車を構成する部品の中で、一番重要だと言える部品がエンジンです。EVにはありませんが、エンジンが動力源となりミッションとデフを介して各タイヤを回しています。
エンジンがへたってくれば、もちろん車もへたる。ほぼイコールとして扱われているエンジンの寿命と車の寿命。
ただし、どうしても気に入ってる車の場合、たとえエンジンの寿命が訪れたとしてもなんとかしてその車に乗り続けたいもの。
ここではエンジンのオーバーホールや載せ替えについて考えてみます。
仮にエンジンが駄目になったとして、修理方法は2つあります。現物のエンジンを修理して乗るかそれとも載せ替えるか?
載せ替える場合は新品、中古、リビルトという3つの選択肢が出てきます。予算にあったものを選べばいいですが、圧倒的に再生エンジンであるリビルトがお勧めです。
新品エンジンよりもはるかに安く買う事が出来、保証もついています。
中古エンジンはあたりはずれがあり、いいものに当たればお買い得ですが、悪いエンジンの場合どうなるかは載せてみないとわからないところがあります。
そして新品エンジンは目玉がでるほど高額です。
現物のエンジンを修理する場合、オーバーホールということになります。
オーバーホールはエンジンを降ろして全て分解。各部の部品を計測して使えるものは使い、交換が必要な部分は交換して、エンジンを組みなおす作業です。
今オーバーホールを実施している工場はかなり少なくなってきました。少なくとも町工場やディーラーでオーバーホールでほとんど行われなくなってきたのが現状です。
今修理の現場では載せ替え。レストアやチューニングの世界ではオーバーホールと二分化してきています。
それではエンジンのオーバーホールは何故必要になるのかを考えてみます。正常に動いているエンジンをオーバーホールする理由は何か?
1つはエンジンの圧縮圧力が目安になります。エンジンの出力を左右するのが圧縮です。この圧縮がエンジンを長く使ってくると減ってくるんです。
極端な話圧縮が新車当時10だったものが、15万キロ走行で8になった。20万キロ走行で6まで落ちてしまったとなれば、新車時の出力の6割程度しか出せないという事になります。
普通にエンジンのオイルを変えたりメンテナンスを施していれば、ここまで極端に圧縮は低下しませんが、オーバーホールの目安となるのが圧縮です。
そして、エンジンによっては降ろさないとできない作業がある車があります。
例えば水平対向エンジンなどは何かしらの作業をする時ってスペースが狭いです。直4エンジンだったら車上でヘッドガスケットの交換もできますが、水平対向エンジンだとそうはいかない。
エンジンを降ろしてまでの作業となれば、オーバーホールをしたほうがいいのではないかという理由。
オイル漏れが全体的にひどくなってきたとか、ヘッドから水漏れがしてきたなど。車上でできない作業に着手しないといけない時、オーバーホールを考えるというのも一つの考え方です。
エンジンオーバーホールで意外と起こりえるのが、実は使えない部分が多すぎるという結果。例えば、ロータリーエンジンだったらアペックスシールに損傷があり、ローターハウジングも傷がついて使い物にならないなど。
GT-Rのエンジンでもあるあるですが、シリンダーブロックに亀裂が入って使い物にならないなど。
ピストンの交換はまだかわいいほうで、下手をするとシリンダーヘッドやシリンダーブロックが使えない状態だったなんていうことがあるんです。
そうなると、その部分は交換をしないといけない。結果費用が相当かさんでしまうという点。
おそらく貴重な車のエンジンとかでなければ、エンジンをばらして計測時点でリビルト載せ替えにプランを変更するほうがいい場合。
GT-RのRB26DETTなど、シリンダーブロックを交換してまでも使い続ける意味があるエンジンならまだしも、街乗りの大衆車でオーバーホールを施す場合、大物パーツが使えないとオーバーホールする意味がなくなってしまうということ。
最後に、この手の作業はどこで行うべきか?やはり一番は慣れている工場に依頼するのが安心できます。
例えばオーバーホールをほとんどやっていない工場へ、エンジンオーバーホールを依頼したらどうなるか?おそらく精度の低いエンジンになる可能性が重々考えられます。
エンジンをオーバーホールするのならその作業に精通したスペシャリストに依頼するのが一番間違いありません。
若干敷居が高いですが、チューニングショップなどがこれにあたります。チューニングショップではエンジンのオーバーホールは日常茶飯事で、作業も抜群に慣れています。
さらに的を絞っていくと、その車種を専門に扱っているお店が一番いいです。
ノウハウも普通の工場とは考えられないほど持っています。
逆にエンジンを載せ替えるのであれば、普通の町工場に依頼しても大丈夫です。オーバーホールなら専門店。載せ替えなら町工場。
今はこのような選択がベストだと思います。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。