何度か紹介したことがありますが、僕が中学・高校生くらいのころ父親が日産のバネットラルゴディーゼルに乗っていました。その車が走行距離38万キロを走破するという偉業を成し遂げました。
当時はその走行距離にまったく興味もなく、こんな古臭い車にいつまで乗ってるのかな?などと学生時代は疑問でしたけど、今になったらその気持ちがよーくわかります。
ラルゴの走行距離が伸びた理由は、父親が単身赴任をしていたからです。長野から東京まで毎週往復していました。1年に換算すると走行距離が4万キロ弱。
車の整備に関しては8割程度をDIY。車検は日産ディーラーでやってました。
オイル交換などは自分で毎月1回程度。
エンジンオイルをちゃんと交換していれば、車は一体何キロ持つのか?耳にタコができるほどいろんなメディアや雑誌で検証されています。
実際のところはどうなのか?僕が整備士として、実際に遭遇・整備をした車での実体験を元に書いてみます。
エンジンはがガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンのほうが頑丈にできている。こんな風に言われています。これはどちらかというと昔の話だと考えてもいいです。
昔みたいに強固なシリンダーブロックを使ってるディーゼルって少なくなってきています。ガソリンエンジンよりデリケートなディーゼルエンジンもあるくらい。
ガソリンエンジンであろうが、ディーゼルエンジンだろうがオーバーホールなしで走行距離40万キロオーバーは可能である。これが僕が実体験で得た結論。
悲しいことに走行距離40万キロを超えた個体に出会ったことがないので、ここから先はわかりません。ですが40万キロまではガソリン・ディーゼルともにオーバーホールなしで使い続けることはできると言い切れます。
エンジンを40万キロまでオーバーホールなしで使うということは、条件も当然あります。エンジンを長く使ってくると各部からオイルが漏れてくる。
ヘッドカバーのパッキンやオイルパンの液体パッキン、各シャフトのオイルシールやヘッドガスケットなど。これらオイル漏れがひどくなってくると車検が通らないので、修理が必要になります。
部位によっては修理代がかなり高額になるケースもあります。ヘッドガスケットからオイル漏れが発生すると、修理代で5万円を越すことなんてザラにあります。
エンジンをオーバーホールする目安って何かというと、圧縮圧力の低下を修理することが目的です。圧縮さえ低下しなければ、オーバーホールする必要はあまりない。
圧縮の低下以外でオーバーホールをしなければいけない原因は何かというと、オイル上がりやオイル下がりの修理。
エンジンの外部へオイルが漏れ出してくれば通常のオイル漏れ修理。エンジンの内部でオイルが減ってしまうのはオーバーホールをしないと直せない部位があります。
これはオイル消費を目安に考えればいいと思います。1000km走行ごとにオイルがどの程度減るか?外国車などは1000km走行で1リットルくらいオイルが減るのは問題ではないとされています。
エンジンオイルが減った状態で使うのは、エンジンにとってはまずい。くたびれてきたエンジンを使い続けるには、最低でも1000km毎にオイルの量をチェックする必要がります。必要であれば補充をしないと駄目です。
エンジンをオーバーホールなしで40万キロつかう!といっても、エンジン本体はオーバーホールなしでもいいかもしれませんが、補機駆動類は適切なタイミングで交換が必要です。
オルタネーターは今では20万キロはもつようになってきました。オルタネーターのブラシは20万キロは持つくらいの量になっています。しかし、ダイオードやレクティファイヤなど、突如壊れる電子部品もあります。
もちろん壊れた時点で交換が必要になりますが、20万キロ程度使ったらリビルトに交換するなどしたほうがいいです。
ウォーターポンプも10万キロもたずに漏れたり異音を発生するエンジンもあります。こういった補機駆動類はエンジンよりも早くに寿命を迎えるので、都度修理交換が必要になります。
車の寿命はエンジンの寿命だ!こう考える人が多いです。
でもエンジンがずっと使えたとしても、ミッションが壊れることだってあります。マニュアル車であれば、運転がうまい人であればギヤの摩耗はミッションオイルをちゃんと交換していればそんなに問題ありません。
問題はATやCVTです。今ではATFなどメーカーが無交換を指定してる車種もあります。この情報が広まっていて、オートマオイルは交換しなくてもいいんだ!と勘違いしてる人が多い。
結果、メーカー指定のATF交換時期を超えて使い続けて、ATが壊れてしまった・・。こんな修理が多いです。
車種によってはATFの交換を不要としているものもあります。ですが基本的にフルードやオイルは劣化してきます。可能であれば交換をすると、ミッションの保護にもつながるし長く使えるのは間違いありません。
エンジン載せ替えよりは費用がかからないかもしれませんが、ミッションの修理交換もかなり高額に上ります。
結果として、エンジンを40万キロ程度までつかうには、ほかにも気をかけてあげないといけないということです。
うちの父親はオルタネーターにはかなり気を使っていましたね。当時のオルタネーターは10万キロもたずに壊れていたのがほとんどです。
おそらくは早め早めにリビルトなどへ交換していたんだと思います。
エンジン本体は使い続けることができたとしても、ほかに高額な修理が発生しないように日ごろから定期的に部品を交換していた。特に車検を請け負っていくださっていた日産ディーラーには感謝です。
仕事での単身赴任で使っていたので、おそらく日数的にタイトなスケジュールで整備をしてもらっていたはずなので。
整備士になってみるとわかる、走行距離40万キロという途方もない数字。そこまで走るっていうのは車に乗ってる時間も相当ですね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。