違うので間違えることはないですが、2つ交換しないとダメです。
オイルエレメント交換で迷うのは純正を使うか社外をつかうか?これはどうすればいいか?昔だったら、迷うことなく安い社外品でいいでしょう!と答えたくなります。ですが今は若干事情が違ってきた。
マツダのスカイアクティブDなどは、純正オイルエレメントをつかわないと鉄粉が取りきれずにターボをぶっ壊すことがあると、注意喚起がだされています。
オイルエレメントって、中のろ紙が全然違うんです。
安いエレメントほどろ紙の目が荒い。これはエアクリーナーにも共通して言えること。安いということはそれだけの理由があるんです。
ここからは僕のおすすめ話ですが、メーカー推奨のタイミングでオイル交換をするのであれば純正のオイルエレメントを使ってください。メーカー推奨よりも早いタイミングで交換する人なら、社外でも大丈夫だと思います。
僕は実際にずっと社外のオイルエレメントを使っています。純正定価の半額で買えますから。こまめにオイル交換をすれば、それほど中身が詰まったりしませんからね。
高性能なエンジンほど純正を使ったほうがいい時代になってきましたね。
エンジンの中には、オイルエレメント交換が異様に難易度が高いものもあります。
ちょっと前に遭遇したいすづのエンジン。こんなにやりにくいの?ってびっくりしました。これはプロに任せたくなるわ〜って。
交換するにも22mmのロングソケットか何かがないと回せない。しかもやたら固い・・・。
従来のカートリッジタイプでない、中身のろ紙だけを交換するタイプはきちんと交換しないとOリングからオイル漏れが発生しやすいです。
部品代はやすくなりましたが、交換は注意が必要です。
最後にオイルエレメントの値段です。
社外品でネット購入であれば1つ300円程度で買えるものも存在します。こまめにオイル交換をする人ならこれでもOKでしょう。僕はホームセンターなどで500円程度でいつも買ってきます。
オイルは3000kmを超えたら交換しているので、タイミング的には早いほうに入るかな。オイルエレメントは2回に1回交換です。
オイルを抜いてもエレメントの中には古いオイルが入ったままです。オイル交換をしてもこれら古いオイルが混ざってしまうのがいやで、RX-7やカプチーノに乗っていたころはオイルとエレメントは毎回同時交換をしていました。
今はファミリーカーのシエンタさんなので、2回に1回交換です。
本当にエンジンを大切にしたいのならオイルと同時交換が望ましいのは間違いありません。オイル交換と一緒にオイルエレメントにも気をつけてあげてください。プロに依頼しても、そこまで気が回らないプロもいます。
一見さんでオイル交換にくると整備歴が不明だし、とりあえず言われたオイル交換だけしかしないというのは多々あります。エレメント交換時期を逃してしまう可能性もあるので、わかりやすいステッカーを貼ってもらうのもひとつの手段になりますね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。